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SAOもう一人の聖騎士

作者:ビビック
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追想~氷王の実力~

 
前書き
とりあえずクラディール達が氷王と激突します。ちなみにエスカフローネさんが某重層世界ファンタジーの炎使いと被った方がいたら幸いです。エスカフローネさんのモデルは彼女なのでw 

 
「「・・・・・・・・ッ!」」

敏捷力補正を最大にして氷王との距離を詰める。俺は真正面から突撃、キリトは回り込んでその背後を狙う。当然、真正面から迫る俺に氷での攻撃が集中する。薄く拡がった氷のカーテンが縦に裂け、鋭く研ぎ澄まされた攻撃が俺に襲い掛かる。うっすらと輝く周囲の氷の光を反射するその刃は、さながら蒼い光の洪水だ。

「手数と威力が両立してる!いい攻撃だ!」

俺が握る武器は小型の両手剣バスタードソード。キリトが使う様な長剣の刀身を厚くして破壊力を上げ、柄を両手剣用に長くした、大剣と長剣の中間の様な武器だ。両手剣スキルの攻撃力が少し下がる代わりに硬直時間が短くなり発動速度が速くなる。足を動かす速度を一切緩めず氷の刃を弾き、受け長し、受け止める。距離が三メートルを切った瞬間、俺は自分の得物を大きく振り上げた。

「しゃあああああああああ!」

両手剣の刀身が炎の様なオレンジ色に輝いた。爆発的な加速で肉薄し、氷王のむき出しになった細い肩口へ剣を降り下ろす。が、直前に作り出した氷の刃に受け流され、俺は後方に流れた。俺が先程使った重突進技«アバランシュ»は、攻撃が失敗しても相手の後ろへ駆け抜けて硬直時間を誤魔化せると言った特徴を持つソードスキルなのだが、今回はそれが裏目に出たか。

「いい剣撃ね・・・・・・・だけど、これで私の勝ちよ!」

氷王は氷の刃に包まれた右腕を振り上げる。このまま斬り裂かれてしまえば即死だろう。しかし・・・・・・・

「いいや、違うね。騙し合いは俺達の勝ちだ」

「らあああああああ!」

氷王の背後の氷を突き破り、漆黒の衣を纏った剣士が躍り出る。もちろんキリトだ。既にその剣はソードスキルの発動を表す光を纏っており、その剣は光すら置き去りにして降り下ろされる・・・・・・・が

「危ない危ない・・・・・・・正面から肉薄した彼は最初から囮で、彼の攻撃が失敗して私が反撃する直前に背後から近付いて攻撃する。素晴らしいコンビネーションね」

キリトの蒼い縦斬りは氷王の背後の地面から生えてきた氷柱に妨げられた。キリトが使用した片手剣単発重攻撃«クラッシャー・ゲノム»をいとも簡単に受け止める・・・・・・・なんと言う圧倒的な防御力!

「・・・・・・・やっぱりな」

先程の攻撃は失敗したが、その代わりに相手の秘密が分かった。その失敗に見合う収穫だろう。

「氷王のエスカフローネ。何故俺達のコンビネーションを見切ったか、今分かったぜ・・・・・・・」

俺はもったいぶるように、不利な状況ながら、相手をいたぶるように言う。・・・・・・・氷の王が強者たる、その理由を。

「あんたが操っている氷は二種類ある」

「一つは魔法によって作られた、物理的干渉力を持つ本物の氷。そしてもう一つは・・・・・・・氷の様に蒼い光を放つ、索敵魔法だ。もともと目に見えない、その中を通り過ぎた物を全て探知するタイプの魔法なんだろう。そりゃあ攻撃が通らない訳だ、相手がどんな技を使うか、どの位置で使うか、どのタイミングで使うかが全て分かっている訳だからな」

「・・・・・・・・へぇ、よく見抜いたわね。だけど見抜いたからと言って対策が無ければ私にはかすり傷ひとつ付けられないわよ!」

再び迫り来る氷の刃。しかし、その一撃は俺に掠り傷ひとつ付けられなかった。

「終わりだ!」

再び背後から近付いたキリトが、氷王の脇腹を貫いていたからだ。

「やはり自分で作った物は探知出来なかったか・・・・・・・どうやら賭けは俺の勝ちらしい」

彼女は自分が最初に作っていた氷がまだ残っていると考えていた。しかし、«アバランシュ»、«クラッシャー・ゲノム»の二つは共に火属性。氷は火で溶ける。小学生でも分かる理屈である。更に、強力な火と氷がぶつかった際に起きた水蒸気爆発で、残りの氷を全て吹き飛ばしていた。

「キリト、仕留めたか?」

「いいや、何とか自力で察知したみたいで、ぎりぎり急所を外していたよ。そのまま逃げられたみたいだ」

首を横に振るキリト。彼にいいさ、と返し、俺とキリトは未だ凍り付けになった礼拝堂を後にした。

『神王』対九妖精族。『氷王』のエスカフローネ、退却。
 
 

 
後書き
・・・・・・・ええ、地味だったでしょうね、しかし、私にはこれが限界なのです・・・・・・・ 
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