DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第2章:おてんば姫とチャラ王の冒険
第13話:誘拐はビジネスです。だから馬鹿には出来ません!
(フレノール)
アリーナ達はボロボロになりながらも、身代金の受け渡し場所である、フレノールの外れにある墓地へと、黄金の腕輪を携えてやって来た。
時間的にはギリギリである。
「誘拐犯達! 要求通りに黄金の腕輪を持ってきたわよ! 彼女…お姫様を解放しなさいよ!」
アリーナは高らかと黄金の腕輪を掲げ、どこかで見ているであろう誘拐犯に話しかける。
すると周囲をお堀に囲まれた墓地の茂みから、黒ずくめの男が2人…着飾った女性を伴い姿を現した。
「どうやら本物を持ってきた様だな…良いだろう、此方へ黄金の腕輪を投げな!」
「ひ、姫様も同時に離しなさいよ!」
「おい、お前等に命令する権利があると思ってるのか!? お前等が投げなければ、姫を殺すだけ…それが嫌だったら、さっさと黄金の腕輪を投げるんだな!」
アリーナは唇を噛み締め我慢する…
人質のメイを救う為我慢する。
そしてゆっくりとしたモーションで黄金の腕輪を投げ付けた。
(パシッ!)「よっと!」
すると突如墓石の影から現れたリュカが、誘拐犯達に届く前に黄金の腕輪をキャッチしてしまう。
そして黄金の腕輪を自身に装着すると、ニヒルな笑みを浮かべ周囲を見渡し仁王立つ。
(フレノール)
クリフトSIDE
「ちょっとリュカ! 何やってんのよ…それを早く奴等に渡してよ!」
突如現れ、身代金受け渡しを邪魔するリュカさん…
アリーナ様は本気で怒り怒鳴っている。
「嫌だね。僕も昔に妻を誘拐された事があるから、誘拐犯って奴を許す事が出来ない!」
「な、何言ってやがる! それを俺達に渡さないと、姫さんを殺すんだぞ! それでも良いって言うのか、あ゙ぁ?」
誘拐犯の一人がドスの効いた声でリュカさんを恫喝する。
「渡したら姫を無傷で返す補償はない! 姫を殺された挙げ句、黄金の腕輪を奪われて、お前等を逃がす事になりかねない! それだけは絶対に嫌だ! 罪を犯したお前等を許す事は出来ない。例え姫さんを殺されても、お前等を徹底的に罰するのが僕の気持ちだ!」
あ、あの人は人様の命を何だと思っているんだ!?
誘拐犯を逃がしても彼女の命を救うのが先決なはず。
それを行わないとは…見下げ果てた性格だ!
「てめー…俺達が本気じゃないと思ってるんだろう…」
「そんな事はない。でもそう思われたくないのなら、さっさと人質を殺せよ。そうすればお前等は、黄金の腕輪を手に入れる切り札も、自分たちの身を守る盾も失う事になる。まぁ尤も、僕が腕輪を持ってる時点で、手に入れる切り札は0だけどね(大爆笑)」
「な…ふ、ふざけんな! それを渡せば姫を返すって言ってるだろう! 絶対に返すんだから、先にそれを渡せよ!」
「嫌だ! 何故これを渡す気がないのに、この場に現れたと思ってる?」
な、何故でしょうか?
「何処にいるか分からないお前等を、この場に誘き寄せるのが目的で、お前等の指示に従ったフリをしたんだよ! どんなにお前等を殺そうとしても、居場所が分からなきゃ実行出来ない! でも指示に従ったフリをすれば、自ずとこの場に現れるだろ? …現にお前等はノコノコ現れたし(笑)」
「じゃ、じゃぁ…最初から姫の命は見捨てるつもりだったのか!?」
「姫の命~? 知った事か! 殺すのはお前等だ…僕じゃない! 罪は全部お前等の物だ。人気のない墓地で、お前等が姫を殺す…その後お前等を惨殺し、サントハイムには『腕輪を渡したのに姫を殺されてしまい、やむなく犯人も殺しました♥』って報告すれば、僕は何の罪も被らないで済む」
な、何と恐ろしい事を…
この人は“正義の味方じゃない”と言っていたが、極悪人である!
こんな人間とは早々に縁を切らねば…
「リュ、リュカさん! どうしてそんな事を…メイ「バギ!」(ドゴッ!)(バシャン!)
メイさんの祖父…グレゴールさんが慌ててリュカさんに文句を言おうとしたら、突如バギを唱えグレゴールさんとノルテンさんを、お堀へと吹き飛ばし殺してしまった!
「ふふふ…サントハイムの者も死んだ今、僕の言う事を疑う王家の者は姫だけだ。ほれ…さっさと殺して、自分等の死刑執行書にサインしろよ!」
ブライ様が慌てて吹き飛ばされた二人を救いに行く…その間もリュカさんの極悪な台詞は止まらない。
「言っておくが、お前等に残された選択肢は2つだ。1つ…姫さんを解放し、この町の自警団に掴まる事。此方の良い点は命が助かる事だね。そして2つ目は…姫を殺し、即座に僕に殺される事! 此方の良い点は僕の気分が晴れやかになる事だ♥ …どう足掻いても、お前等が腕輪を手に入れて、今後自由を謳歌する事などあり得ない! どっちにするか今すぐ決めろ!」
この極悪人はそこまで言い終えると、ゆっくりと誘拐犯へ近付いて行く。
「誘拐ってのはビジネスなんだ。そしてビジネスってのは、互いの需要と供給が一致して初めて成立する物だ。別にどうでもいい姫の命を救う為、大切な宝を渡すと思っているのか? お前等みたいな愚か者をぶっ殺す事の方が、余程重要な事だとは思わなかったのか? これだから安易に犯罪を犯す馬鹿は、度し難いんだよ!」
恐ろしいまでの冷笑を浮かべた極悪人は、立ち止まることなく墓石の合間を縫って誘拐犯に近付いて行く…
「ま、待て…と、止まれよ! こっちに来るんじゃねー!」
「お返しさせてもらうが、お前等に命令する権利があると思ってるのか? 自分たちだけで死にたくないのなら、早く人質を殺せよ! そうじゃないと僕が王族を見捨てたと罪に問われるんだ。サントハイム関係者の最後の一人を、お前等の手で殺せ!」
「あの男…思っていた以上にやり手じゃな…」
極悪人に吹き飛ばされた二人を助けに行ったブライ様が、感心する口調で呟き戻ってきた。
「やり手って…褒めてどうするんですか!?……そ、それよりもお二人はご無事ですか?」
私は極悪人を褒めるブライ様を怒鳴り、二人の無事を確認する。
「あっちじゃ…堀からは引き上げておいたが、これ以上はどうにも出来ん」
ブライ様が指差す方を見ると、びしょ濡れになったお二人が堀から引き上げられ倒れている。
私が治療するため近付こうとしたら…
「止せ…ワシ等に出来る事は何もない。今はリュカの動向を黙って見ておれ!」
と、ブライ様に止められる。
“出来る事は何もない”…つまり息を引き取ってしまったと言う事だろう…
私はあの人を…いや、あの男を許す事は出来ない!
いくら王家の名を騙ったとは言え、命を救うどころか犯人を殺す為に犠牲にしようとする…
あの極悪人は許せない!
クリフトSIDE END
(フレノール)
ブライSIDE
あの男やりおるわい!
まさかバギを改造して、風の塊をぶつけ吹き飛ばすとは…
強烈な衝撃波の為、二人は気を失っておるが命に別状はないじゃろう。
クリフトの奴は怒り心頭な様じゃが、これが奴の作戦じゃろうから、下手な事は言わないでおこう。
ブライSIDE END
後書き
怒らすと怖いリュカさん。
クリフト君は彼に学ぶと良いんじゃないかな?
少しだけだけどね…
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