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生活、青い天井について
何かを話したい気持ちだけがあって、
話したい事は何もない。
星新一の小説で読んだんだ、情報はそこら中に溢れて右から左から入ってくる。
でも、それを上手く処理することも出力することもできない。
耳は2つもあるのに口は1つしかないからね。
出力する前に死んでしまった情報が行き場を亡くして
ここには話したい欲求だけがのこったんだ。
行き場の無い会話を続ける僕は21歳になっていて君は19歳だった。
「この家の小麦粉は捨てた方がいいよ。絶対、ダニとか湧いてるから。」
幼さを残しながらも凛々しい顔立ちをしていて声が大きいそして時々、漠然とした不安に呑まれてしまう、それが君。
「わかったよ。でも、小麦粉のお葬式はいつするんだい?」
小麦粉をどうしても捨てたくない貧乏性、それが僕。
「小麦粉の魂を誰かが救ってあげないといけないかもしれないんだ。」
キッチン、食器棚、テーブル、パソコン、トイレ、隣のマンションの壁しか見えない窓、
必要な物を無理矢理に詰め込んだ狭いワンルームにSONYのコンポから小さくスミスの曲が流れていて、
時々、上の階の住人のくしゃみの音が聞こえる、
それが僕の家。
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