DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 一~四章
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一章 王宮の女戦士
1-27王宮戦士
「……世界は広い。探し出せると思うてか」
「見付かるまで、探すだけのこと」
「そなたよりも強い誰ぞが、守りについているやも」
「いないかも知れません」
「よくよく、考えてのことであるのじゃな」
「はい」
言葉を待つ。
「そなたの望みは、よくわかった。許さぬ」
静まり返る。
さらに、待つ。
「代わりに命じよう。王宮戦士ライアンよ。世界を回り、勇者を探し、守るのじゃ。そなたが守りたいものを、守れ。」
ざわめく。
それは、果たして。
王宮戦士と呼ばれて、良いものなのか。
「恐れながら」
「許す。申せ」
「王宮戦士とは、王宮にあるものではないのでしょうか」
「離れても王宮の、王国の民のためとなれば良い」
離れすぎではないのか。
「ホイミン殿は魔物です。守っても、良いのですか」
「魔物の身でありながら、人以上に善良な、類まれなる御仁じゃ。心して、お守りするが良かろう」
王宮戦士としても、守って良いのか。
選ぶ必要など、無かったのか。
「王命。拝命致します」
「うむ。ホイミン殿は、なにか望みは無いのか。助力の礼じゃ、遠慮は要らぬ。」
「い、いえ!ぼくは、なにも!」
「ふむ。連れに似て、無欲なことじゃな。聞けば、人間になるための旅であるとか。人間になった暁には、ぜひまた訪れて欲しいものじゃ。こたびの礼も兼ね、もてなそうぞ」
「は、はい!」
「では、ふたりとも。気を付けて行くのだぞ!」
御前を辞し、その足で王宮も後に
「待たんか」
できなかった。
小隊長に捕まった。
「全く、お前という奴は。いきなり、なんてことを言い出すんだ。せめて事前に相談しろ。黙って出て行くな」
「申し訳ありません」
相談する時間は無かったように思うが、あってもしなかったろう。
「大体、お前は固すぎる。思い切りは良すぎるし、極端なんだ。良いところでもあるが、気を付けろ」
「はい」
「まあ、陛下でなければ言い包められなかっただろうから、結果良かったが」
言い包めるとは不敬では無いか。
今に始まったことでは無いか。
袋を押し付けられる。
「持って行け」
ゴールドが入っているようだ。
「良いのですか」
かなり、重い。
「陛下からだ」
それなら。
「ありがたく、頂きます」
「気を付けて行けよ」
「はい」
「辛くなったら、帰って来ていいんだぞ」
「使命を果たすまでは、帰りません」
「だから固いんだよ。そこは嘘でも、はいって言うところだ」
嘘でも、はいとは言いたくない。
「わかったよ。しっかりやれよ」
「はい」
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