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八条学園怪異譚

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第二十四話 古墳その八

「だからそれはね」
「安心していいのね」
「ええ、ただ」
「ただ?」
「聖花ちゃん今眼鏡してるじゃない」
 聖花は部活や授業の間はずっとしている、視力の関係でそうしているがこれがまた結構似合ってもいる。
 しかし愛実はその眼鏡についてこう言うのだった。
「時々つけたままにしてるけれど」
「それがなのね」
「眼鏡はまだいいけれど」
 後にそれでも、とくる口調だった。そして実際に愛実はこう聖花に言った。
「他のことも時々ね」
「うっかりっていうのね」
「そうしたことがあるから」
「ううん、昔からよね」
「気をつけてね。それじゃあね」
「うん、それじゃあよね」
 聖花は愛実のことを首を捻って言った、その話をしてだった。
 二人は部活も楽しんだ、そうした話をしてだった。
 二人はその日の夜また動物園に向かった、すると入り口に猫又と送り犬がもう待っていた。
 二匹は二人の姿を見るとすぐにこう言ってきた。
「こんばんは、じゃあ今日はあそこだね」
「古墳に行くんだよね」
「ええ、そっちでお願い」
「今からね」
 夏の制服姿の二人は微笑んで二匹に返した。
「大体の場所はわかるけれどね」
「前に結構中を歩いたから」
「ああ、大体じゃ駄目だよ」 
 今日も後ろ足で立つ猫又が言う。
「動物園とかじゃね」
「広いからよね」
「広いし色々なコーナーがあるからね」
 それぞれのコーナーが個性を主張してだというのだ。
「あれこれ身置いてそれに目を取られて、しかもそのコーナーが置かれてる位置関係もあるし」
「迷路になるのね」
 聖花は猫又にこう言った。
「そうなるのね」
「そうだよ、だからね」
「大体だと駄目なのね」
「絶対にね、そこは気をつけてよ」
「そうなのね」
「水族館や植物園でもだけれどさ」
 それはどちらもだというのだ。
「こうした場所はちょっとやそっとじゃね」
「案内役なしで歩いたら」
「特に夜はね」
 夜はとりわけそうだというのだ。
「夜の動物園で道に迷いたくないでしょ」
「ちょっと怖いかも」
 聖花は動物園の中、今から入るその中を見ながら答えた。
「確かにね」
「そうだよね、女の子二人じゃ不安だろうし」
「僕達も一緒にいさせてもらうよ」
「送り犬さんはね」
 愛実はその送り犬に言う、外見は普通の犬と全く変わらないがそれでも妖怪であることは紛れもないことだ。
 その送り犬にこう言ったのである。
「いつも後ろにいるわよね」
「そうした妖怪だからね」
「それ結構怖いけれど」
「つけられてると思うからだね」
「ストーカーじゃない」
 現代の視点ではそうなる。
「それってね」
「ああ、そうなるかな」
「そうなるわよ。ただね」
「今度は?」
「それでもどういう人かわかってるとね」
 愛実はここでは妖怪を人とみなして話した。 
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