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ヘタリア大帝国

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TURN62 太平洋経済圏その八

「これじゃあどっちが勝ったかわからない位ですがね」
「そうでしょうか」
「こんな条件の講和はないです」
 ダグラス自身もこう言う程だった。
「戦いに勝ったら思いきふんだくるのが普通ですが」
「そうして欲しいのですか?」
「いや、それは勘弁して欲しいですけれどね」
 ダグラスはそれは断った。
「こっちとしましても」
「ではその条件でいいですね」
「ええ、それはそれで」
「戦争はまだ続いています」
 太平洋経済圏設立で終わりではなかった。世界ではまだ戦争が行われてきている。
「今度の相手はエイリス、そしてソビエトですが」
「俺達にも戦って欲しいんですね」
「単刀直入に言えばそうです」
 まさにその通りだというのだ。
「宜しくお願いします」
「だからですか」
「私達にあれだけの好条件で講和をしてくれるのですか」
「そのうえで」
「そうでもあります」
 帝はまた言った。
「しかし他の理由もあります」
「他の理由!?」
「といいますと」
「何ですか?」
 ダグラスもリンファ、ランファも帝の今の言葉にすぐに首を捻った。
「何か話が読めないですが」
「はい、我が国は他国への領土に興味はありません」
「だから返してくれるんですか」
「ですから韓国さんや台湾さんにも独立してもらいました」
 帝はここで韓国と台湾を見た。
「各国の自主と独立を保障したうえでの経済圏を築きたいので」
「自主と独立を」
「はい、そうです」
 実はガメリカにしろ中帝国にしろ他国の独立は保障するつもりだったが自主性は考えていなかった。従わせるつもりだったのだ。 
 だが日本はどう思っていたか、帝がその口から話す。
「皆で話し合いそのうえで決めていく共同体を目指したいのです」
「盟主になり従わせることは考えないのですか?」
 タイが帝に問うた。
「盟主なら当然の権利ですよ」
「それは貴方達の反感を買いますから」
 帝は微笑んでタイに話した。
「無闇な反感は買いたくありません。それに」
「それに?」
「日本だけの利益を考えるつもりもありません」
 尚この考えも他国から反感を受けることは言うまでもない。
「太平洋経済圏は各国それぞれの利益を考えたいのです」
「僕達全員の」
「その通りです」
「そうですか。実はですね」
 タイは微笑みながら帝に述べた。
「ある程度は日本帝国の話を聞くつもりでした」
「そうだったのですか」
「ある程度はですが」 
 ここにタイの強かがあった。
「引かないところは引かないつもりでした」
「そういう意見衝突のトラブルも避けたかったので」
 まさに日本の深謀遠慮だった。
「ですから合議制にしたいのです」
「ごねる国が出てもですね」 
 今度はインドネシアが帝に問うた。
「何度も会議をしてですか」
「そうして決めたいです」
「時間がかかりますが」
「それでもです」
 その合議制でいくというのだ。 
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