レインボークラウン
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第十四話
第十四話 十枚目は
春奈はタロットを使っていた、それで占うことはというと。
使い魔のイーとリャンが自分の家の勉強机でそれをしている主にその机の上からこう言ってきたのである。
「ご主人様、転校してくる人のことだよね」
「その人のことですね」
「うん、その娘のことだけれど」
春奈も二匹に答える。
「一体どんな娘かね」
「やっぱり気になるよね」
「どうしても」
「ええ、どんな娘かね」
カードをシャッフルさせながら言う、それも時折逆にしたりして。
「今から占うわ」
「ケルト十字だね」
「それで占うんだね」
「ええ、それでやってみるわ」
タロットではオーソドックスな占い方である、この他にも様々な占い方があるがその都度それは変えて占われる。
「じゃあね」
「うん、それじゃあね」
「やってみましょう」
二匹も主の言葉に頷く、そしてだった。
そのケルト十字で占ってみた、一枚ずつカードが出て。
最後の十枚目、それはというと。
「これって」
「あっ、太陽だね」
「それが出たね」
正のそれである。逆にはなっていない。太陽のカードは明るさそのものと言っていい、かなりいいカードである。
「じゃあいい人かな」
「そうなのかな」
イーとリャンもそのカードを見て言う。
「じゃあいいのかな」
「そう思うけれど」
「けれどどうも」
だが、だった。春奈は他のカードも見て言った。
「何か気になるわ」
「あまりいいカードないね」
「そうですね」
「何かこれって」
「どういうことでしょうか」
「結末はいいしいい娘みたいだけれど」
春奈は十枚のカードを見ながら言う。
「そこまで至るには色々あるのかしら」
「前途多難とか」
「そんな感じかな」
「そうかも知れないわね」
浮かない顔で言う春奈だった、そして使い魔達も言う。
「まあそれでもね」
「ハッピーエンドみたいだから」
終わりよければ、というのだ。占いが示したものは茨の先のハッピーエンドだった。
第十四話 完
2013・2・27
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