戦国異伝
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第百十九話 一枚岩その十四
「まさにのう」
「日輪は闇の敵」
「何もかもを照らし出しますな」
「そして闇を消し去る」
「実に忌々しきものであります」
「だからこそまず最初に、ですな」
「織田信長どうするか」
「それが問題だからこそ」
「どの様な者も頭がなければ動かぬ」
生きている者の絶対のことの一つだ、
「それがなければのう」
「幕府と同じ、いや」
「うむ、それ以上じゃ」
「そうですね、織田家にとって織田信長という者は」
「あ奴が出てからじゃ」
歯噛みの言葉も出る。
「何もかもが変わったのは」
「だからこそですな」
「まずあの男ですか」
「青を止めますか」
「青は木の色であると共に」
これが五行思想である。
「空の色じゃ」
「日輪のあるあの空」
「そこの色ですな」
「他の色もじゃが青は好かん」
この僧侶は歯噛みしたまま言う、見ればまだ若い筈だがそこには気配を自由に消せる剣呑なものもあった、
「今は特にな」
「ここで長曾我部家じゃが」
「あの家が何か」
「いや、紫だが」
「やはり色は色」
「色は集まりますな」
「確かに」
その色の話にもなる。
「色のある家は全て滅しておかねばなりませんな」
「特に織田はですが」
「うむ、そうじゃ」
中央にいる若い男が剣呑な雰囲気のまま言う。
「手は打つ、頃合を見てな」
「ではその打つ相手は誰でしょうか」
「権威はあるが力のない者じゃな」
その者に対して手を打つというのだ。
「今力のある者は皆鋭い、我等に気付くやも知れぬ」
「武田や上杉ですな」
「あの者達には仕掛けられませぬな」
「毛利や北条にしても」
「うむ、あの者達には仕掛けぬ」
その僧侶は言う。
「獣じみた勘程厄介なものはないからのう」
「ただ頭がよいだけでは問題はありませぬが」
「勘は厄介ですな」
「そういうことじゃ。勘が一番厄介じゃ」
また言う。ここで周りの僧侶が彼に問うた。
「では崇伝様、どうされますか」
「ここは一体」
「暫く色々と探るとしよう」
これがこの若い剣呑な僧崇伝の考えだった、彼こそが信行が怪しいといぶかしんでいるその南禅寺の住職だ。
その彼が言うのだ。
「そして相手を見定めればじゃ」
「そこで仕掛ける」
「そうされますか」
「うむ、そうするとしよう」
こう周りの僧侶達に告げる。
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