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トーゴの異世界無双

作者:シャン翠
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第一話 扉に吸い込まれました!

 
前書き
すごく長い作品になりますので、よろしくお願いします。 

 
 赤地闘悟(あかじとうご)は困惑していた。
 これはどういうことなのか。
 とりあえず落ち着いて考えてみよう。
 朝起きて闘悟は学校に出掛けた。
 今日も何事も無く平和で退屈な授業を受けた。
 そして、授業が終わり、部活もしていないので真っ直ぐ家に帰ってきた。
 両親は早くに死んでしまってるからいない。
 幸いにも莫大(ばくだい)な保険金のお蔭で生活には困ってはいない。
 無駄に広い家には闘悟一人で暮らしている。
 今日も誰もいない寂しい家に帰宅し、その寂しさを紛らわすように、家の掃除でもしようと思い立った。
 そこで、仏壇がある和室を綺麗にしようと畳をひっくり返した瞬間…………そこには扉がありましたとさ。


「ええっ!? どういうことだっ!?」


 闘悟は目の前の現実に戸惑い頭を抱える。
 扉? 何で畳の下に扉があるんだ? 
 しかも両開きだし。
 いや、そんなことはどうでもいいんだ。
 落ち着けオレ!
 闘悟は一度深く深呼吸する。
 そして、じっくりと扉を観察する。
 扉は畳一畳分の大きさだ。
 全体的に黄金色で、変な模様が描かれてある。


「こ、これってよくゲームとかで見る魔法陣みたいだな」


 その魔法陣のようなものが、扉の中心に描かれてあった。


「でも、これってどうやって開けるんだ?」


 見たところ、取っ手らしきものは無かった。
 押して開く扉なのかとも思ったが、だとすれば、扉自身の重さで開いているだろうという予想をする。
 そもそも、地面側に扉を造る意図が分からない。


「ん? いや、もしかして隠し金庫とか?」


 だが、その考えに至り急に熱が冷めた。
 仮に莫大な財宝があったとしても、今や闘悟は金には困ってはいない。
 というより、あまり物欲が無い闘悟にとっては、金の価値は低いものだった。
 闘悟は腕を組んで考える。


「ん~どうするべきか……開けるべきか……無かったことにするべきか……」


 闘悟はしばらく考えて、手をポンと叩く。


「よし、忘れよう!」


 そう思い畳を戻そうと立ち上がった時、いきなり扉が輝きだす。


「な、何だ!?」


 そして、扉がゆっくりと開いていく。
 眩しさを腕で防ごうとする。
 顔をしかめながら、扉から離れようとした瞬間、頭がくらっとした。
 足元がおぼつかなくなり、不運なことに置いていた畳に躓(つまづ)く。


「うわっと!」


 え? まさかこの展開は?
 そう思った時はもう遅かった。
 体が扉の方に流れていく。
 踏ん張ろうとしても、何かに吸い込まれるように引き寄せられる。
 そして……


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 闘悟は扉の中に消えていった。
 そして、その扉も最初から無かったかのように姿を消した。
 後に残ったのは畳がそこらかしこに散乱した和室だった。
 
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