八条学園怪異譚
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第二十四話 古墳その七
「よかったわね」
「うん、個人の大会にも出られるなんて」
「出られるなんて思ってなかったから」
そんなことはとてもだったのだ、愛実にとっては夢の様な話だった。
だからここでこう言ったのである。
「信じられないわ」
「じゃあ頬っぺたつねってみたら?」
先輩はその愛実に微笑んでこうも言ってきた。
「そうしてみたら?」
「じゃあ」
愛実は先輩の言葉に応えて実際に自分の頬をつねってみた、すると。
「痛いです」
「痛いわよね」
「夢じゃないんですね」
「そうよ、夢じゃないから」
「本当に大会に出られるんですね」
「じゃあいいわね」
「はい、頑張ります」
愛実は顔を輝かせてそのうえで先輩に応えた、愛実の日常は入学の時とは違い晴れやかなものになっていた。
それでだった、そのかるたも。
波に乗る、それでだった。
「私の勝ちね」
「愛実ちゃんさらに動きがよくなったわね」
「私って何かね」
「気持ちがそのまま調子に出るのね」
「そのタイプみたいね」
「私ずっと愛実ちゃんと一緒にいたけれど」
愛実のその顔を見て本人に言う。
「そのこと今気付いたわ」
「実は私も」
愛実自身もだというのだ。
「そうなのね」
「みたいね。だから気持ちが落ち込むと」
「調子も落ちるのね」
「そのことを気をつけないとね」
「そうよね」
二人で話す。
「気持ちをいつも昂ぶらせるって難しいけれど」
「それってね」
「落ち込んだ時がね」
愛実は自分で言った。
「私本当に落ち込みやすいから」
「あっ、それはそうね」
このことは自分でもわかる、入学した時の暗くまさに歪もうとしていた自分のことを思い出しながらである。
そのことは聖花も知っていたので頷く。
「愛実ちゃんって気持ちの上下激しいわよね」
「そうなの。自分でもわかってるけれど」
それでもだというのだ。
「中々ね」
「なおらないとか?」
「そうなの。安定感ないとね」
それならというのだ。
「お料理にも差し支え出るし」
「そう?愛実ちゃんのお料理はね」
このことは幼い頃からの付き合いから話す。
「家事全般だけれど」
「どうなの?」
「安定感あるわよ」
「気持ちの上下に関係なく?」
「落ち込んでる時でも包丁捌きいいし」
このことは子供の頃からだ。とにかく愛実の包丁捌きはいつもいい。
「それにお掃除もお洗濯もね」
「調子が変わらないっていうのね」
「ええ、そうよ」
こう話すのだった。
「安心していいわ、そっちはね」
「ううん、そういうことが安定してるのならいいいかしら」
「多分愛実ちゃんにとっては日常だから」
料理屋他の家事全般がだというのだ。
「だからね」
「普段と変わりなく出来てるのね」
「多分ね。私はその点は」
「聖花ちゃんはいつも安定感あるじゃない」
聖花はそうなのだ、彼女は安定感がある、そこが愛実と違うのだ。
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