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WvsA‘s ジ・ビギンズナイト

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Wの誕生・はじまりの夜 前篇

「先生、すいません!!倒れる宇宙少年を助けてたら遅刻しました!!」



「「「嘘つけ!!」」」



時刻は昼頃、四時限の授業の始まった教室に翔子が入って遅刻してきた。一応、理由も声高らかに叫んだら(嘘じゃない)クラス中から一斉にツッコミが飛んできた。



「あぁ、連絡入っているよ…。大変だったね…。」



「「「マジで!?」」」



先生にはしっかり連絡が入っているので驚きはしない。一方、クラスメイト達は真実だったことに驚く。



「じゃあ、授業続けるから席ついて。」



「イエス、サー!!」



「返事は『はい』でしょう。」



「はい、イエス、サー。」



「わかった。もういい。」



そして、奥の自分の席に座る翔子。先生は呆れながらも授業を再開する。





ツンツン





「?、どったの、アリサ?」



後ろの席から自分を呼ぶ少女に顔をむける翔子。その少女の名はアリサ・バニングス。金髪と少し偉そうな態度が特徴の金持ちのお嬢様だ。



「ちょっと、あんた!何か少年助けただの言ってたけど…」



「そうそう。フィリップ君っていう名前なんだよ。」



「フィリップって外人?あんた、妙な事に首突っ込んだんじゃ…」



「いや、日本人みたいだし大丈夫だよ。」



「そう言う問題じゃない!」



「あっ、そうそう。後で見せたい物があるから後で屋上行こう。」



「あっ!?ちょっと…」



無理矢理、話を切り上げようとした翔子に食い下がろうとしたアリサだったが…



「アリサさん、どうかしましたか?」



「あっ!いえ、何でも無いです…」



先生に気づかれ話は後に持ち越された…。



















四時限目終了後…



場所は移り屋上…







今いる人物は四人。

翔子とアリサ。そして、長い髪の穏やかな性格のこれまたお嬢様、月村すずか。

もう一人は栗色の髪をした一応、一般階級の女の子、高町なのは。

四人とも仲は良くいつも…というわけでは無いがたまに四人で弁当を屋上で食べる事があった。



「そう言えば、見せたいってあんたが言ってたの…」



アリサが翔子に先程言っていた物を見せるように最速する。



「えっ何々?」



「何かあるの?」



興味津々のすずかとなのは。



「ふふ…見せてあげようか…?」



「ちょっと、勿体ぶらないでとっとと見せなさいよ!」



「たく…せっかちなんだからアリサは…」



「早く、早く!!」



「わかったわよ!!おいで、ファングちゃん!!」



翔子が何かを呼んでみた様子を期待に胸を膨らませていた三人。しかし…





……



…………



………………



……………………







何も起こる様子は無い。



「あの………翔子ちゃん…」



恐る恐る、翔子に話かけてみるなのは。



「後ろ。」



「ふぇ?」



「U★SHI★RO」



「後ろ?」



なのはが振り向いてみると…















『クワッ!!』





「にゃああああああああああああああ!?」



絶叫するなのは。



『クワッ!!』



そして、なのはの後ろにいたモノは飛び上がり、彼女の頭を踏み越えていくと翔子の手に収まった。



「紹介するよ。ファングちゃんだよ。」



『クワッ!!』



翔子から自己紹介され誇らしげなファング。



「へぇ~中々可愛いじゃない。」



「なにこれ!ロボット!?」



ファングを抱き上げ撫で回すアリサとすずか。



「見たこと無い子なの…」



なのはも目を輝かせながら触れようとしたその時…



『ガウッ!!』











ガブ













「にゃああああああああああああああ!?」



ファングはなんとなのはの指に噛み付いたのだ。悲鳴を挙げるなのは。



「あら、嫌われちゃったかな?」



その様子を傍観する翔子。



「あんたモロ他人事扱いね…。」



突っ込むアリサ。



「まず、なのはちゃん助けようよ!」



必死になのはを救助しようとするすずか。



そして、なのはからファングが離れたのは暫くしてからである。









キン、コン、カーン









「あ!鐘鳴ったよ!」



「嘘!もうそんな時間!?」



急いで教室に戻ろうとするアリサとすずか。



「私も戻ろう…。」



そう言って翔子も戻ろうとおもむろに立ち上がる。しかし、



「あ、ごめん!皆、先行ってて!」



なのはが残ろうとする。



「どうしたの?なのは?」



訊ねるアリサ。



「いや、ちょっとね…すぐ追い付くから。」



「ふ~ん。」



特に気にすることなくその場を後にするなのは以外の一行。



一人残ったなのは。そして、赤いビー玉のような物を取り出す。



「起きてる?レイジングハート?」



『はい、マスター。』



ビー玉に語りかけるなのは。するとビー玉も喋り出した。



「レイジングハート…翔子ちゃんのあれって…」



『ええ、間違いなくロストロギアでしょう…。』



「やっぱり…。」



『マスター、ここは彼女が目を離した隙を狙って確保しましょう。』



「うん…そうだね…レイジングハート…」



しかし、あまり気が進まないなのは。



『辛いかもしれませんが、未知の被害を防ぐためです…。』



「うん…わかってる。」



そう言うとなのはもレイジングハートをしまい教室に戻っていった…。





ちなみに、遅刻で先生に叱られたのは別の話である。























その日の夜…

午後7時15分…



鳴海病院…



フィリップは病室のベッドで半身を起こし、本を読んでいた…。しかし、その本のページは真っ白だ…。



「む…」



ふと顔をあげると周りが暗くなっている事が分かる。

「もうこんな時間か…」



明かりをつけようと病室のスイッチを探すフィリップ。



(でも、おかしい…何故、看護師たちがこない?)



よく考えてみると何かおかしいし、人気も感じられない…。







「この感覚…まさか!?」



窓を見てみると夜空が靄がかかっているようだ…。



「結界…ということは…」



「あったり~!!」





ズガアアアアアアアン





「!?」



壁を突き破り一人の少女が侵入してくる。



「よお、久しぶりだな…」



なんと昨日、フィリップを追っていたあの追跡者の一人だった。



「てめえにはちゃんと名乗ってなかったな!私の名前は鉄槌の騎士、ヴィータだ!」



ゴスロリ風の赤い服にウサギの人形のついた帽子を被った赤毛の少女というだけなら可愛らしいで済んだだろうが、明らかに凶器になりえるハンマーを持っているので危険ということは確かだろう。



「なら、僕も名乗ろう…。フィリップ・ライトだよ…。」



「へっ良い名前じゃないか!さっさと構えろ!!」



「やれやれ…」



そう言ってロストドライバーをとりだそうと懐に手を入れると…



「な、無い!?」



なんと懐に大事にしまっておいたロストドライバーがなくなっていたのだ…。
まずい、どこかに落としたのか!?


(仕方ない…一か八か…)



フィリップが賭けに出る。



「済まないが…見逃してくれないか…。」



「はあ?」



呆れるヴィータ。



「済まないが今は訳あって戦えなくてねぇ…君も誇り高き騎士だというのなら丸腰の非力な奴に手を挙げたりはしないだろう?」



「…」



だまりこむヴィータ。



(やったか…)



様子を伺うフィリップ。







……



…………



………………



……………………





「私だって…」



「?」



「私だってこんな事をしたかねぇよ!でも…このままじゃ…はやてが…」



声を荒げるヴィータ。その声には哀しみや悔しさが感じられる。



「だから!!」



ハンマーを強く握り締め…



「こんな所で止まれねぇんだよ!!」



突撃を仕掛ける。



「グラーフアイゼン!!」



「ぐっ!?」



彼女の武器を間一髪で後ろに跳び避けるフィリップ。

(今…はやてって…)



ヴィータの話の人物名に引っ掛かるフィリップ。



「うおおおおおおおおお!!」



凄まじい勢いで自らの武器、『グラーフアイゼン』を振り回すヴィータ。その心は泣いている…。



「くそ…ここまで…」



そうフィリップがあきらめかけたその時…























ヒュン







「!」





突如、彼の腹部にメモリの挿入口が二つついたロストドライバーのようなベルトが現れる。



「ダブルドライバー!?まさか、ジョーカーの適合者が!?」



『クワッ!!』



驚くフィリップの元にファングが駆けてくる。



「ファング!よし!」



何やら決心するとヴィータの開けた壁の穴から外に飛び降りるフィリップ。ファングもその後を追う。



「あっ!?バカ!!」



ヴィータもあわてて顔を出すが…



「いくよ、ファング…」



フィリップの声に反応して変形をするファング。そして、メモリ部分が露出する。



『ファング!!』



そして、それをキャッチしメモリ部分のボタンを押す。電子音声が鳴る。





ヒュン



すると、同時にドライバーの左側に紫色のメモリが出現する。それを、しっかり押し込むとファングをドライバーに挿入する。



「変身!!」



『ファング・ジョーカー!!』







ドライバーを左右に弾くようにして動かすとファングはケラトザウルスの頭を模したような形態になり、収容され、左側の紫色のメモリはそのまま左側に傾いて収容される。そして、また電子音声が鳴る。





ドン





地面に土煙をあげながら着地するフィリップ…。視界は遮られてしまう…。



「ちっ…」



後に続き地面に着地するヴィータ…。彼女はグラーフアイゼンを構えたまま土煙に紛れたフィリップの様子を探る…。



(今の行動…私の勘が確かなら、何か仕掛けてくる…。)



構えたヴィータの先の視界が晴れてくる…。そして、見えるのは赤く光る複眼二つ…。



(なんだ。昨日と結局、同じ…)















「「があああああああああ!!」」



「!?」



しかし、彼女の視線の先そこにいたのは疾風の緑の戦士ではなく…



「色が…ちがう!?」



右側が白く、左側が黒い戦士だった…。昨日の仮面ライダーサイクロンと似てはいるが体のパーツが至るところで刺々しい。











そう、それは仮面ライダーサイクロンではなく『野獣の切り札』の狂戦士、仮面ライダーW・ファングジョーカーだったのだ…。



































後編に続く…

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