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万華鏡

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第二十四話 難波その二

「織田作死んでカレーを残すね」
「カレー?」
「そう、カレーなの」
 自由軒のそれだというのだ。
「そう言われてるの」
「カレーを残したの」
「善哉と鰻丼もだけれどね」 
 こうしたものもだというのだ。
「自分の作品に出して残したの」
「死んでもなのね」
「だから織田作死んでカレー残すなの」
 そぷなるというのだ。
「この難波だとね」
「そうなのね。カレーねえ」
「そのカレーも食べましょう。鰻丼は流石にちょっと高いけれど」
 里香は鰻丼には苦笑いで言う。
「お金持ってるかな、皆」
「うん、実は」
「持って来たけれど」
「ちゃんとさ」
 四人は笑顔で里香に答えた。
「晩御飯の分もって」
「お母さん出してくれたの」
「私もだし。それじゃあね」
 里香は四人の言葉を受けて笑顔で言った。
「晩御飯になると思うけれど鰻丼もね」
「食べるのね」
「それも」
「そうしよう、いづも屋のね」
 これがその鰻丼を出す店だった。
「そこに行こうね。同じ難波っていうか自由軒とグランド花月の間にあるから」
「ああ、あそこか」
 美優は里香から店の場所を聞いて目をしばたかせて言った。
「あのお店なんだな」
「美優ちゃん知ってるのね」
「角っこの店だろ、元禄寿司があって」
「そう、あそこよ」
「あの角ってがんこ寿司もあるからわかるんだよ」
 難波にはこの店もある、かつては大阪球場に目立つ看板を出していた。
「あそこか」
「そうなの、本当に近いでしょ」
「だよな。けれど難波って店が集まってるよな」
「夫婦善哉は離れてるけれどね」
 夫婦善哉は法善寺横丁にある、五人が今いる場所からは結構歩く場所だ。
「それでもね」
「近いんだな」
「だから行き来が楽よ」
 里香はにこりとして美優に応える。
「だから蓬莱に行って金龍ラーメンに行って」
「自由軒行ってね」
「なんばグランド花月に行ってその前でたこ焼き食べて」
 そこからだった、景子がが言っていく。
「歩いて法善寺まで行って」
「そう、夫婦善哉を食べて」
 これがおやつだった。
「それでよね」
「鰻丼ね。ただね」
「ただって?」
「いずも屋の鰻丼は量は少ないから」
 実はそうなのだ、これもまたいずも屋の特徴だろうか。
「それの後で何かを食べる?」
「何かをって」
「おうどんとかお好み焼きとか」 
 どちらも炭水化物ということは大阪では突っ込んではならない。大阪ではお好み焼き定食にうどんをつけることもあるからだ。 
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