ファイアーエムブレム~ユグドラル動乱時代に転生~【外伝】
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36.1話
前書き
日本に生まれてよかった!
「あっ、もっと、そぅ、いいよ……」
「あいかわらずココが弱いんだね、もっと強くしたほうがいいかい?」
「いや、今くらいのでいいのさ……たまんないよ……」
「ふふっ、じゃあ、こうだ!」
「ああん、ダメだよぉ、それ以上されたらアタシどうにかなっちまうよ……」
再び目を覚ましたあとのシルヴィアはトイレに行って、ついでに顔を洗って三人で寝ていた部屋に戻ってきたのだが、部屋の外まで聞こえてくるミュアハとレイミアの嬌声に怒りや焦燥感、あるいは嫉妬を強く感じていた。
「ちょっと! あんた達なにやってるのよー!」
部屋の中で行われているであろうことを想像した彼女は羞恥と怒りに頬を染め、勢いよくドアを開けた。
「え?」
……ベッドの端に腰をかけたミュアハのふとももの上にレイミアは頭を乗せて体はベッドの上に横たえていた。
彼はレイミアの耳から木製の細い棒のようなものを慌てて引き抜くとぎょっとした顔で、レイミアも同じく狼狽と驚きの間の表情で
「みみかき」
「みみかきしてもらってたのさ」
「おどかさないでくれよー、あぶないなぁ」
ミュアハはそう笑って言うと、レイミアの顔の向きを変えて今度は反対側の耳穴のほうを掃除しようとしたが、その直前に気が付くと棒の先端部分をタオルで拭った。
「み、みみかきってなによー!」
シルヴィアはいったい全体何が起こっているのか全く見当もつかなかったが、なにやら自分が取り越し苦労をしたのではないかという羞恥の感情に捉われていた。
「やっぱりこういう習慣ってあんまり無いんだなぁ、気持ちいいしさっぱりするよ?」
「ん~、やってあげたほうがわかるんじゃないかい? アタシは後でいいからあの子にもやっておあげよ」
「そうだねー、ヴィア~おいで~」
レイミアは彼のふとももから頭を上げてベッドから降り、ミュアハはにこっとすると手招きをした。
すこしの躊躇いを見せたもののシルヴィアはレイミアがしていたのと同じようにベッドに横たわるとおずおずと愛する彼の太ももに頭をちょこんと乗せた。
「まずは耳を拭いてあげよう~」
ミュアハは濡らしてから絞ってあったタオルで彼女の耳朶を優しく撫でた。
それだけでも心地よかった。
「本当は温かいタオルで拭いたほうが気持ちいいんだけどそうは行かなくてごめんよ…そうして、ほらこんなに耳垢が!」
「おぉ、こいつはスゴイな!何年ものかわからんねw」
タオルについた胡桃の粉末のようなものを見せつけられたのと、それをレイミアにまで見られてシルヴィアはますます羞恥で頬を染めた。
レイミアはミュアハと正対し、地面に膝をつくとシルヴィアの額をなでながら
「ほんと、かーいーよなぁ。ミュアハじゃなくてアタシの妹にでもならんかね」
くっくっと喉で笑い声を出す彼女にシルヴィアは頬を膨らませて抗議すると、彼女は頭をなでて返事の代わりにした。
「では、みみかきするからレイミアは手を離してよ~危ないからね。 ヴィアもなるべくじっとしててね」
………シルヴィアは生まれて初めての至福の時を迎えて、とろけるような表情を浮かべていた。
左右両方を済ませてもらったあとはベッドにごろんと力無く横たわり、レイミアに同じことをしてあげている彼に
すこしの怒りと暗い嫉妬の炎が燃え上がりそうなところだが、今の心地よさがそれを全て見逃していた。
「あたしもミュアハにしてあげたーい!」
「そ、それは素人には危ないから勘弁してほしい!」
「あ、アタシからも言っとく!やめておけ!案外ムズいんだよ!」
「えー、あたしならできるよぉ~ おねがーーい!」
……その後、耳から血を流してるミュアハを助けてほしいと懇願されたクロード神父は治療のあとにこの子細を聞いて、さらにその後自身がエーディンさんから治療を受けるはめになった。
--おしまい--
後書き
その家庭の伝統や個人により差異はありますが、みみかきは外国の人が体験して驚き、そして虜になる日本の習慣のひとつらしいです!
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