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万華鏡

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第二十話 蚊帳その五

「下手にこっちから仕掛けないと大丈夫だからな」
「安心していいいのね」
「こっちから何もしないで避けたらいいのね」
「そうしたら大丈夫なの」
「ハブも」
「蛇は下手にこっちから仕掛けたら駄目なんだよ」
 また言う美優だった。
「避けたらいいんだよ」
「お部屋の中に入ってきたら?」
 一人がその場合について尋ねた。
「その場合はどうするの?」
「長い棒で挟んだりして放り出すんだよ」
 そうすればいいというjのだ。
「それが最終手段だな」
「それ以外は逃げる」
「そうして避けるものなの」
「素人が下手に手を出すと本当に死ぬよ」 
 美優はこのことは真面目に言う。
「血清あってもさ」
「あっ、あれ一回しか効かないのね」
「一回だけしか」
「そうだよ、だから怖いんだよ」
 蛇にかまれるとだというのだ。
「そんなの相手にしたら駄目だよ」
「素人は特に」
「そうしたらいけないのね」
「死んだら終わりだからな」
 毒で死ぬ、そういうことだった。
「死にたくないよな」
「あと九十年は生きていたいし」
「私百年は」
 何気に欲が出ている。
「だから今死ぬのは」
「少し待って欲しいから」
「交通事故と蛇にはね」
「あとストーカー殺人も」
「あたしもだよ。あたしもあと百年な」
 つまり百十六歳までだというのだ。
「生きていたいしさ」
「ここで死んだらね」
「元も子もないし」
「やっぱり人間生きてだし」
「蛇にかまえて死ぬっていうのもね」
「嫌っていうか」
「だからよね」
「ハブもそうした毒も」
 お断りだというjのだ。
「蠍だってそうだしね」
「それに蜘蛛も」
「蜘蛛なあ」
 美優はそれの話もする。
「あれもな」
「猛毒持ってるのいるわよね」
「タランチュワとか」
「タランチュラは弱いぜ」
「あっ、そうなの」
「毒はなの」
「あれは弱いんだよ」
 そうだというのだ。
「実はさ」
「そうだったの」
「タランチュラって毒弱いの」
「強いって思ってたけれど」
「そうじゃないのはな」
「強いのはさ」
 どういった蜘蛛かというと。
「クロゴケグモとかなんだよ」
「アメリカにいるあれ?」
「黒くて小さいの」
「あれが強いんだよ」
 持っているその毒がだというのだ。
「あの蜘蛛にはかまれたら実際に死ぬからな」
「図鑑読んでたらかなり小さな蜘蛛だけれど」
「それでもなのね」
「日本にいなくてよかったよ」
 美優はしみじみとして言った。 
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