八条学園怪異譚
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第二十四話 古墳その一
第二十四話 古墳
愛実と聖花は夏休み前も部活に出ていた、畳の上で向かい合ってかるたをしながらそのうえで話をしていた。
愛実は百人一首の札を見回しながら聖花に言った。
「前のテストだけれど」
「期末の?」
「そう、あれだけれど」
「どうだったの?」
「理系の成績は大して変わらなかったけれど」
言葉は続くものだった、どうなったかというと。
「文系がよくなってきたの」
「そう、よかったじゃない」
「ええ、特に英語がね」
かるたをしながら聖花に笑顔で話す。
「よくなったわ」
「よかったじゃない。愛実ちゃん最近勉強も頑張ってるしね」
「ううん、何かね」
「何かって?」
「充実してるのよね。最近」
そうだというのだ。
「ほら、怪談のことを調べてね」
「部活もよね」
「そう、それもね」
充実しているからだというのだ。
「いい感じだから」
「かるたの調子もいいわよね」
「どんどん取れる感じだし」
実際にかるたを取る動きは速い、聖花より僅かにであるが取っている札の数も多かった。
「お店も繁盛してるし、家族仲もいいし」
「全部いい感じなのね」
「まあお店と家族のことはね」
そっちはどうかと聖花に笑って言う。
「お父さん達が頑張ってるからね」
「夏であれよね」
「かき氷はじめたし」
これがあった。
「あれ売れるのよ」
「そうみたいね」
「アイスもはじめようって話もね」
愛実は両親にこのことを話したのだ。
「それもいいんじゃないかってことになってるし」
「私のところもよ」
「前と状況は変わらない筈なのにね」
入学当初の暗く沈んでいた頃とだというのだ。
「それでもね」
「明るい感じなのね」
「不思議とね。何でかしら」
「笑う門には?」
聖花はここで愛実に言った、向かい合って札を取り合いながら話をしていく。
「そういうことじゃないの?」
「笑う門には福来たる?」
「気持ちがリラックスしていい感じになってるのじゃないかしら」
「それでかしら」
「そう思うけれどね。私もね」
「聖花ちゃんもなの」
「今リラックスしてるから」
彼女もだった。
「何しても調子がいい感じなのよ」
「そうなのね」
「波に乗ってるっていうか」
聖花は一枚の札を取りながら言った。
「何をしてもね」
「調子がいいのね」
「そうなのよ。お勉強の方は」
聖花のそちらはというと。
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