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八条学園怪異譚

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第二十三話 犬と猫その一

                  第二十三話  犬と猫
「うわ、このアイス美味しいわね」
「そうよね」
 愛実の家の店がある商店街の端にある公民館に二人のクラスの生徒達がそれぞれの制服姿で公民館の一階の部屋に車座になって集まっていた、勿論いるのは女の子の方がかなり多い。
 皆そのアイスを食べながら笑顔で言うのだった。
「バニラってオーソドックスでね」
「癖がないのよね」
「だから食べやすいし」
「いい甘さなのよ」
「しかも多いし」
 バケツ分は貫禄だった。
「これだけあったら皆も食べられるし」
「いや、愛実ちゃんこんなの何処で買ったの?」
「高かったでしょ」
「それ貰ったのよ」
 愛実は誰から貰ったのかは隠して皆に言った。
「実はね」
「えっ、貰ったの」
「これだけのアイスを」
「そう、貰ったの」
 事実の言える部分を話す。
「それで私達だけで食べるよりもってね。聖花ちゃんが言って」
「あっ、聖花ちゃんの提案だったの」
「そうだったの」
「ちょっと愛実ちゃん」
「事実じゃない」 
 愛実は困った顔になる聖花に笑って返した。
「そうでしょ」
「それでもよ」
「恥ずかしいの?」
「恥ずかしいわよ。そういうこと言われるのは」
「そうなの。じゃあ」
「言わないでね、今度は」
「わかったわ、それじゃあ」
 二人の話はこれで終わった、そのうえでだった。
 二人もそのアイスを食べる、そして言うのだった。
「これ美味しいわよね」
「ええ、はじめて食べたけれど」
「これ食べだしたら止まらないわよ」
「アイスの魔力よね」
 その冷えた甘さの魔力、それにあがらえないのだ。
 だから二人も言う、皆はその二人に笑って言う。
「これだけのアイス二人だけで食べたら太ってたわよ」
「何日かけてかはわからないけれど」
「これだけ美味しいとどんどん食べるからね」
「凄いことになってたわよ」
「そうよね。絶対に太ってたわよね」
 愛実もそのことを言う、既に聖花と話していたことだがここでは皆と話していた。
「これだけを二人でってなると」
「しかも虫歯もあるし」
「糖尿病とかね」
「甘いものって危ないからね」
「危険でもあるから」
 ここでもこうしたことが話される。
「独占しなかったのは正解だと思うわ」
「私達も食べられるし」
「本音出てるわよ」
 愛実は笑って突っ込み返した。
「まあね、一人か二人で食べるよりね」
「皆で食べた方が美味しいでしょ」
「特にお菓子とかお酒系統は」
「そうなのよね。だから今もね」
 愛実は笑顔のままクラスメイト達に答える。
「凄く美味しいわ」
「そうだよな、しかしこのアイスってな」
「ああ、滅茶苦茶美味いよな」 
 数少ない男子生徒達もいてアイスを食べている。
「凄く甘くないか?」
「それでいてしつこくないしな」
「普通のバニラとは違う感じでな」
「食いやすいよな」
「どっかの似非グルメ漫画みたいなことは言わないけれどな」
「あの新聞記者が店の中でまずいと怒鳴り散らす漫画な」
 こうした行為が人間として最低の、それこそ野蛮人そのものの行為であることは言うまでもない。こうしたところに原作者の品性や人格、教養が出る。
「ああいうことは言わないけれどな」
「やっぱり美味いよな」
「うん、このバニラはね」
 聖花はそのバケツの如きカップを見て言う。 
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