| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法少女リリカルなのは 在り来りな転生記

作者:秋陽
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十四話 思いの大きさ

 弾け飛んだエネルギーは柱のように天に向かってそびえ高町とテスタロッサの二人をお互いの飛んだ方と逆の方に弾き飛ばす。
 二人共空中で勢いを殺しているようで勢い良く地面にぶつかるということもない。

「大丈夫か! テスタロッサ」

 そうと分かっていても心配なものは心配であり、声をかけてしまう。
 だが、距離が開き過ぎているその言葉はテスタロッサには届いていないらしく反応がない。
 それどころか破損してしまったバルディッシュを元に戻した後、ジュエルシードに向かっていく。
 そうして祈るようにジュエルシードを押し込めるテスタロッサ。

「テスタロッサのやつジュエルシードを無理やり押し込める気かよ。行くぞ、アルフ!」
「行くって言ったって……止める気なら行かせないよ?」
「止めねーよ。と言うか本当なら止めなきゃいけないんだろうが、あんなに必死になってる奴を止められるほど非常じゃねーよ」

 そんな事を言いながら俺はアルフと共にテスタロッサの方に向かう。
 アルフにも言った通り俺はテスタロッサの行動を止める訳にはいかない。ジュエルシードの封印に関しては俺なんかよりテスタロッサのほうが慣れている。手伝うことぐらいはできるかもしれないが、テスタロッサのあの行為自体を止める訳にはいかない。
 そうして俺達が近づくとほぼ同時にジュエルシードの暴走を押さえつけるテスタロッサ。思っているより外傷が少ないのはジュエルシードが願いを力に変える代物だったからかもしれない。

「フェイト!」

 ジュエルシードを抑えこむと同時に気を失ってしまったテスタロッサを支えるためにアルフが人型に変化しながら駆け寄る。
 それに一歩遅れて俺もそこに向かう。
 俺はテスタロッサが無事だったと言うことにただ安堵していただけだが、ふとテスタロッサを支えているアルフの顔を横目に捉える。
 そこにはテスタロッサの無事を喜ぶ顔でもなく、危機が去って安堵した様子でも無く、ただただ怒りの感情しかない鬼の様な形相で高町を捉える姿があった。
 テスタロッサの体を思ってかデバイスを失った高町に、それ以上何かをするのではなく素直に引き下がるアルフ。
 デバイスを失っていない俺はまだ戦うことができるが……テスタロッサ達が戻った今、俺だけがここに残って戦う意味は無い。その為アルフの後ろを追うように俺も続く。
 後ろを見ながら去るときに写った高町の顔はひどく悲しそうに見えた……。



 そんなことから少し後、俺は自分の部屋を右往左往していた。理由はテスタロッサの怪我の様子が気になったので俺も介抱すると言ったのだが、アルフに二人だけで話すことがあると断られてしまったからだ。
 外傷はそこまでなかったように見えたが、気を失うほど気力を使っていたというのでどうしても心配になってしまう。
 そんな事を思いながら何分も続けて部屋の端から端までを行ったり来たりしているのだ。昔からの俺の悪い癖で気をつけなければと思うのだが昔からの癖はそう簡単に治りはしないものだ。
 そろそろやめなければ近所から苦情が来るかもと考えていた所、

「大地、入って大丈夫?」

 というテスタロッサの言葉とともにコンコンっとノックがされる。その音を聞くやいなやドアを開ける。
 と、ドアを開けるとそこに見えるのはテスタロッサとアルフ。二人で俺の様子を見に来たらしい。
 普通はけが人であるテスタロッサの部屋の方にいかなければならないのだろうが……。そんなことを思いながらアルフの方を見ると、さっきまで俺が心配で部屋の中をウロウロとしていたのを知っているかのようにニヤニヤとこっちの方を見てくる。
 急にさっきまでの行動が恥ずかしく思えてくるが、そんなことはこの際、気にしないでおく。
 どうやら、テスタロッサは手に包帯を巻いて入るが体調の方は大丈夫のようだ。
 そこから少しの間話をする俺たち。その間にアルフに俺が物凄いテスタロッサのことを心配していたなどという茶化しをされたが気にしないでおくなど色々なことはあったがとりあえずは何事も無く過ごすことが出来たのだった。

「あ、大地」

 夜遅くになりテスタロッサ達が部屋に帰る直前に思い出した様にテスタロッサが話しかけてくる。何かと思って聞いてみるとどうやら明日の朝は大切な”用事”があるらしく部屋にいないということだった。
 その”用事”の内容を知ってるがゆえにテスタロッサが行くことを止めたかったが、止めてもテスタロッサは恐らく言うことを聞かないだろう。それだけテスタロッサにとってその用事の内容は大きいのだ。
 だから……

「その用事俺も付いて行ったら駄目か?」

 そんな事を言うことぐらいしか俺には出来なかった。
 え? と一瞬面食らったような顔をするテスタロッサ。アルフもテスタロッサと同様の顔をしている。
 断られるかもしれないという思いはあったのだが、そう聞かずにはいられなかった。

「いいよ」
「あーやっぱりそうだよな……って、え?」
「え? フェイト!? 何を言ってるんだい」

 意外にも断られると思っていたテスタロッサからはオーケーとの返事が返ってくる。その代わりに何故かアルフからは嫌そうな反応をされたが……。
 てっきりアルフには賛成されると思ってたんだがな……。
 とりあえずは了承を貰うことができ、俺のやれることは明日に備えるだけとなった。
 
 

 
後書き
少し遅れましたが、第十四話投稿完了です。
リアルの方では学校でそろそろテストがあるんですよね……。メンドクサイナー。
そしてもしかしたらここまで殆どストーリーをなぞっていただけの話が次から変化していくかもしれません。まぁ、あまり期待せずに待っていてください。

重なりあった二人の思いだけどその思いは強すぎて……。

誤字脱字指摘、感想等お待ちしております。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧