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ハイスクールG×D 黄金に導かれし龍

作者:ユキアン
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第2話


週末、楽しそうにデートをしているイッセーを遠くから監視しながら、私は小宇宙を高めていく。イッセーは楽しそうに天野とデートをしている。その相手の天野も今は楽しそうに笑っている。だが、油断しない。日が暮れ始め、そろそろ辺りを闇が覆い尽くそうとする中、イッセー達は人の居ない公園までやってきていた。行動を起こすのならここでだろう。予想通り、天野の口が「死んでくれないかな?」と動いた。同時に背中から黒い翼が生える。そして光の槍を精製し、イッセーに向かって突き出す。

「悲しい結果に終わってしまった」

文字通り光速の速度で天野とイッセーの間に飛び込み、光の槍を手刀で叩き折る。

「双葉!?何処から」

「私の槍が!?」

二人が驚いているのを無視しながら更に小宇宙を高めていく。

「天野、覚悟は出来ているのだろうな」

「ちょ、ちょっと待てよ双葉」

イッセーが天野を庇う様に私と対峙する。それを隙と思ったのか天野が再び光の槍を精製する。

「今度はふせ「ライトニングプラズマ!!」きゃあああああ」

光速の拳撃が光の槍とイッセーのせいで当てる事が出来ない天野の周辺の地面を抉り取る。

「退け!!イッセー、そいつは二度もお前の命を奪おうとしたのだぞ」

「退かねえ!!」

「貴方、なんで?」

仕方ない。イッセーを傷付けずになんとかするしかないな。それが出来そうな技は、アレだ。

「ネビュラ!?」

視界の片隅に何やら紅い紋章が浮かび上がる。今までの経験から言えば誰かがここへ来るのだろう。目の前のイッセーを抱えて後方にジャンプする。どんな相手が来ようとも確実に対処出来る距離を取り、更に小宇宙を高める。

「くっ、グレモリー家。ここは退くしかない」

そう言って天野の足下に蒼い陣が浮かび上がり転移していく。天野は何時でも殺せる。今は新たにやってくる相手の対応が先だ。そして紋章から現れたのは学園で有名な4人だった。

「木場にグレモリー先輩、姫島先輩に搭城さんだったか」

「あら?ここに居た堕天使は。それに貴方は」

「神代双葉、何度か部活の誘いを受けていましたが、これが部活動ですか?」

構えも小宇宙も納めずに対峙する。

「普通の人間じゃないと思っていたけど、どれだけの事を知っているのかしら」

「残念ですが、さっぱりですね。お話を聞かせてもらいたい所ですが、今日はこれで失礼させてもらいたい。状況に着いていけていないのが居るので」

イッセーを指差しながらそう告げる。

「分かったわ。明日の放課後に祐斗に迎えに行かすわ」

「ありがとうございます」

同じ様に転移で去っていくグレモリー先輩達を見送り、イッセーに向き直る。

「イッセー、何故私の邪魔をした。邪魔をしなければ天野を殺せていたのに」

「殺すって」

「何度も言うが彼女はお前を殺そうとしていた。目的が何かは分からないが、私は親友であるお前を見殺しには出来ない」

「だからって殺す事はないじゃないか」

「ならばお前は許せるのか?自分を殺そうとした相手を」

「……許せねえよ。許せねえけど、それでもオレは夕麻ちゃんの彼氏なんだよ。確かに夕麻ちゃんはオレを殺そうとした。だけど、オレとのデートで本当に楽しそうにしてくれたんだよ。だからオレは彼女を守る!!」

「それは私の敵になると言うことを分かっていっているのか」

分かり易い様に小宇宙を右手に集めて炎に変換する。

「敵にはしたくない、だけど、双葉が夕麻ちゃんを殺すというのなら、オレは戦う!!」

なるほどね。そこまで覚悟を決めていたか。いつの間にかこんな顔が出来る様になったんだな。右手の炎を消してイッセーの頭を乱暴に撫でる。

「ちょっ、止めろって」

「すまんすまん。いつの間にかイッセーも男になったと思ったら嬉しくなってな。だから、チャンスをやる」

「チャンス?」

「おそらくだが、天野とグレモリー先輩達は敵対しているのだろう。天野が逃げていったのはその為だろう。グレモリー先輩達に天野が倒される前にお前がどうにかしろ。お前が死にそうになるまでは私は天野に手を出さないと双子座の黄金聖闘士の名にかけて誓おう」

「黄金聖闘士?」

「その話は明日の放課後に話してやる。まあ、私の誇りの様な物だと今は思ってくれていれば良い」

小宇宙を納めながら公園の出口に向かって歩き出す。

「また明日な、イッセー」

「あっ、待ってくれ双葉。もう一つ頼みがあるんだ」

「頼み?聞くだけは聞いてやる」

「オレを鍛えて欲しい。天野さんを救えるだけの力が欲しい」

「敵になるかも知れない私に教えを請うか」

「今は敵じゃないだろう」

「それもそうだな。良いだろう。私が、私達が編み出してきた技を、小宇宙を伝授してやる」

「小宇宙?」

「この宇宙は一つの塊が爆発する事によって産まれた。太陽も地球も花も草も水も空気も、そして私達の身体も言わば宇宙の欠片、すなわち小宇宙だ。自分の中の小宇宙を爆発させる事で超人的な力を手にする事が出来るのだ」

「じゃあ、さっき急に目の前に現れたり、槍を砕いたりしてたのも」

「小宇宙の力だ。私自身も身体を鍛えているが一般人とそこまで変わらないさ。そして小宇宙は真理でもある。先程も言ったが、全ての物は小宇宙で出来ている。すなわち事象も小宇宙だ。火や重力、時間すらも小宇宙を利用する事で操作出来る。そして相性や才能などもあるが、基本的に小宇宙は誰もが扱える力だ。無論、イッセーも扱う事は出来る。どこまでその力を引き出せるかはお前次第だ」

「オレ次第か。上等だ。オレは絶対に強くなってみせる」

「その意気だ。といっても当分は小宇宙を目覚めさせて青銅クラスまでは鍛えないといけない。多少荒っぽくすれば一月以内にいけるか?ああ、もちろん尽きっきりでだぞ。学校も休んで修行三昧だ」

「げっ、双葉はともかくオレは家族で暮らしてるんだけど」

「まあ、私が説得するさ。無論、お前もご両親に男を見せる必要があるがな。そうだな、イッセーがとある少女と相思相愛だけど向こうの家のしがらみで離ればなれにされてしまったが、諦めきれないイッセーが向こうの家に覚悟を見せる必要があって一月程学校を休みたいとでも言えば良い」

「そんなので大丈夫なのかよ!?」

「普段のイッセーなら何をバカな事をと流されるだろうが、先程私と相対したときの姿を見せれば大丈夫だろうさ。少なくとも、私はその姿に心を動かされた」

あの時のイッセーの姿は私が戦ってきた神々にも匹敵する程の小宇宙を感じさせた。それは幻だが、私の心を動かす程の、まるでアテナの小宇宙の様な温かさが感じられた。それは、まさしく“愛”と呼ばれる物だ。小宇宙で唯一産み出す事の出来ないそれは私の心を動かすには十分過ぎた。

「最悪私が洗脳する。そういう技も聖闘士には存在するからな。害はないから安心しろ」

「いや、安心しろと言われても」

「若干記憶と感情を操作するだけだ。嫌なら本気で説得しろ」

「分かったよ」

「そうか。では、このまま少し付き合ってもらうぞ」

「付き合うって、何処にだ?」

「星が綺麗な場所だ」

小宇宙を高め、それを使って空間を歪める。

「アナザー・ディメンション」

イッセーを連れて空間の歪みに飛び込み、現時刻で最も星が綺麗に見える場所へと飛ぶ。

「イッセー、空を見上げろ」

「空?」

「聖闘士は人間の力でどうにもならない部分を天運に委ねる。一面に広がる星空を見上げろ。そこで最も輝く星座、それがお前を見守る守護星座となる。星座を知らなくてもいい。直感的に感じろ。お前の守護星座を」

しばらくの間イッセーが守護星座を捜すのを見守る。だが、一向に見つからないのかイッセーは星を眺め続けて悩んでいる。

「なあ双葉、守護星座って一つだよな」

「ああ、ちなみに私は双子座だ。この時期は見えないが、感覚で分かる」

「なんか、二つあるっぽいんだけど」

「何?」

守護星座が二つ?どういうことだ。

「ちなみにどれだ」

「ええっと、あそこら辺のと、それより弱々しいけどあそこら辺の星がそれっぽい」

最初の方はドラゴン、後の方はペガサスか。共に青銅クラスだが、先日の北欧神話の壁画に書かれた聖闘士の5人組みの内の二つか。これは何かを暗示しているのか?

「とりあえず、お前の守護星座はドラゴンなのだろう。それだけは覚えておくといい。守護星座が二つに感じられたのは私の方で調べておく。今日の所はコレで引き上げる。明日の放課後、グレモリー先輩達との会談後にイッセーのご両親の説得だ」

「失敗すると双葉が洗脳するんだよな。意地でも成功させないと」

「頑張れよ」

再びアナザー・ディメンションを発動させて人気の少ない場所まで戻り解散する。さて、この世界の裏の事はどんな感じなのだろうな。



 
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