ハイスクールG×D 黄金に導かれし龍
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第3話
前書き
アクセス数がガンガン増えてきていてお腹が痛くなってきました。
プレッシャーがキツい。
「やぁ、迎えに来たよ」
イッセーが殺されかけた翌日の放課後、私達のクラスに木場がやってくる。
「行くぞ、イッセー」
「おう」
イッセーと共にイスから立ち上がり、木場と共に教室から出て行く。
「なんであの変態が神代君や木場君と」
「もしかしてこれから三人で」
「一体誰が攻めなのかしら」
なにやら女子の方から不穏な会話が聞こえてくるが出来る限り無視する。
そのまま黙って木場の後を着いて行くと、旧校舎の方にまで足を伸ばすことになった。
「ここだよ、ここに部長がいるんだ」
木場が開けたドアの先には昨日出会ったメンバーが揃っていた。部屋中には魔法陣が書かれており、詳細は分からない。一応、いつでも戦闘出来る様に小宇宙を高めておく。どうやら何らかの力は持っているようだが、小宇宙を感じる事は出来ないようだ。
「ようこそ、オカルト研究部へ」
「昨日は退いていただきありがとうございます。おかげでイッセーの気持ちを整理するだけの時間は取れましたから」
「別に構わないわ。本題に入ってもいいかしら」
「ええ。おっと、その前に自己紹介からでいいでしょうか。何分、木場以外の事は名前と噂しか知らない物で、こうして話すのは初めてですから」
「そうね。それじゃあ、改めて、リアス・グレモリーよ」
「私はここの副部長をしている姫島朱乃といいます」
「塔城小猫、1年です」
「今更だけど、木場祐斗だよ」
「そして私達は」
4人の背中から黒い羽が現れる。
「悪魔なの」
隣でイッセーが驚いているが、私としてはただの悪魔と分かって安心した。さすがに神級の相手に聖衣が無ければ苦戦してしまうからな。
「驚かないの?」
「私から言わせてもらえばそれがどうしたって所ですかね。あまり脅威を感じませんから」
「脅威って、貴方ね」
「それはさておき、神代双葉です。職業、学生兼神話学者兼黄金聖闘士です」
「黄金聖闘士?聞いた事が無い言葉ね」
「まあ、今は私一人しかいない組織の幹部みたいな物を指す言葉ですからね。イッセー、何を惚けているのですか。簡単に自己紹介を済ませてしまいなさい」
「いやいや、悪魔が目の前にいるって言うのになんでそんなに落ち着いていられるんだよ」
「私がこの程度の相手に負けるはずが無いだろうが。昨日も感じたはずだろう」
「……聞き捨てならないわね。私達はそんなに弱いと」
「ああ、勘違いしないで下さい。先輩達が悪魔の中でどれだけ強かろうと聖闘士が規格外なだけですから」
「へぇ~、そこまで言うならどれ位の力があるのか教えてもらえるかしら」
「ならば説明しますよ。まず、聖闘士は88名が実質戦力の戦闘集団です。その中で強さによって三階級に分けられます。上から黄金、白銀、青銅です。一応、青銅の下に雑兵と候補生が入りますが戦場に立つ事はありません。そして、最低クラスである青銅になる為の資格が、小宇宙を扱える様になる事、そして音速での戦闘をこなせる様になる事です。小宇宙とは言ってしまえば魔力の様な物と思っていただければいいです」
「……最低クラスで音速での戦闘、なら最高クラスの黄金は?」
「光速での戦闘をこなします。文字通り光の速さで、いえ、光すらも置き去りにしての戦闘がざらです」
その言葉に部室に居る全員が驚く。
「やろうと思えば街の一つや二つを簡単に吹き飛ばせるだけの力を持っています。そんな簡単に振るうつもりは無いので身構えなくてもいいですよ」
「そんな事を言っても」
「なら、私の目的を話しておきましょう。とりあえずはこの隣にいる兵藤一誠、こいつに恩を返すまでは出来る限りの力を貸す事と、ある答えを捜す事です」
「ある答え?」
「気にしなくていいですよ。簡単に言えばアイデンティティーみたいな物を捜しているだけですから。そして出来れば争いごとは、平和を乱す様な事はしたくないです」
「信じてもいいのね?」
「今まで私が力を振るう様な事はありませんでしたからね。まあ、イッセーが死にそうになれば迷わず力を振るいますけどね」
「分かったわ。それじゃあ、裏の世界の事を説明させてもらうわ」
グレモリー先輩の話をまとめると、裏世界には天使、悪魔、堕天使の3つの勢力が存在して、勢力ごとに縄張りが存在している。そしてこの街は悪魔の勢力下でグレモリー家が治めている。そして、悪魔との契約の対価は魂ではなく金品などでもOKで、願い事によって変わるそうだ。それから人間には神器と呼ばれる物を持って産まれる者が存在していて、イッセーにも私にもそれが感じられるそうだ。
「ちなみに、その神器の出し方も教えてもらえますか。ある程度なら対価を払っても構いません」
「そんなに対した事ではないから対価入らないわ。私も興味があるし、それじゃあまずは兵藤君の方から出してみましょう」
「はっ、はい」
「大丈夫よ。簡単だから。まずは手を上げて、それからゆっくりと降ろす。次に自分が最も強いと思う人物を思い描くの。最後にその人物の最も強いと思う姿の真似をするだけよ」
「え?ここで、ですか?」
「そうよ」
「どうかしたのか」
「いや、ちょっと、えっ、マジでやんなくちゃならないのかよ」
「私にはどんな物か分からないからな。二度手間になるのは面倒だからな。早くやれ」
「あ~~~~~、行くぞ」
イッセーが深呼吸をして右手を上げて、ゆっくりと降ろす。そして両手を腰だめに構える。まさか、あれか?
「ドラゴン波!!」
腰だめに構えていた両手を前に突き出す。顔を真っ赤にしながら。
次の瞬間、イッセーの左腕が光だし、赤い篭手が装着される。
「それがあなたの神器よ。一度出せるようになればいつでも出せる様になるわ。ちなみにそれは龍の手。一定時間力を倍にするだけの神器よ。残念だけど極ありふれたものね。これをもっていたせいで堕天使に狙われたのは運が悪かったわね」
「そ、そうですか」
イッセーが落ち込んでいるが、これが一定時間力を倍にするだけの神器だと?私から見れば、まるで神具の様な莫大な力を感じるのだが。もしや覚醒していないだけなのか。
「双葉、今度は双葉の番だぞ」
落ち込んでいたイッセーが急に私に詰め寄って叫んでくる。衆人観衆の中であんな真似をやらされれば仲間を増やしたくもなるか。それにしても最強の人物ね。そうなるとポセイドン、オーディン、ハーデス、タナトス、ヒュプノス、アポロン、ガタノゾーア、ルシファー、閻魔、色々な奴らがいるな。だが、そんな奴らを滅ぼしてきた私自身が最強か。とりあえず小宇宙を最大まで高めればいいだろう。右手を上げてゆっくりと降ろし、小宇宙を限界まで燃やす。
「「「「「えっ!?」」」」」
次の瞬間、目の前に大きな箱が現れる。それを見て私は思考が停止する。
「今、一瞬だけ宇宙が見えなかった?」
「オレもです。銀河みたいなのが幾つも」
「他の皆も?」
「「「はい」」」
周りで何かを言っているみたいだが私には聞こえて来ない。なぜ、これが此所に、それも神器として存在するんだ?
「それはパンドラボックスね。何の力も持たない神器で、中には何種類かの壊れたオブジェが入っているだけよ。所謂はずれね」
「はずれか、確かにはずれでしょうね。他の奴らにしてみれば」
「え?」
私は取っ手を引き、パンドラボックスを開ける。そこには多くの罅の入った見慣れた黄金のオブジェが鎮座している。それに触れ、宿っている小宇宙を感じる。なるほど、これは私が使っていたものだ。そしてこの世界の事も理解した。こんなことで私の答えが手に入るとは思っても見なかったが。
私はパンドラボックスを収納し直す。
「それで、先輩。私達はこれからどういう関係で過ごします?」
「そうねえ、出来れば私の配下になってもらいたいけど、嫌ならそれでいいわ。それから裏に関わらないと言うのなら基本的に不干渉と言った所かしら。貴方達を襲ってきた堕天使はこちらでなんとかするわ」
「頑張って下さい。それでは失礼させていただきます」
「ちょっと双葉、待ってくれ」
「いいから早く来い。では失礼。アナザー・ディメンション」
部室からアナザー・ディメンションを使い、私の家まで飛ぶ。
「双葉、あのままじゃあ先輩達に夕麻ちゃんが」
「落ち着けイッセー、まずは私の話を聞け。文句があるなら私が先輩達を洗脳する」
「……分かった」
「まずは予想通り天野と先輩達は敵対関係だった。そしてグレモリー家はそれなりに有名な家系な上にこの街を治めている事も知っているはずだ。それにも関わらずこの街でイッセーを襲ったのは、バレてなかったからだろう。だが、今はこの街で堕天使が確認されてしまった以上、グレモリー家の方は警戒をするだろう。堕天使側もそれを理解しているはずだ。つまりはほとぼりが冷めるまでは迂闊に動かないということだ」
「つまりは時間があるってことか」
「まあどれだけ時間が残されているかは分からない。速ければ一月で決着が付いているかも知れない」
「そんな!!」
「だから、少しでもお前は早く強くならなければならない。だから説得の時間もあまり長くは取らないぞ」
「分かった。親父には昨日の内に大事な話があるから早めに帰ってきてもらう様には言っている。晩飯位には帰ってきてるはずだ」
「そうか、そして修行の方だが、かなり無茶な内容だ。力を手に入れるか、死ぬか、廃人になるか、3つに1つだ」
「後ろ二つは同じだよ!!」
「それだけ過酷だと思えばいい。100人中、10人が生き残れば良い方だ。時間が無いのでかなり荒い事になるが頑張れ」
「出来れば死なない程度に、けれど激しくお願いします」
「任せておけ。幸いにも私の神器が当たりだったからな。少しは楽になるはずだ」
「先輩は外れの神器って言ってたのになんで当たりなんだ?」
「パンドラの箱の伝説は聞いた事があるだろう?」
「ええっと、確か箱の中にはこの世の災いが全部入っていて世界を滅ぼすんだっけ?」
「概ねはその通りだ。そして全ての災いが出た後に、僅かな希望が残されていた」
「じゃあ、あのオブジェがその希望なのか?」
「希望かどうかは知らないが、あのオブジェは仮の姿だ。真の姿は聖闘士のみが纏う事を許される究極の鎧、その名を聖衣」
「アレが鎧になるのか!?」
「今は破損しているがな。お前の修行を付けながら修復するつもりだ。結構めんどうなんだけどな」
出血多量で死ぬ一歩手前まで血をかけてからじゃないと修復出来ないのは不便なんだよな。
「それからイッセー、お前の神器のことだが」
「一定時間力を倍にするだけってのはちょっとがっかりだよな。あっ、でも小宇宙で鍛えた力を倍化すればいいのか」
「それもあるが、おそらくそれだけに留まらないだろうな」
「どういうことだよ」
「私が感じる限りでは、私の黄金聖衣以上の力を秘めている。おそらく今は覚醒していないだけだろう」
「マジで!?それじゃあこいつを覚醒させれば普通に鍛えるよりは早く強くなれるのか」
「おそらくな。とは言っても覚醒させ方が分からない以上、聖闘士流の修行をするしか無いな。青銅クラスになる為の卒業試験は色々あるが、どれも凄いぞ。素手で2mクラスのグリズリーと戦うとか、大滝を逆流させるとか、永久凍土の水中に飛び込んで聖衣を拾って来るとか」
「何その変態集団」
「お前もその変態集団の仲間入りをする必要があるんだぞ」
「そうなんだよな」
「とりあえず、神器を出せ。軽く使ってみよう」
「分かった」
最初とは違い、普通に左腕に装着される。
「使い方は覚えているな」
「ああ、強い感情で動くんだよな」
「どんな感情でも良いらしいが、怒りや憎しみ、恐怖などが切っ掛けになる事が多いそうだ」
「怒りや恐怖か」
「お前のご両親の説得に向かうまで色々試してみろ」
「おう」
それからしばらくの間、色々と試してみたが神器が起動する事は無く、現状ではただの篭手に成り下がった。
「意外とあっさり許可が出てしまったな」
「オレも予想外だった。というか、オレってあんなに両親を心配させてたんだ」
「号泣しながら抱き合って喜んでたからな。なんとか孫の顔が見れそうで良かったって、大分心配してたんだろうな」
「少しだけ態度を見直そうと思う」
「少しだけなんだな」
「オレからエロを取ったら何が残るって言うんだよ!!」
「天野への愛だけなんじゃないか」
「……言ってて恥ずかしくないのか?」
赤面しながらイッセーが聞き返してくる。
「全然。聖闘士は地上の平和と愛の為に戦う集団だからな。愛する者の命の為に敵に寝返ろうとも、私達はそれを最終的には許す。まあ死ぬつもりは無いから死なない程度に痛めつけるがな」
「うわぁ~、その人もかわいそうに」
「聖闘士が怪我をするのは常識だからな。無傷での勝利など、格下を相手にした時だけだ。しかし、聖闘士以外の勢力も小宇宙を扱う戦士達ばかりで、特に冥闘士は別格に当る。雑兵が青銅クラスの戦闘力を持つ上に108人の不死の戦士達だからな。一定以上のダメージを与えると封印出来る神具が必要になる」
「無いとどうなるんだ?」
「延々と復活する。108人居てもトップクラスは一握りしか居ないからほぼ互角ではあるが、向こうのトップは不味い。冥府の王ハーデスを筆頭に眠りの神ヒュプノスと死の神タナトスが控えているからな」
「え?それって神様と同名なだけだよな」
「いや、本物の神だ。聖闘士を束ねる神は女神アテナだ。私が出会った限りではポセイドン、オーディン、ゼウス、クトゥルー、ルシファー、閻魔などが居るな。どれも滅ぼしたが」
「滅ぼしたって、なにやってるんだよ!?」
「昔の話だ。遠い遠い昔のな。それはおいておいて、修行場に案内しよう。本来なら、聖闘士にならなければ入ることは許可されないのだが、今は私一人しかいないからな。次期聖闘士候補生として招こう」
「何処にだよ」
「我ら聖闘士の総本山、聖域にだ」
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