ソードアート・オンライン 《黒の剣士と白の死神》
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第一部 全ての始まり
第五話 迷宮区に乗り込む (前編)
「ったく……相変わらずしけてんな、迷宮区は。」
モンスターを切り伏せ、俺は壁に寄りかかる。
「アイテムも……ポーションが一つに、……何だこれ?」
俺は、そのアイテムをオブジェクト化させてみた。
この後、俺は死ぬほど後悔することになるが。
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『50分前』
「それでは、各自必ずパーティーを組み、行動すること。なお、
ボス部屋を発見したとしても、むやみに戦いを挑むな。時間は一時間だ。それでは、探索―――開始。」
一斉にプレイヤーたちが動き始める。
もちろん俺ことキョウヤも活動しようとしていたのだが……
「パーティーが組めない……」
別に、一人でも困らないのだが、団長様が言われたからには組む。(まあ雇われているからだが。)
団長様と組むのもアレだし、師弟(らしい人たち)にも断られたし、
かといって見知らぬプレイヤーと組むのも……
そこまで考えて俺は一つの案にたどりついた。
瞬時に辺りを見回す。
よし。ヒースクリフも、どっかのパーティの人と話してるし、師弟もいない。
つまり……
抜け出すなら今!!!
抜け出すまでにいろいろあったのだけれど、それはまた別のお話。
何とか俺は無事に抜け出した。
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「で、今に至るわけだが……」
「ブルルルル!」
「ギイギイイイ!」
「シュー…シュー…」
「何だろう…俺って運悪いよな。本当に。」
まさか、あのアイテムはある特定のモンスターを呼び寄せるアイテムだったとは。
説明を見るべきだった。
その考えが終わらないうちに、一体が飛び掛る。
凶暴そうな獣の爪を弾き、後退する。
虫型のモンスターは、何もせずにたたずむ。
そこそこの大きさの大蛇が、何かを吐く。
嫌な予感がして、その液をかわすと床が変色した。
「毒か!」
「シャーーーー!!!」
噛み付く。その鋭い牙が肩を抉る―――ことはなかった。
噛み付いたのは獣の腕。
もちろんそれで倒れはしなかったが、隙ができた。
「ふう……」
剣を上段に構え、静止する。
「はああああああっ!!」
片手剣の単発スキルが命中し、獣と蛇はポリゴンになり、砕けた。
「これで―――
終わり、と言って振り向きかけた俺の前を、何かが貫く。
「なっ……!」
陰から出てきたのは、
アスナ、だった。
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「おまえ…なんでだ?」
俺は問いかける。
「…………」
彼女は何も答えずにレイピアを構える。
やるしかない、か。
「ホントは、こんなことしたくないんだけどな…」
その瞬間、彼女はレイピアを振りかぶり、俺は片手剣で下段から叩き込んだ。
俺の片手剣は虫型モンスターを切る。
彼女のレイピアは、俺の頭に真っ直ぐに刺さる!
…ではなく、その後ろにいた、虫型に命中していた。
俺は後ろに振り返ると、
「……趣味悪いね、アンタ。」
「…あなたの驚いた顔。笑ったらかわいいのにね。団長がそろそろ戻れって。」
「そうだな。あんたの後ろにいるやつを片付けたら。」
アスナの後ろには、さっきの虫型モンスターがもう一体いる。
距離をとるアスナに、
「これで貸し借りは無しだ。」
俺はすばやくソードスキルを叩き込む。
ポリゴンが砕ける硬質な音。
俺は後ろを向いてそのまま出口に向かい、恐らく赤く顔を染めているであろう彼女に手を振った。
……もちろん、後で団長に絞られたのは言うまでも無い。
後書き
キョウヤ「前回と前々回、設定上の間違いが!って来たぞ。」
桜狼「すいません。訂正しておきます。」
キョウヤ「間違えたら吊るすからな。桜狼。」
桜狼「本当にすいませんでした。」
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