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IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

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number-38 truth and venreance then lay bare one's heart

 
前書き


真実と復讐。そして、心の内の吐露。





この場合は、更識楯無。織斑一夏。織斑千冬。夜神鳥麗矢。

 

 


「ようやく始められる……俺の復讐が」


そう呟くは、宵闇の中に紛れて若干見えづらいものの、銀色の髪を持つ、細身で長身の男。
男の目には爛々と固い意志による炎が輝いていた。
その視線の先には無骨なゲートがある。


雲に隠されていた月が顔を出す。
宵闇を照らし、月明かりが辺りを満たした。
男――――夜神鳥麗矢は太平洋上に浮かぶとある島にいた。
無人島であるはずのその島には普通であればあってはいけないもの。
明らかに人の手によって作られたものがある。


そこに向かって歩き出す。
月は再び雲によって隠され、静粛な闇が戻ってきている。
静かにゲートに向かって、おもむろに手をかざすと重々しい音を立て、ゆっくりと開いていく。
ゲートの中には大型のエレベーターがある。
それに乗って地下へ下がっていった――――


     ◯


IS学園。


そこの教師である織斑千冬は今となっては唯一の血縁者。それでありながら自らの生徒である織斑一夏に手を焼いていた。
理由は簡単。
――――どうして、シャルロット・デュノアが意識不明の重体なのか。という一点だけである。


「千冬姉っ! どうして、シャルがこんなことになっているんだ!!」
「黙れ。その件については先ほど説明したとおりだ、正体不明の何かにやられた。そうとしか言いようがない」


ずっとこれの繰り返しである。
いい加減にうんざりしてきて、もはや一夏がどんな呼び方をしようが気にすることが無くなっていた。
全く引き下がる気配を見せない一夏。
その後ろでは箒や鈴がガラス越しにシャルロットの身を案じていた。


だが、壁側に設けられた椅子には楯無、セシリアとラウラが一度も発言することなく、ただ俯いていた。まるで何かに耐えるように。
箒と鈴はそんな様子の三人を気にする様子は全く見られない。
では、一夏はどうか。
三人を睨んではいるが、千冬がいる前では事を荒げるつもりはないようだ。


「私はこれから職務をこなさなければならない。よって、先に学園に帰らせてもらうが、お前らもなるべく早く戻ってくるように。……以上だ」


連絡事項だけ言って、去っていく千冬。
残された六人は言葉もなく、ただ黙っている。
しかし、一夏、箒、鈴とセシリア、ラウラ、楯無には明らかな違いがあった。


モチベーションもそうだが、どことなくやつれて見える。
疲れが溜まっているだけかもしれない。
すくなくともシャルロットがこうして生きていられるのはあの三人がいたからだと、医者も言っていた。あの人たちがいなければ、あの少女は命を落としていただろうと。そう断言されたほどだった。


その面に関しては、一夏も箒も鈴も感謝している。
――――一夏だけは違っていたが。
一夏は引っかかっているものがある。


あの三人がいなくなって、シャルロットがいなくなって、いないまま夜が訪れて、千冬に呼ばれて来てみれば、こうなっていた。
全てはあいつらのせいではないのか。
そう思った一夏は項垂れたままの三人の前に立った。


「なあ、あんたたちなら知ってんだろ……どうして、シャルがあんなことになっているんだよっ!!」


一夏は最後まで己を律することが出来ずに激情して、聞いた。
楯無は口を開くことはない。
それどころか、誰ひとり一夏の方を向くことはなかった。
その姿を見た一夏はカッとなり、目の前にいた楯無の襟元を掴み、無理やり立たせた。


「……乙女に暴力はダメ、いけないよ……」
「うるせえっ!!!! あんたは黙って答えればいいんだ! 答えろ、知ってんだろ。一体誰がシャルをあんな目に合わせたんだ!!」
「…………」


力なく言葉を放つ楯無にさらに逆上し、揺すりながら楯無を問い詰める。
しかし、楯無は答えようとしない。
ただ、黙って躊躇うように口を開いては閉じるのを繰り返す。


そんな楯無の姿に一夏は何を思ったのか後ろに押すように手を離した。
ふらふらっと椅子に音を立てて座る。


「答えろ。誰がやったんだ」


一夏は箒と鈴の制止に声も聞こえないようで、先輩である楯無を乱暴に問い詰める。
おそらくその様子じゃあ、楯無のことは知らないようだ。


「…………ハアッ。いいわ、教えてあげる。自分から聞いたんだから後悔しないでよ」


楯無は嘆息しながらも、一夏に真実を教える


「この事件の被害者はシャルロット・デュノア。――――そして、容疑者は」


――――夜神鳥麗矢よ。


      ◯


千冬は誰もいない職員室で一人職務をこなしていた。
この件に関する報告書をまとめるためである。
ボールペンで書き進める音が響く。


だが、唐突に音が止まった。
カツっとペンを置く。
学園に戻って来てからはずっと思いつめた表情をしている千冬。
途中であった真耶に心配されたが、何でもないと気にさせなかった。


――ダアァン!!!


千冬が両手を握りしめて、机を思いっきり叩いた音が職員室内に響き渡った。
悲痛な顔をして、今にも涙が零れ落ちそうである。


「……何が世界最強だっ………! 生徒一人守れないで、何が教師なんだ……! 何がブリュンヒルデだっ……!」


――――これが千冬の本音なのだろう。
いつも冷静でいる千冬だが、世界最強も人の子なのだ。
感情はある。
それを人前では見せることがないだけなのだ。


千冬の頬を一筋の涙が伝った。


      ◯


「邪魔をしないでもらえるか?」
「はっ、無理だね。お前とはいい仲になれそうだったけど、ここを潰すっていうなら話は別だよ」
「……戦いは免れないか…………」


麗矢は一人の女性と対峙する。
女性がISを展開するのを見て、麗矢も展開した。


(妾も手を貸すぞ、お前様にな)
(悪いな、迷惑をかける)
(なあに、好きでやってることじゃ)


ルティアと思考会話する。
ケラケラと軽く笑うルティア。
そんなルティアを見ていると少し気が紛れる。


麗矢は《デストラクター》を女性に向ける。
女性は自然体を保ったまま、麗矢に向かい合った。


「……最後に聞くが、気は変わらないのか?」
「……ああ」
「そうか……じゃあしょうがない。いくよっ!」


麗矢と女性がぶつかり合う――――





 
 

 
後書き
最後に出てきた女性は、分かる人は分かるはず。 
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