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ヘタリア大帝国

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TURN62 太平洋経済圏その十

「陸軍の要求は通させてもらう」
「あのことか」
「その通りだ、絶対に通させてもらう」
「意味はないと思うがね」
「意味はある。陸軍は海軍に遅れを取ることはない」
 山下は必死の顔も見せた。
「そのことも言っておく」
「やれやれ、利古里ちゃんは素直じゃないな」
「何故そうした話になる」
 今度はムキになった顔で東郷に言い返す。
「私はそもそも貴様のそうしたいい加減で女好きの性格がだ」
「あの、お二人共」
 秋山がここで二人に声をかけてきた。
「もうすぐ撮影ですから」
「むっ、そうか」
「はい、そうです」
 秋山は二人の間に物理的には入っていないがあえて言う。
「くれぐれもお願いします」
「わかった。それではだ」
 東郷は頷いた。そして山下もまた。
 二人共頷き静かになった。そのうえで撮影を受けた。
 記念撮影の後でダグラスはワシントンに戻った。その途中でアメリカに対してこんなことを言ったのだった。
「やられたな」
「やられた?どうしたんだ?」
「完敗だ。多分あの帝さんの考えじゃないだろうがな」
「あの白い髭の首相さんね」
 アメリカ妹も言ってくる。
「日本側の席の首座にいた」
「ああ、あの人の考えだろうがな」
「してやられたっていうのね」
「おの通りだ。やられた」
 ダグラスはアメリカ妹にもこう言った。
「領土に将兵も返されてそれで合議制だの平等だの全員の前で言われるとな」
「反論できないわね」
 ハンナも言う。
「将来私達が太平洋のリーダーになった時のころを考えてたけれど」
「それでリーダーになったら思いきり仕切るつもりだったけれどね」
 キャロルにしてもその案を気付かれぬ様に出すつもりだったのだ。だがそれは日本によって出来なかったのだ。
 それで彼女もこう言うのだった。
「手も足も出ないわね」
「そんな感じだな」
「それでいてこっちも恨みを買わないから」
「利益も大きい」
 ダグラスはキャロルにこう述べる。
「本当にしてやられたな」
「全くよ。完全に組み込まれた形ね」
「日本帝国か、思った以上にな」
 ダグラスはこうも言った。
「強かな国だな」
「実はそうなのよ、あそこはね」
 アメリカ妹もここで言う。
「柔らかいけれどね」
「柔らかいからこそか」
「そうねるね。強いんだよ」
「大体わかった。それなら乗ってやる」
「このままやっていくんだね」
「ああ、ガメリカは太平洋諸国だ」
 それに他ならないというのだ。
「それでやっていく」
「欧州はもういいのね」
「あそこはエイリスなりソビエトにやってもらう」
 ハンナにだからいいと返す。
「俺達は太平洋、そしてインド洋とだ」
「後は中南米ね」
「訳のわからない場所だからな」
 それはダグラスが見てもだった。
「あそこはな」
「というかあの埴輪軍団何よ」
 キャロルは彼等にこれ以上はないまでの怪しいものを感じていた。妖しいではなく怪しいというのである。 
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