DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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二章 やんちゃ王子の観光
2-17結婚はしたくない
武術大会の情報も得た。
武術大会は五人勝ち抜きで、予選を勝ち抜いた者たちで決勝を行うこと。
これまでに予選を勝ち抜いたのは、ただひとりであること。
その者の強さは圧倒的だが残酷で、相手の息の根を止めるまで戦いをやめようとせず、毎回兵士が止めに入っていること。
その者の名は、デスピサロ。
さらに、武闘家向けの武器である鉄の爪を、コロシアム限定で取り扱っている、と。
「デスピサロに鉄の爪か。ますます楽しみだな!」
「デスピサロとは、また不吉な名ですな。戦いぶりといい、どうも嫌な予感がします」
「アリーナ様は大丈夫でしょうか。やはり、おやめになったほうが」
「止めても出るからな!」
「致し方ありますまい。いざとなれば、割って入れば良いだけのこと。反則負けでも、死ぬよりはましというものです」
翌日、身形を整えて王宮に向かい、謁見を願い出る。
サントハイムの王子一行であると確認が取れると、大臣の案内で、丁重に謁見の間へと通される。
大臣が言う。
「我が王は軽はずみで、とんでもない約束をしてしまったのです。どうか、姫の話を聞いてやってくだされ。」
仮にも主君を軽はずみとは、一体どんな約束をしたのか。
姫に聞けというなら、そうするか。
謁見の間では、玉座の国王の横に姫がつき、一行を待っていた。
挨拶を述べ、武術大会への出場を願おうとしたところ、先に姫が口を開いた。
「お父様がみなに約束をしたため、私は優勝者と結婚しなくてはなりません……。」
「は。」
それは困る。
「アリーナ様!どうか、武術大会に出てくださいまし!」
「はい?」
武術大会には出たいが、結婚は困る。
隣国の王族同士とはいえ、ほとんど面識は無い。
どういうつもりなのか。
国王が口を挟む。
「落ち着きなさい、モニカ。それでは結婚を申し込んでいるも同然じゃ。」
違うのか。
良かった。
「アリーナ王子よ、そなたらのことはサントハイム王より聞いているぞ。
世界の行く末を案じ、力試しの旅とは感心なり!
そこで頼みがあるのじゃが、武術大会で優勝してくれい!」
「しかし。優勝すれば、結婚とは。」
「もちろん、隣国の世継ぎであるアリーナ王子には、我が国の世継ぎたるモニカとの結婚は、必ずしも褒美にはならんじゃろう。
そこでアリーナ王子には、我が国と貴国との親睦を深めるための招待選手として出場してもらい、アリーナ王子が優勝した場合のみ、結婚はしないと宣言しておくのじゃ。」
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