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万華鏡

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第二十二話 夏休みその一

                  第二十二話  夏休み
 遂に夏休みになった、その夏休みはというと。
 まずは朝からはじまった、その朝はというと。
 五人は部活で走っていた、学園のグラウンドをペットボトル片手に走る。その彼女達に対して後ろを走る二年の先輩が言って来た。
「いい、水分はちゃんとね」
「はい、補給を忘れない」
「そうしないと駄目ですよね」
「汗はかくの」
 それはいいというのだ。
「たっぷりとね。けれどね」
「水分の補給は忘れない」
「そうしないと駄目ですね」
「そう、絶対にね」
 このことは忘れるなというのだ。
「さもないと熱中症で倒れるから」
「それで頭から水を被ることもですね」
「いいんですね」
「身体を熱くさせ過ぎないの」
 とにかくそれに気をつけろというのだ。
「いいわね」
「はい、コンディションにも気をつけて」
「走ります」
「ランニングの後はサーキットトレーニングよ」
 次も決まってた。
「それから発声練習もするからね」
「わかりました」
 五人は夏休みのはじまりを運動部さながらのトレーニングからはじめた、そしてその部活の後でシャワーを浴びてからだった。
 塾に向かう、その中で。
 琴乃は自分の右隣にいる里香に言った、左には美優がいる。
「ねえ、里香ちゃんもね」
「うん、トレーニングもね」
「随分慣れてきたわよね」
「体力ついてきたみたい」
 里香は自分で微笑んでこう言う。
「徐々にだけれどね」
「そうよね、かなりついてきたよね」
「ずっと部活はしたことなかったし」
 それでだったのだ、最初は。
「体育の時間でもね」
「毎日ここまで運動しなかったわよね」
「全然、今毎日五キロ走ってるけれど」
 そこまでとてもだというのだ。
「日常じゃないわ」
「けれど今じゃ、よね」
「走ってね」 
 それに加えてだった。
「サーキットトレーニングもするから」
「体力相当ついたわよね」
「かなりね。筋肉もついたし」
「筋肉もなの」
「いい感じでね」
「つまりバンドやる筋肉ね」
「何でもそれに相応しい筋肉があると思うの」
 里香が言うにはだった。
「野球には野球の、バスケにはバスケの」
「そして野球には野球の」
「それぞれに相応しい筋肉があるのよ」
「うちの部活のトレーニングはバンドの為の筋肉なのね」
「それで体力でね」
「何をするにも体力は必要だし」
 それにだった。
「筋肉もなのね」
「そう思うわ」
「バンドはスポーツだけれど」
 この部活ではこう教えている、とにかくカロリーを消費し汗もかくからだ。
「だから筋肉もなのね」
「必要なのよ」
「そういうことなのね」
「いい汗かいたと思うわ」
 見れば里香の顔はすっきりとしている。心地よい運動をして心身共にリラックスしている夏の少女の顔である。
「後は気分よくね」
「食べて」
「ああ、琴乃ちゃんさ」
 美優がここで笑って琴乃に言う。 
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