久遠の神話
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第三十九話 君子の絆その三
「戦い、この剣士の戦いを無益なものと考えていますので」
「だからこそですね」
「はい、止めたいと考えています」
今度は上城に答えたのである。
「その様にです」
「だからですね」
「はい、上城君の協力が得られることは非常に有り難いです」
「僕だけじゃないですよ」
上城は微笑みになって大石に返した。
「他にもお二人がおられますから」
「自衛官と警察官のですね」
「今度御会いになられますよね」
「はい」
そうするとだ。大石は笑顔で答えた。
「そうさせてもらいます」
「じゃあお二人には僕から連絡させてもらいますね」
「それは可能ですか」
「知り合いですので」
それでだとだ。上城は微笑みで大石に答えた。
「そうさせてもらいますね」
「携帯で、ですか」
「お互いに。三人それぞれの携帯の番号とメールアドレスは記録させてもらっていて」
それでだ。簡単にやり取りができるというのだ。
「今すぐにできます」
「そうですか。ではお願いします」
「はい。それでは」
「あっ、今は止めて下さいね」
大石は上城が携帯を出そうとしたところでこう告げた。右手で制止する構えで。
「後でお願いします」
「今は駄目ですか」
「今私達は礼拝堂の中にいますね」
「あっ、だからですか」
「神の御前では。携帯を使うということは」
はばかれるというのだ。
「あってはなりません。この教会では本来は礼拝堂に入る前にはです」
「携帯の電源を切ってですね」
「最悪でもマナーモードでお願いします」
「それじゃあ礼拝堂の外で」
「そちらでお願いします」
連絡はだとだ。大石は十字架の主の前で上城に話す。
「そうして頂けますか」
「わかりました。それじゃあ」
「これは神、そして主への礼儀ですので」
「そして聖霊のですね」
「その通りです」
キリスト教、特にカトリックの三位一体である。尚聖霊は精霊となる場合もある。
「だからこそです」
「そうですね。じゃあ教会の外で」
「お願いします」
「そこから先生にご連絡しても宜しいですね」
「私の携帯番号とメールアドレスですが」
「先生も携帯を持っておられますか」
「何かと便利ですから」
持っているとだ。大石はここでも微笑んで上城に話した。
「仕事にも使っています」
「神父さんのお仕事ですか」
「これが中々多忙なのです」
「そこまでなんですか」
「神に仕える者には休息はありません」
それがどういうことかもだ。彼は話した。
「何かあればすぐにです」
「そこに行かないといけないんですか」
「そうです。日曜であろうとも」
神の休息日、その日であろうともだというのだ。
「そこに向かわないといけないのです」
「ううん、じゃあ寝ていても」
「勿論です。すぐにです」
その場所に行かなければならないというのだ。
「それが紙に仕える者の勤めです」
「そうですか。神父さんも」
「多忙です。それに」
「それに?」
「収入は少ないです」
多くの者が最も重要視するだ。それもだというのだ。
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