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ヘタリア大帝国

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TURN66 過労その二

 だからこそだった。
「ドクツが勝ったらうちは間違いなくやられる」
「けれどソビエトが勝ったら」
「ソビエトは妙に太平洋の連中が嫌いだからな」
 枢軸の日本だけでなく連合のガメリカ、中帝国ともだ。
「太平洋の状況がどうでもな」
「日本が勝ってもガメリカ、中帝国が勝ってもだよね」
「まず向こうに行くからな」
 この場合、いやソビエトには同盟なぞ関係ない。共有主義の国以外は敵でしかないからだ。
「それで向こうが粒し合ってくれる」
「お互いに消耗してくれるね」
「そうすればインド洋にも隙が出来るからな」
「植民地の奪還も見えてくるからな」
「だから出来る限りソビエトに勝って欲しいね。エイリスとしては」
「最悪とその次だな」
 この場合はドクツが勝った場合が最悪である。
「じゃあその次だ」
「うん、じゃあソビエトに勝ってもらう様にする?」
「援助をするか。まあ最悪な」
「最悪って?」
「賭けるか」
 イギリスは何かしらの切り札をここで見出した。
「先代さんと話してそしてドクツが勝ってもソビエトが勝っても一気に潰すか」
「?一気って?」
「あっ、その時になったら話すからな」
 知っている口調だったがそれは話さないというのだ。
「その時になったらな」
「何かあるのね」
「マリーさんも王族だからやがて知ることだけれどな」
「僕が女王の妹だからなんだね」
「それでも切り札の中の切り札だからな」
 それ故にだというのだ。
「まだ内緒な」
「祖国さんが知っていることだね」
「女王さんも知らないけれどな。先代さんとモンゴメリー提督は知ってるさ」
 この二人はだというのだ。
「まあそういう話さ」
「じゃあその時になったらね」
「いざって時はやってやるさ」
 イギリスは遠くを強い目で見ながらマリーに話す。
「生き残る為にな」
「何か開戦してからいいことないけれどね」
「辛い戦いだよな、本当に」
「うん、けれど最後は勝たないとね」
 今はそうだった。セーラにしても切実な顔で北アフリカから自分の前に参上してきたイギリス妹とロレンスにこう言っていた。
「ドクツが勝てば危ういですね」
「そうですね。返す刀で我々に来るのは間違いありません」
「確実にそうなります」
 イギリス妹もロレンスもこうセーラに答える。
「そしてそうなれば」
「危ういです」
「はい、そうです」
 その通りだと。セーラも答える。
「出来ればソビエトに勝ってもらいたいですが」
「ソビエトは既に三つの星域を失っています」
 ロレンスは東部戦線の現状も述べた。
「そしてドクツ軍の勢いは止まりません」
「そのまま進撃を続けていますね」
「はい」
 その通りだというのだ。
「ラトビア、ベラルーシ、カテーリングラードに」
「その次はエストニア、スモレンスク、カフカスですね」
「それからはモスクワです」
 ソビエトの首都のことも話に出る。
「あの星域にもまた」
「侵攻は現実味がありますか」
「ドクツ軍は将兵も装備もかなりのものです」
 数はソビエト軍より遥かに少ない、だがそれでもなのだ。 
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