| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

万華鏡

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十九話 ビーチその十六

「変に力が入るか入らないか」
「どっちにしても問題よね」
「だからな。今西瓜割りしてもな」
 よくないのではないかというのだ。
「だから止めておこうな」
「じゃあこのまま切る?」
「そっちの方がいいだろ」
 こう提案したのだった。
「やっぱりな」
「じゃあ切るわね」
 琴乃はすぐに言った。
「今から」
「簡単に切ろうね」
 景子は注意する顔で琴乃にまた言う。
「お酒入ってるからね」
「だよな、酔ってると危ないからな」
 美優もまた言う。
「刃物だからな」
「そうね。じゃあ」
 琴乃は美優の言葉に頷いてだった、そのうえで。
 その西瓜を実に簡単に切った。
 それを適当に切った、その数は。
「十、ちゃんと切ったのね」
「一人二切れね」
 彩夏にもこう答える。
「そう考えてね」
「というか琴乃ちゃん包丁使うの上手よね」
 彩夏はその十切れの西瓜を見て言った。
「半分に切ってその半分を五等分ね」
「そうしてみたけれど」
「お菓子作るのにそんなに包丁使うの?」
「多分和食とかみたいには使わないけれど」
 それでもだというのだ。
「フルーツ切るからね」
「ああ、それね」
「フルーツはいつも切るから」
 西瓜もフルーツに入れての言葉だった、本来は野菜で琴乃もよくわかっているがそのうえでの言葉である。
「だからね」
「慣れてるのね」
「結構飲みながら追加で切ることも多いし」
「それ危ないわよ」
「そうよね。じゃあ」
 それではと言う琴乃だった。
「これからはね」
「しない方がいいわよ」
「この場合は切ってもらう方がいいのね」
「お酒飲んで刃物を持つのは危ないからね」
 それが何よりの理由だった。
「気をつけてね」
「ええ、そうするわ」
 琴乃も彩夏の言葉に頷く、そうした話をしてだった。
 何はともあれ五人はその西瓜も食べた。砂浜で美味いものは焼きそばやソーセージだけではない、西瓜もだ。
 その西瓜の甘さを味わいながらそれでだった。
 景子は海を見て四人にこう言った。
「ねえ、西瓜食べ終わったらね」
「お酒入ってるから泳ぐのは止めような」
 美優もこのことは止めた。
「本当に危ないからな」
「心臓に悪いのよね」
「ああ、それで死んだ人もいるからな」
 タレントだったたこ八郎がそうだ、それで死んでいるのだ。
「だから海には入らないで」
「後片付けしたら帰る?」
「プールに行ってもな」
 美優は砂浜の上にあるホテルの方を見た、五人が今いる場所からはホテルの白い高層の建物が見えるだけだ。
「やっぱり泳げないしな」
「行っても仕方ないっていうのね」
「そう思うけれどな」
「あっ、プールサイドにいるだけでね」 
 だがここで里香が言う。
「いい場所だから」
「あr、そうなんだ」
「そうなの。プールサイドの安楽椅子に座ってリラックスとか」
 そうした映画に出て来る様な楽しみ方が味わえるというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧