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ヘタリア大帝国

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TURN62 太平洋経済圏その二

「その時はな」
「兄貴の言う通りだよ。とにかくね」
「そうだ、戦うしかないぞ」
「太平洋経済圏に組み込めたらいいね、あの国も」
「その辺りはわからないわね」
 ハンナはアメリカ妹に即答できなかった。
「正直なところね」
「何もわかってないからよね」
「そうよ。本当に何もわかってないから」
「とりあえずこれから調べるのね」
「一応表面的なデータはあるけれど」
 クーが言ってきた。
「それでも」
「大したことは、なのね」
「そう。わかっていないから」
「とりあえずは様子見ってことかしら」
 キャロルは腕を組み難しい顔で述べた。
「現状は」
「そうなると思うわ」
「あまり好きなやり方じゃないけれどね」
 キャロルは太平洋側に入っても基本的な性格は変わっていない、それで不本意といった顔でこう周囲に述べたのである。
「けれどそれもね」
「仕方ないわよ」
「そうなのよね。じゃあね」
「プレジデントの命令には従うのよ」
「わかってるわよ。それにドロシーも探して」
「あの娘にも戻ってもらうわ」
 ハンナは強い声でキャロルに答えた。
「ガメリカにとって必要な娘だから」
「その通りだ。ドロシーには絶対に戻って来て欲しいぞ」
 アメリカもそのことを言う。
「カナダにいるらしいし彼にも協力してもらおう」
「えっ、カナダさんは確か」
 クーがここで目をしばたかせた。
「太平洋陣営に」
「いるぞ」
「そうだったんですか」
「えっ、いたかしら」
「そうだったの?」
 ハンナとキャロルもこんな調子だった。
「まあいるならいるで」
「協力してもらうけれどね」
「おいおい、君達もカナダのことを忘れてたのかい?」
「つい。影が薄くて」
「どうしても忘れるのよ」
 ハンナもキャロルもこうアメリカに返す。
「他の国のことは覚えてるけれど」
「カナダちゃんのことは忘れるのよね」
「あたしも実はね」
 そしてこれはアメリカ妹もだった。
「カナダさん達のことは忘れるのよ」
「何であんなに影が薄いのかしらね」
 キャロルはまた言った。
「ちょっと謎よね」
「すいません、本当にカナダさんのことを忘れていました」
 四姉妹の中で最も真面目なクーですらだった。アメリカに対して申し訳ない顔で釈明する。
「国家の名簿もチェックしていますが」
「僕と日本、中国は絶対に忘れないな」
「はい、それにフランスさんも」
 今は彼も太平世側にいるのだ。マダガスカルが入っているからだ。
「絶対に忘れません」
「他の国もだな」
「とにかく個性的な国が多いので」
「けれどなんだな」
「カナダさんはどうしても」
 つまりカナダにはこれといって個性がないというのだ。
「何と言っていいか」
「まあとにかく今度わっしい達と一緒に日本に行くけれど」
「そこでだな」
 アメリカはキャロルの今の言葉に顔を向けた。
「中国や他の国も参加してだな」
「正式に講和してね」
 それの調印式になるというのだ。
「後は。あそこの帝ちゃん?」
「今あの娘で何代目だったかしら」
「数百代じゃ利かないぞ」
 アメリカがキャロルと自分の妹に話す。 
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