DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第2章:おてんば姫とチャラ王の冒険
第20話:夜に騒ぐのは止めよう。だってうるさいし…
(エンドール周辺)
ブライSIDE
あと半日程歩けばエンドールの城下町が見えてくる…
だが今日はここらで野営をする事に…
出来る事なら町まで行って宿屋で夜を明かしたいのだが、既に周囲は真っ暗で今動くのは賢明とは言えない。
何より修業を行いながらの旅じゃ…流石の姫様でも、体力が続かない。
食事を終え、リュカが近くの河原で汗を流しに行っている。
姫様は焚き火を眺め放心状態じゃ…
お疲れなら、先に寝てしまわれても構わぬのに…
「ねぇブライ…」
「…何ですかな?」
ワシの心配な視線が気になったのか、焚き火を見詰めながら姫様が話しかけてくる。
「リュカって結婚してるんだよね…」
「そう…聞いておりますが、何か?」
どうやらワシの視線に気付いてた訳ではないらしい。
「奥さんってどんな人なのかな?」
「さて…あまり話さぬし、どの様な人物なのかは…?」
確かに気になるな…あの男の妻になる様なチャレンジャーじゃ…どんな神経をしているのやら?
「そんなに気になるのでしたら、今度聞いてみては如何かな?」
「ん? …うん。別に気になるって訳では…」
何やら歯切れの悪い口調じゃな…姫様にしては珍しい。
クリフトが薪を集めに行っておって良かったわい。
アイツは大袈裟じゃからな…
こんな姫様を見たら、オロオロして騒ぎ出すじゃろう。
「私とどっちが美人かな? …私だって、それ程悪くは無いわよね!?」
「何を仰りますか! ワシの知る限り、姫様以上の女子など居りません!」
反射的に言ってしまった台詞…じゃが、良く考えたらこの流れでこの台詞は………(汗)
「じゃぁ何でリュカは私に手を出さないの!?」
やはり………考えない様にしてきたが、姫様はリュカに惚れておる。
姫様の教育係としてではなく、人間として奴だけは姫様のお相手として認めたくない!
奴の深慮深さはフレノールで十分に分かった。
頭の回転の速さも、戦士としての強さもズバ抜けて傑出している。
じゃが、女癖の悪さはだけは認める事が出来ん!
姫様が一般の女性であれば問題ないのだ。
浮気癖の多い旦那と、それに悩まされる妻と…
第三者として笑って見ていられる。
しかし姫様は由緒正しきサントハイムの王女…
未来の女王陛下なんじゃ!
万が一何かの間違いで、あの阿呆が国王になってしまったらと考えると、恐ろしくて眠れなくなる。
「ねぇやっぱり私って魅力が無いの?」
ワシは恐ろしい思考の海を漂っていた…しかし姫様の不安げな声に引き戻され、現世に舞い戻ってきた。
気付けばワシの事を潤んだ瞳で見詰めている姫様…
「い、いや…姫様に魅力が無いのではなく…リュカのセンスが変なのじゃろう」
「リュカのセンスが変? ……つまりどういう事?」
「あまり適切な言葉では無いのかもしれないが、所謂『ブス専』ってヤツじゃ! きっと奥方も見れた顔ではないのじゃろう…」
「そうかしら………サランのシスター・パメラは、女の私から見ても美人で可愛いわよ! スタイルも抜群だし、文句の付けようが無いと思うけど…世の中アレがブスなの?」
いや…シスター・パメラは美人じゃ。それも絶世の美人じゃ!
ワシがリュカぐらいの歳じゃったら、間違いなく同じ行動をとっているじゃろう…
つまりナンパするって事じゃ。
口説き落とせるかどうかは分からんが、口説かずには居られん美女じゃ!
「ねぇ、どうなの!? 彼女はブスなの? それとも私がブスなの!?」
「……………」
えぇ~い厄介な男じゃな!
姫様を口説けば口説くで、最悪な行動じゃと言うのに…
口説かなければそれはそれで厄介な事になる!
何じゃあの男は!? 何であんな男がこの世に居るんじゃ!?
ブライSIDE END
(エンドール周辺)
クリフトSIDE
薪拾いからキャンプ地に戻ると、複雑な表情をするアリーナ様と、そのアリーナ様に困っているブライ様が消えそうな焚き火の前で睨み合っている。
一体何が………?
「お二人ともどうされました?」
集めた来たばかりの薪を火にくべ、お二人の姿が一望出来る場所に腰を下ろし、何があったのかを尋ねてみた。
「いや~その~………」
珍しくブライ様が言葉を濁す。
拙いタイミングで戻ってきてしまったのか?
「クリフト! 私とシスター・パメラはどっちが美人?」
何やら少々お怒りのアリーナ様が、突如思いもよらない質問を私にしてきた!
ブライ様も同じ質問をされた為、困っていたのだろうか?………困る事ないのに。
「私はアリーナ様以上の美女を見た事がありません! 確かにシスター・パメラはお美しいですが、アリーナ様と比べられては可哀想ですよ。レベルが違いすぎます」
紛う事なき本心だ。私にとって絶世の美女はアリーナ様お一人。
「………貴方本気で言ってるの?」
「ほ、本気ですとも!」
「はぁ………聞く相手を間違えたわね…ゲイに聞いても、女性の善し悪しは判らないか…」
「な!? ゲ、ゲイとは何ですか!? 私は違いますよ! どうして私がゲイだと思われているのですか!?」
何と言う事だ…
誰に何と思われても、私は一向に構わない…しかし、アリーナ様にゲイだと勘違いされるなんて…
「だって…お城のメイド達はみんな言ってたわよ!『やっぱりクリフトはゲイだった!』って…この間帰った時に、みんなで噂し合ってたわよ」
「『やっぱり』って何ですか!? 何を以て『やっぱり』なんですか!?」
「だってクリフトってば、今までメイドに言い寄られても断ってきたでしょ!? 『私は神に仕える身』とか言い訳して避けてきたでしょ女の子の事!」
違っ! 私はアリーナ様が好きだから…他の女性などには興味が無いから…
「それにリュカに出会ってクリフト、饒舌になったじゃない! 今までは物静かだったのに、この間城に帰った時も頻りに話しかけてたじゃない…私も思ったもん、クリフトはリュカのに惚れちゃったんだなって!」
最悪だあの男! アイツの所為で私は勘違いされまくってる!
「違いますよ! 私はゲイじゃないですし、リュカさんに惚れてなどおりません! ゲイと言われる以上に、あの男に惚れていると言われるのは不愉快です!」
アリーナ様に向かって怒鳴るなど、本来あってはならない事だ…しかしこれだけは全力で否定しておかないと…この事だけは違うと解ってもらわないと!
「何だ何だうるせーなぁ…そんなに騒いでいると、周囲に聖水を振りまいただけじゃ、モンスターを遠ざけられないぞ」
騒ぎの元凶とも言える男が、水浴びを済ませ我々の下へと戻ってきた。
「あ、貴方の所為で私は騒いで居るんです!」
「はぁ!? 何で今までここに居なかった僕の所為になるんだよ? ……これだから神なんぞを信じる信者は馬鹿ばっかなんだよ…」
「な…か、神を冒涜する事は許しませんよ!!」
気が付けば私は、腰に携えたホーリーランスに手をかけていた。
私にとってアリーナ様の次に大切な神を冒涜されるのは我慢出来ない!
「神の事を冒涜したんじゃない! お前の事を馬鹿にしたんだよバ~カ!」
何と腹の立つ男だ…
この男さえ現れなければ…
クリフトSIDE END
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