ヘタリア大帝国
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
TURN63 ドロシーの帰還その三
「実は探してるんだ」
「そうか」
「それでここにいるんだな」
「その通りだ。会いたいか」
「頼む、すぐに案内してくれ」
アメリカは切実な顔になってブラックホークの前に来て言った。
「用があるんだ」
「わかった。こっちだ」
ブラックホークはアメリカ達を集落の中に案内した。そこは円錐形の薄い黄色地に赤と青、白の模様の帯が入ったテントが幾つもあった。ブラックホークはそのテントを指差して東郷達に対してこう言ったのだった。
「俺達の家だ」
「ネイティブガメリカンの家だな」
「俺達はカナディアンだが同じだ」
人種的、文明的にはだというのだ。
「俺達はそうだ」
「そうだな。それでドロシーは何処だ?」
アメリカはとにかくドロシーに会いたく彼女に尋ねる。
「あの娘は何処にいるんだい?」
「このテントの中だ」
ブラックホークはテントのうちの一つを指し示した。
「ここに姉さんと一緒にいる」
「姉さんがいるあるか」
「そうだ。俺達は二人姉弟だ」
ブラックホークは中国にも話す。
「ただ。姉さんは一度結婚して子供がいるが」
「君はなんだな」
「そうしたことはない」
結婚の経験はないというのだ。
「少し寂しい」
「ああ、なら今度いい娘を紹介しよう」
東郷はブラックホークの話を聞いて陽気に述べた。
「そうしていいか」
「頼む」
「じゃあな。ところであんたの姉さんは」
「ドロシーと一緒にいる」
都合のいいことにだった。東郷にとって。
「紹介しようか」
「是非そうしてくれ」
「司令、宜しいでしょうか」
だがここで秋山が厳しい顔で東郷に顔を近付けて囁く。
「くれぐれもです」
「ははは、やっぱり出て来たな」
「やっぱりとは何ですか、やっぱりとは」
「いや、予想通りだったからな」
東郷が女好きの面を見せるとすぐに出て来るからだ。
「だからな」
「ならくれぐれもご自重下さい」
「流石に今はしないさ。とにかくだ」
「はい、ノイマン長官です」
「あの娘に会うとしよう」
こうした話をしてだった。一行はそのテントに入った。そこにはドロシーと共にやはり大柄でダークブラウンの肌と黒い髪に瞳の女がいた。
目は切れ長の感じで整い睫は長い。その彼女が東郷達を見てこう言った。
「ドロシーに会いに来た」
「そうだ」
ブラックホークが彼女に話す。
「それでここに来たらしい」
「日本さんにアメリカさんに中国さん」
女は三人も見て言った。
「ドロシーに会ってそうして」
「そうだ、戻って来て欲しいんだ」
アメリカは女ではなくドロシーに顔を向けて言う。
「ドロシー、ここはどうか」
「祖国さんは私の為に」
「そうだ、来たぞ」
アメリカは確かな声でドロシーにも言う。
ページ上へ戻る