久遠の神話
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四十話 同盟結成その八
「あの街にはサン=タンジェロ城という城がありますが」
「そのお城に何があるんですか?」
「屋上に天使の像。ミカエルのそれがありまして」
それでだというのだ。
「剣と鎧で武装しています」
「悪と戦う姿ですか」
「この場合は疫病です」
疫病もまた悪だというのだ。人を害する存在そのものが悪だというのだ。
「それを破ったのです」
「その姿ですか」
「そうです。ですから天使も」
「戦うんですね」
「はい、そうです」
その通りだとだ。大石は上城に頷いて応えた。
「天使も戦うのです」
「それであの人の気配は」
「戦う天使ですね。しかも」
ただ戦う天使ではなくだ。さらにだというのだ。
「かなり高位の。天使長位の強さがありますね」
「天使長って。かなり強いですね」
「神程ではありませんが」
それでもだというのだ。
「邪神と戦えるまでの強さですね」
「それがあの人なんですか」
「もう戦いから離れて暫く経っている様ですが」
大石はこのことも気配から感じたのだ。戦いから離れるとその気配も次第に変わっていくというのである。
それも見てだ。大石は言うのだった。
「剣士ではないですね」
「そうですか」
「私達の気配ではありません」
「剣士の気配ではなく」
「天使ですね。あの人は」
大石はマジックにいる青年はそれだと話した。
「ですから今の私達とは関係がありません」
「お菓子を出してくれるだけですね」
「それも美味しい」
微笑んでだ。こう話す大石だった。
「私も甘いものは好きですので」
「あのお店に行くこと自体はですね」
「楽しみにしてます」
実際にそうした笑みになってだ。大石はまた述べた。
「では今から」
「はい、行きましょう」
そのうえで工藤、高橋tと話をすることにしたのだった。二人はその英国風のダークブラウンの木造の店の中に入った。そしてだった。
四人用の席に二人並んで座ってだ。同じミルクティーを注文した。お菓子はケーキ上城はチーズケーキで大石は人参のケーキだった。その人参のケーキを見てだった。
上城はそのオレンジのケーキを見ながらこう言ったのだった。
「ああ、人参もですね」
「美味しいですよね」
「意外とお菓子にしてもいけますよね」
「甘いですからね。味が」
「はい、カボチャもですけれど」
「甘いお野菜は最高のお菓子にもなりますよ」
「ええ、本当に」
上城は大石のその言葉に頷いてまた言った。
「僕今度ここに来たらそれにします」
「人参のケーキにですね」
「そうしようと思います」
「それはいいですね。では私もです」
「神父さんもですか」
「次にこのお店に来た時は」
彼のそのチーズケーキを見ながらの言葉だった。
「それにします」
「チーズケーキにですね」
「私はチーズケーキも好きでして」
「美味しいですよね」
「特にこのお店のチーズケーキは」
美味しいというのだ。
「使っているチーズがいいです」
「チーズが大事ですよね」
「はい、チーズケーキの場合は」
チーズを使っているからだ。これは当然のことだった。
ページ上へ戻る