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万華鏡

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第二十話 蚊帳その二

「そこにいる先生とか先輩って大きいよな」
「そうそう、部活ってね」
「環境次第だから」
「合う合わないもあるしね」
「それ大きいわよね」
「例えばさ」
 また言う美優だった。
「最初に入った部活の先生が朝鮮労働党にいる様な先生だったらさ」
「いるいる、そんな先生」
「実際にいるかわ怖いわよね」
「暴力は振るうし罵るし」
「考え方があからさまにおかしいね」
「そんな先生いるからね」
「実際に」
 周りも美優のその言葉に頷く。
「とんでもない先生が顧問でね」
「何やっても問題にならなくて学校に残って」
「犯罪みたいな暴力振るってもお咎めなし」
「そんな先生いるから」
「そんなのが顧問の部活に最初ぶつかったらね」
「後部活したくなくなるわよね」
 最初が肝心なのは部活も同じだ。その部活が酷いものだとどの部活もそうしたものだと思ってしまうからである。
 だからなのだった。
「最初の部活はいい先生が顧問であって欲しいわ」
「ええ、先生次第よね」
「だから本当にいい先生であって欲しいね」
「そうよね」
「そうなんだよな。こっちの部活でさ」
 美優は自分達の軽音楽部の話をした。
「里香ちゃんいるけれどさ」
「ああ、あの頭のいい娘ね」
「あの娘よね」
「そう、あの娘中学の時は部活に入ってなかったんだよ」
 つまりはだった。
「高校がはじめてだったんだよ、部活は」
「そのはじめだったのね」
「最初の部活だったのね」
「そう、それだったのよ」
 まさにそれだったというのだ。
「で、最初は相当不安がってたんだよ」
「あの娘結構人見知りそうだしね」
「やっぱりそうなるのね」
「そうだよ、それでさ」
 美優はさらに話す。
「うちの部活顧問の先生いいしさ」
「だからなのね」
「それでよね」
「ああ、今楽しくやってるよ」
 その部活をだというのだ。
「本当に労働党にいそうな先生じゃなくてよかったよ」
「というか普通の社会にそんな人いないけれどね」
「北朝鮮にいるみたいな人って」
 その常識が通用しないのが教師の世界なのだ。
「頭のネジが何本かどころか全部外れてる様なの」
「そういうのがいる社会ってね」
「まあそれでもそういう人が顧問でないって」
「いいわよね」
「もういい部活の第一条件」
「それよね」
「そしてね」
 それに加えてだった。
「先輩もね」
「先輩がいいともっといいわよね」
「色々優しくしてもらえるとね」
「いいわよね」
「うちの部活先輩もいいんだよな」
 美優はこのこともにこにことして言う。
「厳しい人もいるけれどさ」
「どう厳しいの?」
「部活に厳しいんだよ」
 そうした厳しさだというのだ。
「怪我をするな、部活は真面目にしろってさ」
「ああ、そういう厳しさなの」
「それなの」
「うん、真面目にしないと怪我するってさ」
 それをいつも言っているというのだ。 
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