怪異病〜Grotesque〜
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プロローグ
何もない。
何も起きない。
こんな毎日にどこか退屈だと思っていた。
「それでさ。また新しい噂を手にいれたんだけどなっ!」
放課後になっても俺、前園双士(まえぞの そうじ)と日狩拓海(ひかり たくみ)は二人しかいない夕暮れの教室でくだらない話しをしていた。
「拓海って、ホントにそういう都市伝説とかの話好きだよな」
「だって、おもろいじゃんか」
拓海は、都市伝説、心霊、怖い話といったいわゆる《怪異》と呼ばれる代物が大好きな少年だ。
だが、彼は霊感あるわけでもなく、心霊体験をしたわけでもないゴクゴク普通の学生だ。
ただ、こういう話をする時の拓海の目はキラついていて、それを見て俺は少しうらやましくなる。
「で、どんな話なんだ今回は?」
「おっ!双士なら聞いてくれると思ったぜ」
「どうせ無理にでも話すんだろ」
まぁな、と笑いながらいつものように拓海が話し出す。
ここ最近、拓海が俺に《怪異》の話をする回数が増えてきているような気がする。
というか、ここ最近、クラスの半数以上が《怪異》の話をしている。
「おい、聞いてるのか、双士?」
「お、おう。聞いてるって。で、何だったっけ?」
「やっぱ聞いてねぇじゃねぇかよ。.......今日はここまでにするか」
荷物をまとめ俺たちは教室を後にする。
???side
「はぁ.....はぁ.....はぁ....」
何でこんなことになってしまったんだろう。
遊び半分でやったのが間違いだった........
押入れの中で息を潜る。
部屋の外の光景はわからない。
だが、確実にやつがいる.........
耳をすませると部屋の中を何者かが歩く床の軋む音が響く。
このままじゃ.......殺られる。
床の軋む音が徐々にこちらに近づいてくる。
心臓が飛び出そうになる。
体が震え出す。
「はぁ.....はぁ.....はぁ.....」
軋む音が徐々に遠ざかっていく。
今のうちに......早くしないと!!
押入れの扉を開け、台所へ目指そうとすると.........
『ミぃツケタ〜.......ボクのカち!あはハハは』
「うわぁぁぁぁぁ!!」
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