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久遠の神話

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第三十九話 君子の絆その八

「有り難いですね」
「ではこれからお二人共」
「はい、御会いしてですね」
「戦いを止める為の同盟を結びましょう」
「同盟ですか」
「はい、そうなります」
 同盟だとだ。大石は今言った。
「四人の剣士達による。同盟です」
「戦いを止める為に戦う同盟ですか」
「それはどうでしょうか」
「何か凄く心強いですね」
 上城は大石の言葉をここまで聞いてだった。
 微笑になりだ。こう言ったのである。
「僕だけじゃないんですね。戦いを止めたいっていう人は」
「そして私だけじゃないですね」
「はい、そうですね」
 今度は上城が大石の言葉に頷いた。
「僕達は孤独じゃないですね。そういえば」
 ふとだ。上城は傍らにいる樹里も見た。
 そのうえでだ。こう大石に答えたのである。
「学校に行けば友達もいますし」
「そしてですね」
「神父さんも味方になってくれますし」
「味方ではないですよ」
「えっ、違うんですか?」
「仲間です」
 それだとだ。大石は微笑んで言うのだった。
「私達は仲間です」
「味方ではなくですか」
「そうです。いえ」
「いえ?」
「仲間よりもより強い絆かも知れないですよ」
 上城を見ながらの言葉だった。
「既に」
「っていいますと」
「盟友と言うべきでしょうか」
「盟友ですか」
「同じ志を持つ友」
 大石は盟友はそれだと言うのだった。
「それではないでしょうか」
「僕達は盟友ですか」
「はい、そうです」
 まさにだ。それだというのだ。
「それにあたるのではないでしょうか」
「盟友ですか」
「人と人の絆は時として脆いものです」
 神父とは人を見る仕事だ。それ故にこうした言葉もだ。大石は口にしてしまうのだった。それは何故かというとそうしたことを見てきたからだ。
 だがそれと共にだ。大石は上城と樹里にこうも言ったのである。
「しかしです」
「その逆もあるんですね」
「そうです。脆くもあり」
「強くもあるんですね」
「それが人と人の絆です」
「それはどうしてなんですか?」
「何故脆くもあり強くもあるかということですね」
 その二つは何かをだ。上城は大石に問うた。
「あの、どうしても矛盾しますけれど」
「人によります」
「人にですか」
「はい、人によります」
「じゃあいい人といい人の絆は」
「その場合は非常に強いものになります」
 人間としていい、その人格がそうである者同士の絆はそうなるというのだ。これ以上はないまでに強いものになるというのだ。
「そして逆に」
「悪い人同士ならですか」
「非常に脆いものになります」
「いい人と悪い人の場合もですね」
「その場合もです」
 つまりどちらか一方が悪人ならばだ。それでだというのだ。
「絆は脆いものになります」
「そうなるんですか」
「はい、そして」
「そしてですか」
「いい人を中国では君子と呼びます」
 論語である。そこからはじまった言葉だ。
「そして悪い人は小人と呼びます」
「小人ですか」
「この場合は小悪党ですね」
 悪人と言っても色々だ。そしてこの場合はこうなるというのだ、
「そうした輩はです」
「絆を何とも思わないんですね」
「はい、全く」
 それでだというのだ。悪人、この場合は小者の絆はだというのだ。 
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