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八条学園怪異譚

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第二十五話 飛ぶ魚その三

「別に殺したりとかはしないからね」
「そうよね、それはしないわよね」
「驚かせるだけで」
 二人もそのことを知っていて言う。
「別にそういうことしないで」
「悪戯だけなのね」
 二人も頷く、そうした話もした。
 そして博士もこう言うのだった。
「教会だのお寺だのもな」
「泉の候補地ですか」
「そうなんですね」
「中には本物の井戸もあるぞ」
 そのものずばりである。
「もう井戸としては使われておらんがな」
「井戸も異界への出入り口になるんですよ」
 ろく子がこのことについて話す。
「それで行き来することも有り得ます」
「じゃあ井戸も調べる?」
「そこも」
「そうしてみてはどうでしょうか」
「そうね、その時はね」
「確かめてみるわ」
 実際にそうしてみると答える二人だった。博士はその二人にさらに話す。
「教会の扉なり何なりじゃ、今から泉の候補地を話すぞ」
「はい、お願いします」
「メモ取りますね」
「うむ、ではな」
 博士は二人がメモの用意をしたところで残された泉の候補地を全て話した、その全てを聞いてからだった。
 二人はそれぞれのメモを見ながら博士に言った。
「まだ結構あるんですね」
「多いですね」
「広い学校じゃからな。怪談話があるところにはな」
「大抵泉の候補地がありますね」
「そしてその中の一つが」
「泉じゃ」
 二人の探しているそれだというのだ。
「それじゃよ」
「そうですね。どれか一つがですね」
「泉ですね」
「絶対にあるぞ」
 博士もこのことははっきりと断定していた、残された問題はというと。
「問題はそれが何処かじゃ。それに」
「それに?」
「それにっていいますと」
「君達は好奇心、探究心から泉を探しておるが」
 二人は純粋にそうした感情に基づいて探している、だが博士はその二人に対してここで真剣な面持ちで言うのである。
「泉を見つけた時どうするのじゃ?」
「その時ですか」
「泉をですね」
「そうじゃ、どうするのじゃ?」
 再び問うた。
「泉をな」
「泉を封印するかどうかですか?」
「壊すとか」
「それも出来る」
 選択肢としてあるというのだ。
「そうすればこの学園に妖怪が出入りすることもない」
「そうなるんですか」
「妖怪さんや幽霊さんが」
「わしにはその力もある」
 封印したりする力がだというのだ。
「知識としてあるわ。仙術なり陰陽道でな」
「というかそういう知識もあるんですね」
「オカルト関係も」
「オカルトもまた学問じゃよ」
 博士はそうしたものについても否定しない。
「そこにあるものは深く広いのじゃよ」
「厨二とかいって馬鹿に出来ないんですね」
「そうしたことも」
「そうじゃよ。とにかく封印することも出来る」
 博士はまたこの選択肢を示す。 
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