天才とは何ぞや
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第二章
「凄いからね」
「だよね。じゃあマエストロのところに行ってね」
「聞いてみようか」
「うん、そうしよう」
こう話して二人はそのモーツァルトの家に向かった。家に行くとモーツァルトは丁度ピアノの席に座っていた。
そこで楽譜を書いていた、二人はまずはその彼に挨拶をした。
「マエストロ、こんにちは」
「お元気ですか?」
「あっ、ペドロ君に」
中性的な穏やかな顔に白い髪の毛を左右でカールにしている小柄な青年だ。顔立ちは穏やかで優しいものだ。
この彼がウォルフガング=アマデウス=モーツァルト、天才の名を欲しいままにしている音楽家である。
今彼は貴族の服を着て座っている、その彼はペドロからカールに目を移して笑顔でこう言ってきたのだった。
「カール君だね」
「はい、暫くぶりです」
「そうだね。今日はよく来てくれたね」
「お邪魔でしょうか」
「あっ、別にいいよ」
モーツァルトは微笑んでカールに答えた。
「丁度今書き終えたところだからね」
「だからですか」
「うん、ピアノの曲をね」
作曲していたのはこの曲だった。
「書き終えたよ。じゃあココアでも出そうか」
「実はお話したいことがありまして」
「あはは、じゃあ丁度いいね」
モーツァルトはカールの今の言葉を聞いて笑顔で言った
「それじゃあね」
「はい。お願いします」
こうして二人はモーツァルトと三人でココアを飲みながら話をすることになった、白いテーブルの上に白いカップ、そしてそこにココアがあった。
そのチョコレート色のココア見てモーツァルトは無邪気な笑顔で二人に言った。
「いやあ、ココアって黒いからね」
「だからですか」
「あれだよね。後ろから出したみたいなね」
一旦立ち上がって二人に自分の後ろ、服の上からだがそれを見せて言うのだ。
「そんな感じだね」
「あの、マエストロ」
ペドロがその彼に苦笑いで言う。
「ちょっと今のは」
「うん、下品だよね」
「はい、かなり」
ペドロもこのことは言う。
「どうかと思います」
「まあそれでもね」
「お好きですね、そうしたお話が」
「人間入るものもあれば出るものもあるんだよ」
それでだというのだ。
「僕は時々こんなことを言うんだ」
「時々ですか?」
「うん、時々だよ」
モーツァルトは子供の様な笑顔でペドロ達に話す。
「時々ね」
「時々じゃないと思いますけれど」
「ははは、ペドロ君は相変わらず厳しいな」
モーツァルトは少しけたたましい感じで笑って返した。
「まあ時々ってことにしてもらうと嬉しいね」
「じゃあそういうことにしますね」
「是非ね。それじゃあだけれど」
「はい、実は」
カールは怪訝な面持ちでモーツァルトに顔を向けて尋ねた。
「マエストロはいつも作曲されてますね」
「そうなるね」
「物凄い沢山の曲を作曲されてますけれど」
しかもだった。
「色々なジャンルでしかも駄作、端役なしだけれど」
「それが何故かというんだね」
「どうしてそんなに沢山の曲を作られるんですか?」
怪訝な顔のままでモーツァルトに問う。
「それは」
「実はね」
モーツァルトは一呼吸置いてからこうカールに述べた。
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