魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~
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無印編 破壊者、魔法と出会う
9話:宝・石・奪・取&疾走しちゃうぞ☆
一夜明けて、再び朝が訪れる。
今日も朝日を全身で浴びて、体を起こす。一つ伸びをして、一階のリビングへ降りる。
「あ、おはよう士君」
「………お、おう」
そこにはいつもと違う光景が広がっていた。
なのはが…俺より早く起きている…だと……?
「…なんだなのは、今日は早いな」
「う、うん」
「天気確認しなきゃ。槍なんか降ってこなければ良いんだけど」
「な、なにそれ~!?」
そんな朝には珍しい会話をして、朝食を済ませ学校へ登校する。
時間は流れ、日が沈み始める時間帯。
え?間はどうしたって?そんなのよくあるこった、気にすんな。
で、なのはは寄り道するって言って、俺とは別の道で下校。俺は先に高町家へ戻る。
が………
〈マスター、反応です!〉
「ったく、少しは休ませて欲しいものだな…」
ジュエルシードの反応により、俺はディケイドへ変身して向かう。勿論、バイクだ。
俺が到着したのは、なのはとテスタロッサの二人がジュエルシードの封印を終えていた頃だった。
「…俺何もしてねぇな」
〈そんな時もありますよ〉
封印されたジュエルシードが宙に浮いたままだが、二人はお互いのデバイスを向け合う。
「だけど、譲れないから」
〈 Device form 〉
「私は…フェイトちゃんと話をしたいだけなんだけど」
〈 Device mode 〉
「私が勝ったら…ただの甘ったれた子じゃないってわかってもらえたら、お話、聞いてくれる…?」
お互いのデバイスをいつもの形に戻す二人。それを見守るユーノとアルフ。
唐突に、二人が同時に前へ進み始めた。そしてお互いに持つデバイスを振りかざし、今にもぶつかりそうになる。
かと思えば、二人の間に一つの魔法陣が現れ、二人の攻撃を何者かが受け止めた。
「そこまでだ!ここでの戦闘は危険すぎる。時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。詳しい事情を話してもらおうか」
光が収まったかと思うと、そこには黒いバリアジャケットを着た奴がいた。
「…トリス、時空管理局ってのは?」
〈わかりません。私の記録データにはありませんが…〉
「少なくとも、穏便な輩ではない、か…」
トリスとそんな会話をしている間に、地に降り立っていた空中にいた三人。そこに黄色の魔力弾が複数放たれる。先程やってきた輩が、それを魔法陣を展開し防ぐ。
「フェイト、撤退するよ。離れて!」
それを聞いたテスタロッサはいち早く空へ。すぐにその場へ先程より大きい魔力弾が放たれ、爆煙を作る。そこにいた二人は爆煙の中から出てくるのも確認した。
空を飛んでいたテスタロッサは、ジュエルシードに向かって手を伸ばす。だが、そこに新たな魔法弾が地上から放たれ、内数発がテスタロッサに命中してしまう。
「うわぁ!?」
「フェイト!」
「フェイトちゃん!」
フェイトはそのまま地上へ落下、それを見たアルフはすぐにテスタロッサの落下地点へ向かい、フェイトを受け止める。
魔力弾が放たれたであろう場所を見ると、先程の輩がデバイスを構えていた。そして再び魔力弾を放とうと、魔力を溜めていた。
「ダメ!」
「っ!?」
「止めて!撃たないで!」
「俺達はジュエルシードを!」
〈了解です!〉
〈 KAMEN RIDE・FOURZE! ATACK RIDE・ROCKET! 〉
そんな輩とテスタロッサの間になのはが走り込む。俺達はその隙にカードを使用。その姿を白い体をした、頭部がスペースシャトルをモチーフにした仮面ライダー、「フォーゼ」へと変え、右腕にロケットモジュールを展開する。
「よっ!」
「なっ!?」
「アルフ!受け取れ!」
ロケットモジュールで体を宙に浮かせ、ジュエルシードを確保。それをテスタロッサを背負うアルフへと投げ渡す。アルフはそれを口でうまくくわえる。
「逃げるよフェイト!しっかり捕まって!」
アルフはそのままその場を去っていく。俺も地面に着地し、ディケイドへと戻る。
「き、貴様!今何をしたか、わかっているのか!?」
「何って、こちらからしてみれば、お前の方が何なんだと言いたいんだが」
「さっき名乗った筈だ!僕は時空管理局の…」
「はいはい、時空管理局ねぇ。知らねぇなぁ、そんのもん」
「な、なんだと!?」
俺の言葉にあからさまに怒りを見せる……クロ…クロ…まぁいいや。まだ話の途中だしな。
「いきなり見ず知らずの輩が現れ、いきなり知り合いを怪我させられたら、誰だってお前を疑うと思うぞ?」
「な、そんなこと――」
『もういいわ、クロノ』
「――かあさ、艦長!?」
そのとき、空中にモニターみたいなものが浮かび上がり、それにとある女性が浮かび上がる。
「んで、誰だあんた?」
『あら、紹介がまだだったわね。私はリンディ・ハラオウン。そこの彼、クロノ・ハラオウンの上司で…母親よ』
「ほう、家族そろってコソ泥ってか?ご苦労なこった」
「貴様…!」
『止めなさいクロノ。こちらにも非があります』
またしても怒りを向けてくるクロノ?を止める。
「しかし!」
『それよりも、ちょっとお話を聞きたいから、そこの二人をアースラに連れてきて欲しいの』
「了解です…」
『後、そこの方にも…』
「はい…」
何かあるのか、二人して俺を見ながら会話を進めていた。
[何かあるかもしれませんね]
[あぁ。警戒しとくべきかね…]
クロノが展開した魔法で視界は一気に変わる。その変わりように、少し目をつぶる。
そして次に目を開くと、そこはどこかわからない場所だった。
[え~っと、ディケイドさん、ユーノ君。ここって一体…?]
[時空管理局の、次元航行船の中だね。簡単に言うと、いくつもある次元世界を行き来する為の船、っていえば、わかるかな?]
[あ、あんま簡単じゃないかも…]
[俺は何となく理解した]
と言うのも、実際ディケイドの世界とか、そんな要素があったから、なんとなくな感じだが。
しばらく念話で話していると、奥にあった扉の前まで来た。扉は自動で開き、俺達が先に進むとこれまた自動でしまっていく。
「あぁ、いつまでもその格好でいるのも窮屈だろう。バリアジャケットとデバイスは解除して平気だよ」
「あ、そっか。そうですね。それじゃあ…」
クロノの言葉を聞き、バリアジャケットとデバイスを戻すなのは。てか、そんな簡単に解除していいのか?
「君も、元の姿に戻ってもいいんじゃないか?」
「あぁ、そう言えばそうですね。ずっとこの姿でいたから、忘れてました」
クロノの提案にそう答えるユーノ。本当の姿?と思っていると、ユーノの体が発光し始め、その姿を徐々に変えていく。
「ふぅ。なのはにこの姿見せるのは、久しぶりになるのかな?」
「へ、え、あ、え……」
「ふえぇぇえぇぇえぇええぇぇぇぇぇ!!?!?」
光が晴れ、人の姿になって立ち上がるユーノ。それを見たなのはは一瞬固まるが、すぐになのはの叫びが部屋をこだまする。
「…なのは?」
「ユーノ君ってユーノ君って、あの、その、なにぃ?!えぇ、だって、嘘!?ふえぇぇぇぇ!?」
「君達の間で、何か見解の相違でも?」
「えっと、なのは。僕達が最初に出会った時って、僕はこの姿じゃあ…」
「違う違う!最初っからフェレットだったよぉ!!」
その言葉を聞き、ユーノは記憶の中を探る。そしていかにもチーン、という効果音が出そうな程の顔を見せる。
「あぁ!そうだ、そうだ!ぁぁ、ごめんごめん…」
そうかぁ、ユーノは実は人間だったんだ~。だから人の言葉も話せるんだ~。
―――さて……
ガシッ!
「うわっ!?」
「ちょっと待てや…」
ふざけた思考も途中で止め、俺は右手を伸ばしユーノの頭を握る。所謂アイアンクローと呼ばれるものだ。
「え、えぇっと…ディケイドさん、何か…?」
「しゃべるな。俺がする確認に答えろ」
「は、はい…」
突然の出来事に戸惑いながらも問いかけてくるユーノだが、いつもよりドスの利いた声で話す俺に恐れをなしたのか、小さく返事をした。
「お前は、なのはに自分が人間だという旨を伝えたか?」
「い、いえ」
「では、お前はこの間なのは達と一緒に行った家族旅行の事を覚えているか?」
「な、なんでそんな事まで「答えろ…」は、はい!覚えています!」
「お前はそのとき、温泉に入ったな」
「はい、それがどう………」
俺の言いたい事がわかったのか、段々と顔を強ばらせる。俺はユーノの頭に置く手に力を込める。
「気づいたのなら、お前は制裁を受けるべきだな…」
ギリギリギリ……
「い、痛い!痛いです!ちょっと待って…!それは誤解です!不可抗力です!」
「あの、すいません!それ、私が無理矢理…」
「その話は追々聞かせてもらうとして、今は急いでもらいたいんでが…」
「あ、はい…」
「救われたな」
「はは……」
そんな言い合いも、クロノの一言で片付けられる。それになのはは返事をし、俺はユーノにボソッとささやきユーノの頭に置いていた手を戻す。それを聞いたユーノは少し苦笑した。
ふと前を見ると、クロノがこちらをじっと見ているのに気づいた。
「…あなたは、バリアジャケットを解かないのかい?」
「……いやだね」
クロノにそう勧められるが、俺は拒否する。だってよ……
「こんな殺気立ってる場所で生身になる訳にもいかないでしょ」
「へ?それって…」
「はやり気づいていたか」
俺の一言になのはとユーノは首を傾げるが、クロノは表情を少ししかめたまま、デバイスを持っていない手を挙げる。すると先程まで感じていた気配が動き出す。
「なのは、ユーノ。少し乱暴だが、許せ」
「「へ?(ふぇ?)」」
「んどっこいしょ!」
「「わっ(きゃっ)!?」」
すぐ側にいた二人の首根っこを掴み、クロノのいる方へと投げる。ユーノはそんな状況になれているのか、うまく受け身をとる。なのはは…うん、相変わらずだな。
そんな思考をしている間にも、感じていた気配は俺を取り囲み……手に持つデバイスを俺に向けてきた。
「ふぇ!?何これ!?」
「あなた…否、ディケイドと呼んだ方がいいか。君は僕達管理局にとっても危険な存在だ。おとなしく武装を解除して欲しい」
「ふぅ、招かれた客だった筈なんだけどな~」
俺の周りを取り囲んだ連中は、どうやら管理局の側の人間。ざっと見て大体20…否、30近くはいるか。まぁ、状況としては俺を拘束しようってことだろう。
「にしても、話があるってんで来たのに、これじゃあ何がしたいのかわからないな…」
「無駄口を叩くな。おとなしく武装を…」
「嫌だと言っているだろ。人の話はちゃんと聞くべきだぜ。まぁ取りあえず……」
そこでいったん言葉をきり、カードを取り出す。
「このままじゃ、話も何もないからおとなしくしてもらうぜ」
「それはこちらのセリフなんだが…」
「まぁいいじゃないか」
〈 KAMEN RIDE・FAIZ! 〉
しゃべりながらもカードを使用し、その体をディケイドから黒を基本としたスーツに銀色の装甲をつけ、赤いラインが走った姿、仮面ライダー「ファイズ」へと姿を変える。
「っ!?総員攻撃態勢!警戒を怠るな!」
「時間がないんだっけか?ならすぐ終わった方がいいよな」
それを見たクロノは周りを囲む連中に指示を出す。そんな中、さらに一枚カードを取り出し、ディケイドライバーへと入れバックルを回す。
〈 FORM RIDE・FAIZ AXEL! 〉
「十秒間だけ待ってくれ。それで終わらせるからよ」
「なっ!?」
音声と共にファイズの胸部の装甲が展開され、複眼や体に走るラインの色が変わる。ファイズの高速移動形態、アクセルフォームだ。
俺の十秒間という宣言に驚くクロノ。その間に俺は左手を動かし、右手首に装着されているコントロールデバイス、『ファイズアクセル』のスタータースイッチへと指を伸ばす。
「総員、一斉攻撃!」
「遅ぇよ…」
〈 Start Up 〉
クロノの声が響くが、時既に遅し。俺の指はスイッチを押し、ファイズアクセルから音声が流れる。
〈 Start Up 〉
その謎の音声と共に、周りを取り囲んでいた魔導師達の攻撃が一斉に降り注ぐ。
攻撃で出来た爆煙が消えると、そこにはディケイドの姿がなかった。
「なっ、あいつは一体何処に…」
「ぐっ!?」
クロノはすぐに周りを見渡すが、すぐに周りに変化が起き始めた。ディケイドを取り囲んでいた魔導師の一人が急に倒れたのだ。
「おい、どうし―――ぐはっ」
「がっ…」
「ぶっ!」
近くにいた一人の局員が状況を確認する為に声を出すが、すぐに自らに襲いかかる痛みに悶え倒れる。そして次々と周りにいる局員が倒れていく。
「っ…総員、警戒態勢!」
そう叫ぶクロノだが、それでも被害が止まる事はなかった。その他に聞こえるのは、何処からか聞こえる電子音だけだ。
(くそ、どうなっている!?)
『十秒間だけ待ってくれ』
(まさか、これは奴がしている事で…本当に十秒で…!?)
〈 Three 〉
どんどん倒れていく局員。そしてカウントのように響く音声。
〈 Two 〉
30人程いた魔導師も、ほぼ…いや――――
〈 One 〉
――――全員地に伏せてしまった。
〈 Time Out. Reformation 〉
「これで十秒っと」
「っ!?」
音声が止んだと同時に、クロノの後ろからディケイドの声が聞こえる。クロノはすぐにデバイスを構えながら振り向く。そこには先程の銀色の姿ではなく、会った時と同じ姿のディケイドだった。
「そう警戒しなさんな。俺は別にお前らとやり合おうなんて思ってねぇから」
「だが、ここにいる局員を全員倒したじゃないか!」
「それは、お前らと話し合いをするのに邪魔だっただけだ。あ、因に全員気絶するか悶絶するかぐらいの力加減はしといてやったぞ。感謝しとけ」
「するか!!」
クロノの叫びにディケイドは肩をすくめながらため息をつく。先程ディケイドに投げ飛ばされたなのはとユーノも静かにこちらを見ている。
するとディケイドが両手を動かし始めた。クロノはより警戒を強め、デバイスを強く握る。
動かされた両手はゆっくりとベルトへ向かっていき、一つの動作を行う。すると、そこにいた筈のディケイドの姿はなくなり、代わりにその場にクロノと同じぐらいの背丈を持つ子供がいた。
「ふぅ…これで、文句はねぇだろ」
「「「え(ふぇ)……??」」」
「「「え(ふぇ)ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?!?」」」
その姿を見た三人は、大きな叫びを時空航行艦アースラに響かせた。
後書き
このサイトにおける「部」と「章」の違いがいまいち良くわからない……
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