DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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二章 やんちゃ王子の観光
2-08平原の町フレノール
翌朝、村人に見送られ、村を発つ。
「では次は、フレノールに参りますぞ。豊かな平原に囲まれ、農業も狩猟も盛んなフレノールでは、恵まれた素材をふんだんに使って発展したフレノール郷土料理が、これまた絶品で」
またそれか。
「広がる平原に、続く山々。大河の向こう岸に、霞んで見える異国の町。情緒漂う街並み。フレノールも見どころの多い、素敵な場所と聞きます」
もうどうにでもしてくれ。
「少し手応えがあるのが出てきたな!」
微妙な気分で出発したが、やはり魔物と戦うのは楽しい。
山を下りた辺りから出現する魔物が変わり、地域による生態系の違いを実感する。
どういう理由でか、今までの魔物よりも、少し強い。
「アリーナ様は、ますます動きが洗練されておいでですね」
「学問にも、これほど熱心であれば良かったのじゃがな。全く嘆かわしい」
ブライとクリフトは、景色を楽しみ、魔物をあしらいながらついてくる。
昼頃、フレノールに到着する。
「美しい街並みですね。噴水が素敵ですわ!」
「古き良き町といったところじゃな。落ち着いて、悪くないの」
「何か騒がしいな」
人々がみな、同じ方向へ急いでいる。
通り過ぎようとした女性に声をかける。
「すまないが、なにかあったのか」
「今この町に、王子様が来てるんですって!早く見に行きたいから、ごめんなさい」
「ああ、すまなかった」
女性は立ち去った。
「どこの王子だろうな」
「偽物でしょうな。」
「ですわね。」
だよな。
ボンモールの王子が、ここにいるわけがない。
「一応、見に行くか」
おかしなことをされても困る。
「当然です。恐れ多くも、王子の御名を騙るとは。許し難い」
「アリーナ様の気品、凛々しさを、真似られる者などいるわけがございませんのに」
そんな大層な、ことなんだろうな。
クリフトは、何か違うが。
「まあ待て。悪事を働いたとも限らない。まずは黙って様子を見よう」
少し面白そうだし。
「名を騙ったこと自体が、既に悪事なのですがな。まあ様子を見るのは良いでしょう。下手に名乗れば利用されぬとも限りませんしな」
「アリーナ様のご尊顔を間近で拝見し、身の程を思い知れば良いのです。さあ、参りましょうか。」
クリフトが怖い。
強そうな者なら手合わせを申し込もうと思いつつ、人の流れる方へと向かう。
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