ファイアーエムブレム~ユグドラル動乱時代に転生~
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第二十一話
前書き
あるいみレプトール卿は人として正しかったのかもしれない
帰り着いた翌日の朝から早速日課の水汲みを再開しようとしたのだが、現場監督から丁重に断られましたよ。
まずはゆっくり休んでくださいとのことでした。
手持無沙汰になった俺は、また寝台に潜り込むなんてことはせず城門の上にある連絡通路で黙々と素振りを始めた。
少なくともこの世界でのケリは少しでも早く付けてアイツをなんとかしなきゃならないからな。
そのためには…少しでも…強くなりたい……
「ミュアハくんはいつも訓練頑張ってるってキュアンから聞いてたけど、ほんとそうなのね」
そうエスリンは風になびく髪を片手で押えて俺に話しかけてきた。
「おはようございます。エスリンねえさま、お見苦しいところお見せして申し訳ございません」
「ううん。そんなことないよ。それより今のもう一回言ってほしいな」
なんだろう?と思ったが、俺は彼女に答えた通りにもう一度
「おはようございます。エスリンねえさま、おみg…」
「そう! そうよ~あぁ~」
エスリンは胸の前で手を組むと目を輝かせて
「ねえさまって一度言われてみたかったの~」
彼女があんまりうっとりした表情をしているので
「ねえさま。 姉さま。 ねぇさまぁ。これから何度でもお呼びいたしましょう、ねえさまっ!」
「あぁ、なんていい子なの。みゅあは君はー」
「おねーちゃーん」
「あぁ~ん もうだめぇ」
思わず抱きつかれてしまい俺はバランスを崩してぶっ倒された。
はっきり言って油断だ…
「あ痛たたた。 修行不足ですみません。 ねえさま、申し訳ないです」
「ううん。こっちこそごめんね。どこか酷く痛むところはなぁい?」
俺に馬乗りになってるエスリンはそう言うと立ち上がった。
……
………
はいてない、そしてはえてない。
ひとのエネルギーゲージを上げさせないでくださいーー
彼女は手を差し出してくれたのでそれに掴まり立ち上がる。
「だいじょうぶです」
俺は彼女に背を向けて再び訓練を再開しようとしたが
「怒っちゃったの?ごめんね。こっち向いてくれないんだもん」
仕方ないので少し前かがみになって彼女のほうを向くと
「どうしたの?そのへっぴり腰は。いいわ、シアルフィの、バルドの剣術を教えてあげるから待っててね」
そう言って駆けだすエスリン。
風の悪戯で肌色の桃っぽいアレがよく見えました。
…だってミニスカなんだもん。
彼女が戻ってくるまでになんとか俺の第二の本体のほうが治まっってくれて一安心した。
練習用の木剣を持って来た彼女と、最初に剣先で触れて練習の合図をだす。
「では、ご指南のほうよろしくお願いします」
「ミュアハ君、怪我をさせてもライブの杖で治してあげるから遠慮はしませんからね」
…………
申し訳ないが、レイミアからの修行をみっちり受けていた俺にとって、エスリンの剣術は相手にならなかった
「姉上の剣術は理に叶っておりますが、それを活かすには膂力のほうがいささか物足りないです」
「…はい」
「それと、持久力にいささか不安がありますので走り込みや素振りなど、地味できついですがそういう修練をひとつひとつ積んでいくしかありますまい」
「…はい」
「チャンスを見ての一撃には見るべきものがありますが、そのあとに体勢を崩すのが問題です。これについては筋力、特に下半身を鍛えることと体幹のバランスを心がけてください」
「…はい」
「ではこれくらいにしましょう。」
俺は手拭を手にとると正座して汗でぐっしょりなエスリンに手渡した。
「ミュアハくんには、明日から絶対負けないんだから!」
目のふちがうるうるしたエスリン。
ごめんなさい、かわいいです。
「ねえさま。調子にのってごめんなさい」
「ううん。お姉ちゃんのほうこそみゅう君を甘く見てたの。明日の同じくらいの時間にまた頼むね」
危うく地雷を埋め込んで爆破させたどころか、榴弾をぶちこんで全面戦争になるところを回避した。
翌朝にエスリンは約束通り現れ、それからも俺は彼女に稽古をつけてやることになった。
実際のところエスリンは非力であっても剣術自体はそれなりの腕だ、しかしレイミアに鍛えられた俺は相当強くなっていたようで
大人の騎士との模擬戦で兄上以外には滅多に負けなくなっていたし、兄上ともある程度互角に戦えるようになっていた。
それで調子に乗るってことが無いようにいつもレイミアとのイメージトレーニングは欠かせない。
あの時、トラバントと戦っていた時のあの姿だ。
別れてから2月と経ってないけれど……
そして連れ去られてから2年以上になるアイツも思い出してつい
「会いたいな…」
「みゅう君どうしたの?だれに?」
稽古の間の一休みについ思い出してしまった俺のひとりごとにエスリンねえさまは応えた。
「あ、すみません。トラキアに居たときにお世話になった領主様のことを思い出して」
アイツのことは言ってもしょうがないのでレイミアのことでも話そうか
「わたしをずっと守って、こうやって剣と、そして槍の訓練も付き合ってくれた方なんです。トラバントに罪を被されて、今は名誉回復の機会をどこかで練っているんです」
「そう。それならお姉ちゃんにとっても先生になるのかな。そう思ってもいい?」
「もちろんです!」
それから俺はしばし、レイミアの思い出話をした。
エスリンねえさまはにこにこしながら聞きいってくれたが、そこに一陣の風が吹き
「くしゅん、寒くなってきたね」
エスリンがくしゃみをした後にそう言ったので俺は前から気になっていたことを問うてみた。
「あの…寒いのでしたら、そして差し支えなかったらですけれど、どうして下着を召さないのでしょう?、いえ、無理に伺おうとは思いません。そして不躾な質問をしたことお許しください」
…エスリンはいつもおぱんつを履いていないのだ。
最初に剣を交えたあの日はたまたま履き忘れたのかと思ったらそうでは無く、それからも毎日だ。
まさか兄上がそういうプレイをさせているとは思えないし……
「それはね、グランベル貴族の子女の務めなのよ!」
エスリンは自信にあふれた顔でそう宣言した。
「グランベル貴族に生まれた子女で特に、嫁いだ者や、深く結ばれた者は下着を付けてはならないの。月に1度数日訪れる女の子の日だけ特別に許されるけど、それ以外の日に着用しているということは伴侶となっている殿方との離縁を要求するっていうことなの」
そこまで言ってから
「日頃いいかげんなわたしの父…バイロンと言うのだけど、このことだけは真剣な顔で教えてくれたの。だからお姉ちゃんは何があってもそれだけは守るわ、これは結ばれてから10年は守らないとならないとも言われたの」
「そ…そうなのですか。それならもっと丈の長いお召し物やズボンをお召しになられては…」
「みゅう君、キュアンはバーハラに居たとき、モテモテでね。いつも素敵な女の子達に言い寄られていたの。でもお姉ちゃんが短いスカートの時にはわたしだけをかわいいって言ってくれてたの。だから…」
「ねえさま、ここはもうグランベルではありませんし、嫁ぎ先のしきたりってやつも……」
……これより数年後、俺はバイロン卿が嘘をついてたことを知る。
後書き
バイロンはいつも口やかましい娘を騙したのですよ!ヒドイデスネー
ばいろん<ワシそんなこと言ったっけー?(耳ほじしながら)
こんなイメージ
4月1日なのでウソにちなんだ話に
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