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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第三章 聖杯大戦編
  第八十二話    『外伝12 お花見(前編)』

 
前書き
お花見前半です。 

 




そして土曜日になり、空はみんなの祈りは届いたらしく快晴で、かぜは少し冷たいが日差しはポカポカ暖かい。
絶好のお花見日和なのである。すずかの家が手配した敷地では…。

「あー、テステス…大丈夫そうだね。それではお集まりの皆さん。お待たせしましたー!」

エイミィがマイクを取り会場を盛り上げる。

「幹事を務めさせていただきます時空管理局執務官補佐エイミィ・リミエッタです!」
「そして高町なのはとシホ・E・S・高町の姉で一般人、高町美由希でーす!」

それでまたしても拍手が上がり、

「それから今回の運営の責任者を買って出てもらいました管理局メンバーでもお馴染みリンディ・ハラオウン提督にご挨拶と乾杯の音頭をお願いしたいと思います」

それでマイクはリンディに移り、

「はーい、みなさんこんにちはー。今日は綺麗に晴れましたねー。
はい。こちらの世界の皆さん、特に関係者のご両親、ご兄弟の皆様は私達管理局や次元世界の存在や実情…そして魔術師やサーヴァントといった存在。
説明を受けてもいまだに馴染みが薄いという方もいらっしゃいますかもしれません。
こういった集まりを通して双方の親交を深めるというのも貴重な機会かと思います…。
―――と、まぁ堅い話はお題目としておいといて、今日は花を愛で食事を楽しんで仲良くお話をして過ごしましょう!
それでは今日の良き日にカンパーイ!」
『カンパーイ!!』

それでお花見は無事開始された。

「はいはい! せっかくなんであんまり身内同士で固まらないで日頃あまり話さない人達と交流を深めましょう。
それから大人の皆さんはお酒をあまり飲みすぎませんように」

エイミィの言葉で全員は返事を返しながらもそれぞれお話をしだす。
なのはは呆然としながら、

「はぁー…なんだか大人数になっちゃったね」
「うん…。アースラクルーも結構来ているから六十か七十近いのかな?」
「まぁ、闇の書事件と聖杯大戦事件を得て人が大量に増えたからね」

その増えたサーヴァント勢はそれぞれ酒盛りをしている。
ランサーとアサシンが豪快にお酒を飲んでいるしアルトリアとネロも酒の飲み比べをしている。
アルクェイドと志貴は食事にありついているしオリヴィエとライダーとキャスター(人の姿に変化できた)もそれぞれ楽しんでいる。

「うちの大人達はうちのお父さんにアリサちゃんのお父さん、すずかちゃんのお母さんと…」
「ウチのパパ、乾杯する前から既に士郎さんと飲み始めていたわよ」
「あはは…あの二人仲良しだから」
「それから石田先生もいらっしゃるって…」
「あ、でも石田先生って管理局とか魔法とか魔術のこととかって…」
「知らないわよね」
「うん、そういえば…」
「あはは。一応内緒にせなあかんけどまぁ平気やろ。リンディ提督やレティ提督にはお願いしといたし」
「そっか!」
「それじゃ私達も内緒にしておかないとね」
「ごめんな」

それで全員が苦笑する。

「さて、それじゃぼちぼちかまけようか。ざっとあいさつ回りして軽く食べてそれからみんなで特等席にいこう!」
「特等席…?」
「それって、なに…?」
「私も聞きたいわ」
「私も私も!」

はやてとフェイト、シホとアリシアが反応を返す。

「にゃはは…内緒の場所があるの」
「すごく綺麗な場所…」
「それじゃいこ、すずか。挨拶回り」
「うん。それじゃシホちゃん、みんなまた後で」

それですずかとアリサは挨拶回りにしにいった。

「さて、私も分離や。レティ提督とかアースラの人達にご挨拶せな」
「うん。私もさっき武装隊の人達見かけたから挨拶してくる」
「なら私もいくわ」

それでシホ達は各自分かれた。
別れ際にアリシアはフェイトに、

「フェイト! こういうのも楽しいね!」
「そうだね、アリシア」
「ここにもしお母様もいたらもっと楽しめたんだけど…無い物ねだりはしちゃダメだよね」
「うん…」
「アリシアも強くなったわね」
「うん。私はフェイトのお姉ちゃんだから!」

シホに褒められてえっへんと胸を張るアリシアの姿に微笑ましい光景だとシホは思う。
それからフェイトはアルフの方へと向かい、なぜかそこでランディとアレックス、アルフに歌を勧められ、そこにシグナムとシャマルまで参加してきてなのはとユーノに聞いてぜひと進める。
それでフェイトは赤くなりながらも、

「少しだけですからね?」

そう言ってフェイトは歌いだす。
それによって近くにいた人達は聞き耳を立てる。

「~♪~~♪」

そして歌いきると一同が歓声をあげる。

「フェイト! 歌、よかったよ」
「ありがとう、アリシア」
「はぁ…でも恥ずかしかった。なんだか変だったでしょう」
「テスタロッサ」
「は、はい…」
「いい歌だ。お前は歌が上手いんだな」
「あ、ありがとうございます。シグナム…」
「テスタロッサちゃん、すごいわね。なんだかドキドキしちゃった」

シグナムが褒めてシャマルが絶賛する。

「フェイトは歌が上手いんだよ」
「うう…」
「良い歌は好きだ。よければこれからも時々聴かせてくれるか、テスタロッサ?」
「まぁご希望でしたら…」
「それでいい」

そこでシャマルがお肉をもらっていい? と言ってランディとアレックスに聞いていた。
それに縄張り争いがすごいアルフがガウガウ言っていたが…。

「しかしお前はいい加減その言葉遣いはやめろというのに。姉のアリシアの方は普通に話しかけてくれるぞ? なぁ?」
「ねぇ~!」
「そんなこと言っても年上の人には丁寧語というのはウチの家庭教師の教えなんですよ。
まぁあれです。模擬戦の勝率が五割を越えるようになったら胸を張って対等に話せますかね? えっへんと…」
「なんだ? それじゃ一生無理じゃないか?」
「無理じゃないです。まだまだこれから身長も魔力も伸びますしね」
「背が伸びたくらいでそうそう強くなるものでもなかろうに…」
「まぁ見ていてください」
「ま、私も立ち止まってはいないからな。せいぜい走って追いついてこい」
「はい。なるべく早めに追い抜くつもりで!」
「ふっ、生意気な…」

そう言ってシグナムはフェイトの頭を乱暴に撫でる。
それにフェイトも嫌な顔をせずに受け入れる。

「それじゃ次はシホちゃん! お願いします!」
「うぇっ!? なのは、私…!?」
「うんうん! こういう時こそシホちゃんの歌声を披露する時だよ! いつも公園で歌っているでしょ?」
「あ、あれは動物に聴かせているだけで…こんな大勢人がいる中でそれはさすがに…」
「なんだ? ヴィータから聞いたがシュバインオーグ。お前の歌もそうとううまいと聞いたぞ?」
「で、でもね…!」
「奏者よ。輝かしい姿を見せてくれ!」
「お姉様! 期待しています!」
「ネロ、フィア…!」

ネロとフィアットにも応援されてシホは観念したのか渋々とだが、でもいつもの気持ちでローレライを熱唱するのだった。
それに外国の歌が分かるアリサの父がシホの歌声に絶賛していた。
そして歌い終わるとまたしても絶賛の声が響き渡り、シホは顔を赤くするのだった。

「いい歌だったぞ。シュバインオーグ。お前の歌もテスタロッサと同様にたまに聴かせてくれ」
「いいけど…シグナム、あなた天然でそういうこと言うのね」
「何か変か…?」
「いや、別に…」


◆◇―――――――――◇◆


そのシホの歌声を肴にリンディ、レティ、すずか、アリサが乾杯をしていた。

「シホちゃんの歌、いい歌だね」
「そうね、すずか」
「うん。歌もいいけどこのお酒美味しい。これはこっちのお酒?」
「うちの父が持ち込んだワインだそうです」
「葡萄っていう果実から作った果実酒なんですよ」
「そう…いい香りで素敵ね」
「でもアリサさんもすずかさんもあんまり驚かなかったわね。魔法のこととか次元世界のことを知っても…」
「えっと、まぁそのびっくりはしましたけど…」
「なのはちゃんとフェイトちゃんとシホちゃんだからすぐに納得が言ったというか…。
それに私とアリサちゃん、魔術が使えるようになったりサーヴァントを従えるようになったからもうこっちにはどっぷりと使っていますから」

そう言いながらアリサはその手に炎を宿らせ、すずかは手に氷の結晶を作り出す。
それにリンディとレティは驚きの表情をして、

「お二人共、もう魔術を普通に使えるのですか!?」
「はい。私は前からシホちゃんに習っていたんです」
「あたしは聖杯大戦が過ぎてから少し習い始めました。制御できなきゃ大変だからといって…」
「そう…」

そこでレティは少し真剣な表情になって、

「もしよかったらお二人のこれからの将来、管理局で働いてみない?」
「あ、レティ。そんな勝手に…!」
「いいじゃない。一応魔術回路に反応する魔術式デバイスも順次開発中なんだから。だからもしよかったらだけど、ね?」

そう言ってレティは二人にウィンクをする。
それにアリサは少し考える仕草をして、

「それも一応考えの一つではあります。アサシンがいるおかげでボディガードは万全になりましたから。
それにあたしもなのは達が活躍する光景を近くで見ていたいんです」
「そう。それですずかちゃんは…?」
「私も今は前向きに検討中です。ライダーも手伝ってくれるって言ってくれてるし、それにフィアットちゃんにシホちゃんの奪い合いの勝負で遅れをとって負けたくありませんから!」
「そ、そう…(リンディ、もしかしてすずかちゃんってちょっと百合系…?)」
「(ええ、そうなのよ。フィアットさんと同じでお互いにシホさんを巡ってライバルなのよ。シホさんって女性にも人気だから)」
「(そ、そう…まぁそれは個人の自由だしね)」
「(そうね…)」

それで二人のひそひそ話は一応の幕を閉じた。

「ま、それじゃもし協力したいんだったらなのはちゃん達を経由して知らせてね? 頼りになるから」
「わかりました!」
「はい!」

こうしてすずかとアリサの将来も少しずつ決まってきているというところである。

それからレティはワインを一本開けてしまいすずかとアリサが取ってくると言ってその場を後にしていった。

「うん。明るくてはっきりしてていい子達ね」
「フェイトもなのはさんもシホさんも友達に恵まれているわ。
それにね、少し暮らしてて思ったの。この世界は幼くて未成熟だけどキレイだわ」
「うん。お酒のいい世界に悪い世界はないわね♪」
「ちょっと、マジメに聞いてよ!」
「ふふ…事前に聞いているわよ。今年中に巡航艦の艦長を降りてこっちの世界から本局に通うんでしょ?」
「あら? お耳の早いこと」
「やっぱり、フェイトちゃんのため…?」
「まぁね。フェイトも執務官を目指すって言っているけど中学卒業まではこっちの世界で暮らすのがいいと思うし少し遅くなっちゃったけどなるべく一緒にいてあげたいのよ…」

リンディは寂しそうにそう言った。

「クロノ君の時もそう言っていたもんね。まぁクロノ君の時はあの子がグレアム提督のところに行っちゃっていたからちょっと微妙だったけど…」
「まぁ子供なんてそんなもんでしょ? 親の思い通りになんてならないわ」
「確かに。うちの子もそうだしね!」

それで二人はお互いに笑い出す。

「それとは別件でだけど、シホさんの言う事が正しければ地球には一番魔術師が大勢生まれる可能性が高いわ。
地球の過去の歴史を紐解いても魔術師の話はいっぱいあるし魔女狩りの話もあるし日本にも魔術関連の呪術師といった話はいっぱい存在するわ。
だからもしかしたらそのうち地球も管理外世界という枠組みから逸脱して管理世界になるかもしれないわね。
今はまだ様子見という感じだけどね」
「そのうち魔導師と魔術師の戦争とかいう最悪のシナリオが生まれないように気をつけなきゃね」
「そうね…そこはシホさん達のこれからの動きに期待かしら?」
「そうね…」
「―――そうじゃの」
「「!?」」

そこにいきなりありえない声が隣から聞こえてきて二人は驚く。
そこにはゼルレッチがいていつの間にか酒の瓶を持ってお酒を飲んでいた。

「ぜ、ゼルレッチさん…!?」
「うむ。シホが世話になっておるの。あの子も主達のおかげでもう幸せを掴んでおるしな」
「は、はい…そうですね」
「そう固くなるな。ここは祝いの席じゃ。だから無礼講で今の儂は孫を可愛がるただの爺じゃ」
「は、はぁ…」

そこにすずかとアリサがやってきてやはりゼルレッチがいることに驚きの声を上げていたりした。
その後、シホがやってきてお酌をしていたり。
それでゼルレッチは楽しそうに皺を深くして笑みを浮かべていた。


 
 

 
後書き
最後にゼル爺を出しました。
割と本気で戦争が起きるんじゃないかと思うから怖いですね。 
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