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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第三章 聖杯大戦編
  第六十七話    『因縁のある者達』

 
前書き
今回は無印で布いた伏線を少しばかり回収します。まだ完全に回収はしませんが…。 

 


Side シホ・E・S・高町


結界が突如として破られて何者かが侵入してきたという報告をエイミィさんから受けて私達は身構える。
そして一際凄い音を立たせてその侵入者が私達の目の前までやってきた。 そいつは兜で顔まで隠す全身黒いフルプレートのサーヴァントのようである。
しかし、そんな時に、

《まさか、あれは我が盟友…!》

アルトリアの声が聞こえてきて、アルトリアはその姿を現す。
そしてまるで謝罪するような声で、

「あなたなのですね。わが友よ…サー・ランスロットよ」
『えっ!?』

アルトリアの告白によって全員が驚きの声を上げる。
それよりランスロットですって!?
それって第四次聖杯戦争ででてきたあのバーサーカー!?
そうなるとアルトリアがまずい事になる。

「aa…ar…■■■■■ーーー!!」

思った通りバーサーカーはアルトリアめがけて飛びかかってきた。
これはまずいっ!?
しかしユニゾンはしていなくてもアルトリア自身だけでもサーヴァントの時と同じ力を持っているのだ。
それでなんとか剣を出してバーサーカーの持っている鉄の塊を受け止めた。
話によれば手にしたものはなんであろうと自身の宝具にしてしまうという手癖の悪さらしい。
だからすでに鉄の棒を持っているのでそれはよかったと言える。
だけどこのままじゃ力負けしてしまう。

「ネロ! しかけるわよ!!」
「うむ。その言葉を待っていたぞ奏者よ!」
「アルトリア! 一度弾いてユニゾンを!!」
「くっ、わかりました! はぁあああーーー!!」

なんとかバーサーカーの攻撃を跳ね返してアルトリアは私のもとまで飛んできて、

「いきます。シホ!」
「ええ!」
『ユニゾン・イン!!』

それによってアンリミテッド・エアを起動した後、私はセイバーフォームへと姿を変える。

『シホ! 私は今度こそランスロットの心を救わなければならない!』
「ええ! 協力するわ、アルトリア! ネロもいきましょう!」
「了解した! 奏者の思うままにいこう!」
「ライダーもお願い!」
「わかりました、スズカ!」
「ランサーも…!」
「おうよ!」
「ファイター! お願い!」
「わかりました!」

全員でかかろうと仕掛けたがそこに、新たな侵入者の影があった。

「はぁあああああーーー!!」

謎の男の雄叫びが遠くから轟いてくる。
見ればそこにははやての姿をしているキャスターの姿に、新顔の男性…けど、彼にも私は見覚えがあった。
碧銀の髪に右目が紫に左目が青の虹彩異色の体が鍛え上げられた武人。その男性にオリヴィエ陛下も気づいたようである。

「クラウス、なのですか…?」
「そうです。オリヴィエ。まさか、こんな巡り合わせがあるとは…」

そう。彼こそクラウス・G・S・イングヴァルド。
聖王と縁のあった覇王の異名を持つ古代ベルカの王の一人だ。
でも、それ以上になによりキャスターとクラウスの後ろには目が虚ろの金髪の女の子の姿がある。
なんで…!?
なんで“アリシア”の姿がそこにあるの!?

「どうして、アリシアが…!?」

フェイトも戸惑っているのだから仕方がない。
それですぐにエイミィさんが詳細を調べているようで、

『間違いないよ! 彼女の身体はアリシアちゃんで合ってる! でも、どうしてなんだろう!? 彼女の遺体はプレシアさんと同様に火葬されたはずなのに…!』
「…バーサーカー…暴れちゃって…」

虚ろな声でアリシアはバーサーカーへと命令を下す。
それによってバーサーカーは今現在の目の前の敵であるネロへとかかっていった。

「ふふふ…知りたいか? 塵芥共?」
「ええ。是非とも教えてもらいたいものね。キャスター?」
「知りたくば…我等に勝ってから聞くのだな! 出てよ、騎士達よ! 『守護騎士召喚(サモン・ヴォルケンリッター)』!!」

キャスターがそう言う。でも、騎士達ってまさか!?
悪い予感はすぐに当たり地面に四つのベルカの魔法陣が浮かび上がりそこから無表情の守護騎士達の姿が現れる。

「シグナム!?」
「ヴィータちゃん!?」
「シャマルさんにザフィーラさん!?」
「どういう事よ!」

なのは達の間に混乱がかなり発生している。
私だってできればもっと慎重になって調べたいけど今は乱戦中。
だから今は戦うことしかできない!

「特別に教えてやろう。我の正体を…!」

キャスターはそう言って守護騎士達を前に出して語りだす。

「我は…八神はやてで相違ない。しかし、絶望的なまでに地獄へと落とされ心は摩耗した」
「どういう、こと…?」

なのはが怖々と聞く。
おそらく先を知りたくないのだろう。

「なにかの凍結魔法によって何重にも凍らされ封印され我は次元の渦の底に落とされた…。
それからは地獄だった…。体は凍らされて動けないというのに意識だけはしっかりとある。
我はそこで永遠ともとれる束縛を受けた。
それから何十、何百、何千という月日が流れ、溜まっていく怒りと呪いが爆発しそうになった時、欲のある人間が我を再び解き放った。
そして我は怨嗟の限りを開放して数多の次元世界を破壊しつくした。
闇の書もとうの昔に我と一体化していたから離れずついてきてくれた。理性を失い操り人形と化した騎士達もだ。
そしてだし尽くせる限りの力を出し尽くした後、我は最後を迎え反英雄として祭り上げられ『反英雄ヤガミ』として『座』へと招かれた…。
今この世界に生きている我とは違う道を進んだ同一存在である八神はやてには恨みはないが、我は再びこの世に現界でき力を得た…。だからこの力は破壊衝動に従うまでだ!」

ここにいるはやての姿をしたキャスター――英霊ヤガミ――はグレアム提督の提案したデュランダルによって凍結され絶望の後に英霊化したはやての平行世界の存在…!
まさに絶望の化身だ。だから話を聞いてくれるわけもない!
なのは達もキャスターのあまりの告白にショックを隠しきれないようである。
だがキャスターは待ってくれる訳もなく、

「いけ、我が騎士たちよ…!」

理性のない守護騎士達がシャマルを残しこちらへと向かってくる。
それにライダーが最初に動き出し、

「シホはシグナム。ランサーはヴィータをお願いします! 私はザフィーラをやります!」
「おう! ライダー、頼むぜ! シホの嬢ちゃんも頑張れよ!」
「ええ! ネロはバーサーカーの相手を頑張って!」
「任されたぞ、奏者!」

三人で分担して挑んでいった。

「さて、数で押すのも癪だがこれで互角となった。再開と行こうか…」
「応!」

殺人貴も李書文とまた戦いを始めている。

「オリヴィエ、今は命令に従うしかないんだ。不甲斐ない僕をどうか笑ってくれ…」
「クラウス…! あなたのマスターはまさか!?」
「名乗ってなかったな。僕はファイターのサーヴァント…。不本意な展開だが、いざ、あの時の決着を!」

クラウスもオリヴィエ陛下へと挑んでいった。
もしかしてクラウスのマスターはフィアだというの!?

「みんなは何があっても手を出しちゃダメよ! そこで見守ってて!」

そして私もシグナムへと向かっていった。


◆◇―――――――――◇◆


Side 高町なのは


そこからは全員による戦いが始まりました。
シホちゃんはシグナムさんと。
ランサーさんはヴィータちゃんと。
ライダーさんはザフィーラさんと。
ネロさんはバーサーカーと。
ファイターはクラウスという人と。
李書文さんは再びアサシンと。
全員の戦いは激化していきます。
私達魔導師が相手にならないくらいの戦いです…。
こんな時に力を貸すことができないなんて悔しいの…。
でも、それよりもショックなのははやてちゃんです。
あのはやてちゃんはシホちゃんの言うエミヤさんと同じように地獄を味わって心を摩耗させてしまった。
それはつまり、私達がはやてちゃんを助けられなかった世界もあるという事。
それがなによりも悔しいです。

「はぁっ!」
「………」

シホちゃんとシグナムさんの剣同士がぶつかり合って火花を散らしています。

「くっ…! 英霊の召喚するものだけあって従来より強化されてるわね! でも、意志が宿っていない剣なんてなまくらも同然よ!」

そう言ってシホちゃんはシグナムさんを押していきます。
見ればランサーさんも、

「おらぁーーーー!!」
「■ぁあ■ーーー!!」

ヴィータちゃんとの攻防を攻めていて、ライダーさんは持っている鎖付き釘を自在に操りザフィーラさんを圧倒しています。
ネロさんもなんとかバーサーカーの猛攻を耐えながらも反撃の機会を伺っている様。
李書文さんももう二度と直死の魔眼は喰らわないという感じの体の動きをしています。
そして、ファイター…オリヴィエさんは同じファイターのクラウスさんと戦っています。
武器はもちろん拳同士ですが、でもやっぱりクラウスさんの動きには精彩が欠けているように見えます。
おそらくだけどフィアちゃんがマスターで捕われ操られていてクラウスさんも従う事しかできないからあんなに動きが鈍いと思うんです。

「どうしましたクラウス? 昔のあなたならもっといい動きをしていましたよ?」
「言わないでください、オリヴィエ。僕とてこんな戦いはできれば願い下げなのですから…!」
「やはりマスターを捕らわれているのですね…。ですが今は決闘の場。ファイターのクラスなのだから正々堂々と戦いなさい! 情けない男は好みではないですよ?」
「言ってくれますね。ならば覇王の底力、お見せしよう…!」
「その意気です! いきます!」

そして再び二人は拳での戦闘を開始しました。
なにか、なにかみんなを手助けできることはないかな!?
そうして見ていてふと、後方から魔力の高まりを感じました。
それでよく見てみるとキャスターが魔力を溜めていました!
それを知らせなきゃ…!

「シホちゃん! 後方でキャスターが魔力を溜めているよ!!」

私は必死になって叫びました。

「おそい! キャスターの真髄! とくと味うがいいわ!!」

キャスターは空へと舞い上がり地上へと向けて、

「配下は上手く避けろよ?」

その言葉を合図に敵の方は一斉に後方へと飛び去っていき、

「絶望にあがけ! 塵芥共! エクスカリバー!!」

ベルカの魔法陣から特大の砲撃魔法が放たれてしまった…!
それはまっすぐに私達の方へと飛んできます!
セットアップして防ぐ時間もない…!
このままじゃやられちゃう…!
でも、シホちゃんがすぐに反応して、同様に、

「間に合って! 約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

それによって放たれた黄金の斬撃はキャスターのエクスカリバーを飲み込んで、でも溜めの時間がなかったのか相殺という形で終わった。
やっぱり本家の方が強いっていうことだね!

「ちっ…。皆の者。今回はここまでだ。撤退するぞ!」

キャスターはアリシアちゃんを抱えて全員の足元に転移魔法陣を展開させる。

「ふー…あの子達の絶望の顔を見れなかったのが残念でしたね」
「引き際くらい黙っていろ、駄目マスター…」
「わかっていますよ」

三菱彩というマスターさんは残念そうにしていました。
あの人はあの中では一番苦手です。怖いから…。

「アリシアーーー!!」

フェイトちゃんが叫びますがもう遅かったようで全員が転送して消えてしまいました。
どうにか全員生き残ることができましたが、

「でも、色々な事が起こっちゃったね…」
「そうね。なのは…」
「うん。色々と因縁があったね」

アリサちゃんとすずかちゃんがそう返してくれました。
うん。やっぱりこの戦いはすぐに終わらせないといけないと思いました。
あのはやてちゃんを倒すことになろうとも…。
そうしてまた一つの戦いが終わった私達は拠点の月村邸へと帰っていくのでした。


 
 

 
後書き
今回はアリシアだったりランスロット、ヤガミ、クラウスと…。
それぞれシホ陣営と少なからず因縁がある者たちを一気に登場させました。
これでサーヴァントは敵味方すべて出揃ったと思います。
まだマスターは誰かや宝具などはわかりませんが。 
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