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久遠の神話

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第三十九話 君子の絆その二

「有り難うございます。それじゃあ」
「はい、その中の一つにですね」
「寄付をします」
 こう言ったのだった。
「何処かに」
「そうされるといいです。善意はです」
「善意は?」
「残念ですがそれを悪用する人もいるということも覚えておかないといけません」
「そうなるのですね」
「悪意のある人間もいますから」
 だからだというのだ。
「そうした輩に騙されては何にもなりません」
「そうですね。そうなったら」
「はい、お話にもなりません」
「わかりました。それじゃあ」
「僕も気をつけます」
 樹里だけでなくだ。上城も答える。
「そうした組織や人には騙されない様にします」
「絶対に」
「本当に世の中は色々な人がいます」 
 大石は悲しい目になって二人にさらに話した。
「人を騙すことを何とも思わない人がいるのです」
「そうした人はどうするべきですか?」
 上城は切実な顔になって大石に問うた。
「ただ。何もしないでは駄目ですよね」
「勿論です。悪人を放っておいてはいけません」
「さらに悪事を働いて騒動を大きくするからですね」
「はい、そうです」
 それ故にだというのだ。
「そうした人は懲らしめるしかありません」
「神罰を下すのですか?」
「そうなりますがそれは法律によってです」
「法律によってですか」
「法律によらない神罰は何か」
 大石はこのことも上城と樹里に話した。
「それはただのリンチです」
「リンチ、ですか」
「それになります。リンチをしてはなりません」
 ここでは厳しい顔、上城が見たことのない顔になってだ。大石は二人に話した。
「それは無法でしかありません」
「無法ですか」
「はい、無法です」
 まさにだ。それでしかないというのだ。神罰ではなくだ。
「無法は悪です。彼等と同じになってしまいます」
「その人を騙しても平気な人達とですか」
「そうなるんですね」
「だからこそそれはなりません」
 こう言うのである。
「例え何があろうとも」
「そういうことになるんですね」
「ですから。そうした人達は警察や然るべき人に知らせるか」
 若しくはだというのだ。
「多くの人に伝えることです」
「そうしたことをしてもいいんですか」
「悪人は悪人とつながっているものです」 
 そうしてそうした輩が警察やその然るべき場所にいるかも知れないというのだ。そうした危惧もまただ。大石は頭の中に入れているのである。
「そうした場合でも何かを出来る様に」
「伝えることも考えておくのですね」
「そうです。人は大抵は悪を憎むものです」 
 そうした心がだ。確かにあるからこそだというのだ。
「ですから伝えることも大事です」
「あっ、今はインターネットもありますね」
 樹里はここでインターネットのことについて言及した。
「ですから伝えることも」
「容易であり」
「しかも広く伝わりますね」
「ネットはいいものです」
 大石は微笑んで話す。
「効果があります」
「非常にですね」
「そうです。ですから」
「悪人の存在を広めることに効果があるのですね」
「ただ指を咥えて見ていることは」
 それは何か。大石にとっては。
「してはならないことです」
「そういうことになりますね」
「そして私は今は」
 今度は彼自身の話になった。 
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