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ヘタリア大帝国

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TURN61 過ぎたる兵器その一

            TURN61  過ぎたる兵器
 キャロルも加えた太平洋軍はシカゴ、テキサスに駒を進めた。どちらのガメリカ軍も戦うよりもアメリカの姿を見てだった。
「祖国さんが講和って言ってるんだったらな」
「ああ、そうだな」
「戦う理由もないしな」
「どう見ても今のプレジデントはおかしいしな」
「それじゃあな」
「戦う理由もないだろ」
 こう口々に言って自分達から投降する。惑星の市民達もアメリカを笑顔で出迎えてこう言う程だった。
「祖国さんお帰り!」
「戻ってきてくれるの待ってたよ!」
「このままワシントンまで頼むね!」
「講和万歳!」
 これが彼等のアメリカの考えへの返事だった。そして。
 太平洋軍はシカゴ、テキサスからニューヨークにも入った。ニューヨークにおいても戦闘らしい戦闘もなく占領を終えた。
 残るはワシントン、首都星系だけだった。ハンナは官邸においてアメリカ妹と共にルースに対して言うのだった。
「もうワシントンだけよ」
「そうだよ、兄貴はニューヨークにも入ったよ」
「もうここまで来たら」
「講和しかないでしょ」
「ははは、これは想定の範囲内だよ」
 しかしルースだけは違う。怒り狂ったままの形相におぞましい笑みを浮かべてこうハンナ達に返すのだった。
「彼等がニューヨークまで至るのもね」
「そしてワシントンでっていうのね」
「決戦を挑むんだね」
「全てはそれで終わるよ」
 その笑みでこうも言うルースだった。
「ガメリカの勝利だよ」
「もうワシントン防衛艦隊も殆ど残ってないよ」
 アメリカ妹は苦々しい顔でルースにこの事実を告げた。
「皆兄貴のところに投降したよ」
「構わんよ」
「戦争は国家と人がするものなんだよ」
 アメリカ妹はこの常識からも言う。
「あんた一人でできないんだよ」
「これまではそうだね」
「これまでは?」
「マンハッタン君、準備はできているね」
 ルースは今も彼の傍らに立って控えているマンハッタンに顔を向けて問うた。
「あれの準備は」
「はい、勿論です」
 マンハッタンだけは彼に確かな笑みで答える。
「太平洋軍が来れば何時でも」
『使えるね」
「使えます。では太平洋軍が来た時には」
「あれを使おう」
 ルースは笑いながらマンハッタンに答える。
「是非共な。では君達は」
「出撃しろっていうんだね」
「いやいや、それには及ばないよ」
 ルースはアメリカ妹に顔を戻してこう答えた。
「君達も講和派だからね」
「参戦させないっていうんだね」
「私がガメリカに勝利をもたらすのを見守っていてくれ」
「この官邸でだね」
「如何にも。私が自ら出撃し」
 軍務に就いたことのない彼がだというのだ。
「勝って来るさ」
「出来る筈がないわ」
 ハンナは忌々しげにルースに述べる。
「もうここまできてどうして」
「君は本当にこれまでの常識でしか語れないのだね」
「それが悪いのかしら」
「常識は変わるものだよ」
「それが今だっていうのね」
「そうだよ。では今から昼食だが」
「プレジデント、今日のお昼のメニューですが」
 マンハッタンは補佐官としてだけでなく秘書でもありその立場からルースに対して今日の昼のメニューのことを話した。 
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