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八条学園怪異譚

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第二十一話 ランナーその十二

「特にうちのお店は量も多いから」
「ううん、うちでもミンチカツサンドやってみようかしら」
「いと思うわ」
 愛実は聖花の今の言葉にすぐに返した。
「それね」
「愛実ちゃんもいいと思うのね」
「うん、聖花ちゃんのお家ってはじめからハンバーグサンドもあるじゃない」
 聖花の店の人気メニューでもある。
「あれも美味しいからね」
「いいのね」
「ミンチカツもいけると思うわ」
「わかったわ。じゃあお母さん達にお話してみるね」
「そうしてね」
「うん、ただ愛実ちゃんのアドバイスって」
 聖花は愛実のそれについても言及した。
「あれよね。結構揚げもの系多いわよね」
「ああ、そうかもね」
「自覚してるの?」
「言われてみればそうよね」
 それで自覚することだった、愛実は実際に揚げもののことを言うことが多い、それを自覚してそのうえで言ったのだ。
「カツとかフライとか」
「そうよね」
「何か揚げものばかりっていうのも」
「駄目?」
「偏ってない?」
 自覚して言うことだった。
「自分でも思うけれど」
「食堂って出すの揚げものだけじゃないからよね」
「うん、おうどんとかもあるしね」
 それもある、食堂は出すメニューが多彩なのだ。
「だからね」
「おうどんとサンドイッチはね」
「うどんサンドってどう考えても駄目でしょ」
「無理、絶対に無理よ」 
 聖花も話を聞いてすぐにこう返した。
「それお店に出しても誰も買わないから」
「でしょ?他には焼き魚サンドとか鯖の味噌煮サンドとかは」
「奇をてらうのもね」
 それもだと返す聖花だった。
「ちょっとね」
「当たれば大きいけれどね」
「絶対に外すのが目に見えてる場合もあるから」
 それがこの場合だった。二人も話をしていてそれでわかることだった。
 そうした話をしてそのうえでだった、こうも言う愛実だった。
「ちょっと考えてみるわね。揚げもの以外にも」
「サンドイッチのこと?」
「他のこともね。食堂にも常に新しい風を入れないといけないし」
「パン屋さんもそれ同じなのよね」
「結局お店って常に勉強しないとね」
「そうそう、よくないのよね」
 こうしたことを帰り道でも話す二人だった、怪談のことも学校のことも大事だがやはりそれが最初に来るのが二人だった。


第二十一話   完


                  2012・12・31 
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