| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

IS 〈インフィニット・ストラトス〉 飛び立つ光

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

闇夜の結婚騒動!?

―――人里 甘味処―――

「おお、良く来てくれました閃輝君」
「まあ依頼受けたら来ますよそりゃ。ってか師匠が俺に依頼って珍しいですね」

閃輝は人里に設置していた掲示板に覇狼からの依頼があったのを見て、覇狼が経営する甘味処にやって来ていた。他に客はいないのか、閃輝と覇狼の二人だけだった。嫌、二神だけだった

「それで何の依頼なんです?」

閃輝は出されたお茶を啜りながら覇狼に尋ねてみた、覇狼もお茶を啜りながら口を開いた

「ええ、実はですね」

闇夜君、結婚するらしいんですよ

「え・・・?」

その言葉は、閃輝に嘗てない程の驚きを齎す言葉だった。閃輝の顔は引き攣り、汗がだらだらと流れて口を大きく開けて硬直してしまった

「け、結婚・・・?闇兄が?・・・」
「ええ・・・依頼というのはその結婚式の準備作業なんですが・・・閃輝君?あ、あの大丈夫ですか?」

覇狼はまるで金縛りにあっているかのように硬直している閃輝に声を掛けるが、閃輝は停止したまま動かない

「ぇぇ」
「?」
「ええぇぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!???????????」

その日人里から凄まじい驚きの声が上り、幻想郷中に広がった。これが後々『神の咆哮』と言われるようになった

「お、落ち着きましたか?閃輝君」
「は、はいなんとか・・・」

何とか冷静さを取り戻した閃輝は、お茶を飲みながら落ち着こうと必死になっている。それを見て覇狼は苦笑いを浮かべる

「にしても闇兄が結婚ねぇ・・・俺の結婚の時も相当騒がしかったので、闇兄の場合相手が相手だからなぁ・・・っていうか相手誰なんです?紫さん?幽々子さん?それとも幽香さん?」

闇夜に好意を抱いている3人を上げる閃輝、考えてみれば幻想郷のパワーバランスを担っている3人だ。闇夜は、良く考えなくてもとんでも妖怪達に愛されてしまっている

「私も詳しく聞いていないんですが、紫さんだと聞いていますよ」
「へぇ、紫さんが射止めたんだ。闇兄の心」

闇夜の心を射止めたのは『妖怪の賢者 八雲 紫』のようだ

「でも良く他の二人を振り切ったな。他にも魔理沙姉も狙ってたのに」
「魔理沙ちゃんもなんだか第二夫人として迎えてもらうようにしてたらしいですけど、駄目だったようです。まあ魔理沙ちゃんを含めた3人は略奪愛っという物を企んでいるらしいですよ?」
「・・・。女って恐ぇ・・・」
「奥さんが3人もいる貴方が言えるセリフですかそれ?」

でも閃輝は異常に気になった、どうやって闇夜を落としたのか非常に気になった。自身の姉も含めてかなりガードの固い兄をどうやって攻略したのか。闇夜は恋愛に全くまでとは言わないが興味を示さなかった、それを交際をすっとばして結婚まで行かせたのだ。苦労するという一言では済まないだろう

「本当によく闇兄を落としましたね紫さん、幽々子さんとか幽香さんも狙ってるのに。魔理沙姉も、本当すげえ」
「どうやらほぼ毎日彼の家に行き、食事やら日頃の行動を共にしてそこから徐々に彼の心に入り込んで大切な者に
なったようですよ?それでもあの3人の妨害を交わして結婚まで言ったのだけで偉業ですがね」
「ですよねぇ」

魔理沙、幽々子、幽香のアプローチも半端なものではなかった筈。日頃から既成事実を狙おうとかなり接触的にアタックを仕掛けていた筈だ、それを掻い潜って闇夜の心を射止めた。どうやったのだ?

「知りたいかしら?」
「うぉっ!?」

突如目の前にスキマから顔を出した紫が現れた為、驚いて茶を零しそうになる閃輝。紫はそんな閃輝の様子を楽しんでいるように見えた

「紫、貴女一体何しに来たのですか?私に結婚式の準備を押しつけて、手伝うという気は無いのですか?」
「ふふふっ何故新婦である私が態々結婚式のセッティングをしなければならないのですか?それと閃輝君、私がどうやって闇夜を落としたのか気になる?」
「そりゃなりますよっと」

閃輝は椅子に座り直しながら、紫に話しかけた。紫は語りたいのか、ウキウキしながら話してくれた

「私はね、他の3人とは違って積極的なアプローチはしなかったの。もっと誠実に清楚な感じで落ち着いた感じで闇夜にアプローチしたのよ。毎朝、優しく起こしてあげて、朝食を作ってあげて肩をもんであげたり、愚痴を聞いてあげたりね」
「ヘぇ~そう言う方針を取ったんですね。闇兄ってばそう言う事は全然話してくれないし、最近は全然闇兄達の家には行ってないし」

紫は少し驚いた様な顔を浮かべている閃輝の顔を見て嬉しそうに、笑った

「ふふふっそれを7年間欠かさず行ってのよ。気長にゆっくりと私と闇夜との友情を深める事を優先したのよ。それで次第に闇夜も次第に私を意識するようになってくれたのよ。偶に自分が行った治療が上手く行かなくて凄い悔んでいた事もあったわ。その時は魔理沙と一緒に慰めたわ。本当に心配したのよ」
「その治療ってまさか・・・義父さんと義母さんの治療ですか?」

その質問に紫は顔を少し暗くしながら、頷いた

「闇夜のお父様とお母様も年には敵わなくて病に掛ったのは覚えてるでしょ?それが闇夜が唯一治療出来なかった病気で、初めて治療した患者を死なせてしまった時だったのよ」

その話を聞いていた覇狼も顔を暗くした

「・・・確か癌でしたね、それも全身に転移していてもう施しようがない程進行していて、あの時の状態は私なら
治療出来たでしょうがその時私はいませんでしたからね。自身で両親を助けようと奮闘したのに、それは結局無駄所か寧ろ癌を進行させただけ。あの時の闇夜君の苦しみと悲しみは想像を絶する物だったでしょう。そして最後は彼の努力も無しくご両親は無くなった」
「彼は辛かったでしょうね、自分の両親を助けようとしたのに逆に癌の進行を進めてしまい、結果自分が殺したと思いこんでしまったわ。でも彼はショックを受けた魔理沙を慰め続けた。自分の身体が壊しながら」

闇夜は両親を亡くしてからずっと魔理沙を支え続けた。だがその間に今度は闇夜の身体が崩壊へと進んでいた

「そして漸く魔理沙も立ち直った所で、闇夜も倒れてしまった。その時は私や魔理沙、幽々子、幽香、閃輝君達も必死で看病したわね。それでなんとか命の別状がない様にしたけど、彼の心には深い傷が残った」
「そして闇兄は俺達を拒絶し始めた」

『親父やお袋を救えなかったのは俺のせいだ・・・。何が医者だ・・・、何の為の医術だ・・・。いざって時に、救いたい命を救えなくて何が医者だ・・・何が人賢者だ・・・。俺は・・・俺は・・・』

闇夜の心は酷く摩耗してしまい崩壊寸前まで陥った。そのまま長い間自己嫌悪に陥って、無気力だった

「でも私は彼の傍に居続けた。私は唯傍に居ただけ、下手に言葉を掛けるよりそれが良いと思った。そして彼は漸く元の彼に戻ってくれた。そして私との結婚を決心してくれたのよ♪」
「ってなんで最後省くですか!?なんかイイハナシダナ~って言える雰囲気だったのに!!」
「ふふふっ、ほらだって私、妖怪だし♪」

そう言って紫はスキマの中に入って行くと、スキマは消えてしまって閃輝は渋々席に着いた

「ちぇ、もうちょい詳しく教えてくれても良いじゃねぇか」
「まあまあ、そう言わずに。とにかく紫は闇夜君の心を救ってこれからも闇夜君の支えとなる。それで良いじゃありませんか」
「いいのかな~・・・」
「良いんですよ」

そして閃輝は何か納得がいかないが、覇狼と共に結婚式の準備を進める事にした。そして・・・

人里の一角で沢山の人がひしめき合っていた。そこにはシャルロットや劾、慧音、ラウラ等と言った人里に深く関係する人達や、幻想郷に住まう妖怪や霊達が一堂に揃っていた。そこにスーツを着た覇狼が司会者の位置へ立った

「本日は急な連絡にも関わらず沢山の方々にお集まり頂き、誠に感謝致します。これより霧雨 闇夜と八雲 紫の結婚式を執り行います。皆様、お静かに願います」

覇狼の言葉に喋り合っていた皆は静かにし、白のタキシードを着た闇夜がヴァージンロードの終着点に立った。その姿は女性ならば誰もが魅了されてしまう物だった

「では新婦の入場です」

そう覇狼が言うと、ヴァージンロードへウェディングドレスを纏った紫が登場した。その美しさに一同は声を漏らした。普段彼女が纏っている胡散臭さは一切なく、誠実で清楚が溢れ出ており聖女にも見えた。
ゆっくりと歩く紫。闇夜は彼女が近くに来ると手を差し出した、紫は手の手を取った。そして二人は神父を請け負っている閃輝の前に立った。閃気もとても嬉しそうだった

「新郎、霧雨 闇夜。貴方は新婦、八雲 紫が病める時も、健やかなる時も愛を持って、生涯支えあう事を
誓いますか?」
「はい誓います」
「新婦、八雲 紫あなたは新郎、霧雨 闇夜が病める時も、健やかなる時も愛を持って、生涯支えあう事を
誓いますか?」
「はい誓います」
「今ここに一組の夫婦が成立した。異議ある者は名乗りを上げよ」

誰も異を唱える者はいなかった。粛々と式は進んでいく

「新郎新婦、互いの指に結婚指輪を」

新郎新婦互いにポケットから指輪の入ったケースを取り出し、闇夜、紫の順で左手薬指に指輪を嵌めた。
サイズ合わせを一度もしていないのに、ピタリと入った。これも愛のさせる技かっと誰かは呟いた

「誓いのキスを」

闇夜はゆっくりと紫に近づき、彼女の唇に自分の唇を合わせた。その瞬間、そこらじゅうから拍手と歓声が響いた、誰も騒ぐ事を咎めはしなかった。めでたい事は本当なのだから紫の式である藍に至っては

「紫ざま~ぼんどうにおめでどうございまず~」

号泣していた。そんな藍を見た藍の式である橙はハンカチを藍の顔に当てていた。本当に祝福されている、惜しみながらも唇を離した闇夜と紫も恥ずかしながらもとても嬉しそうだ。だが良く思わない者達もいた

「「「ちょっと待った!!!」」」

その時!空から轟音を立てながらある者達が現れた!その者達とは

「ま、魔理沙姉!?それに幽々子さんに幽香さんまで!!?」

そう、闇夜に好意を寄せていた3人だった

「やっぱり諦められないぜ!!」
「そう、闇夜を諦めるなんて」
「出来る訳無い物ね」
「ってもう誓い終わってるんだけど・・・」

「「「んなもん無視して奪うまで!!!」」」

3人は満面の笑みを浮かべて言いきった。その答えに閃輝は脱力する

「確かに紫は兄ちゃんに相応しいと思う、だから」
「身を引こうととも思ったわ」
「だけどそれじゃ・・・」
「「私らしくないじゃない?」」「私らしくないだろ!!?」

「ふふふっ」「はははっ」

そう言いきる3人に闇夜と紫は笑う

「あらあら、新郎新婦初めての共同作業がこんな事になるなんてね」
「そだな、でも俺達らしいと言えばらしい」

そう言うと闇夜は紫をお姫様抱っこして、笑う

「逃げ切らせて貰うぜ!!!」

そう言ってもうダッシュしてから空へと飛び立つ闇夜と紫

「「「待ってぇぇえええええ!!!!」」」

それを追う魔理沙、幽々子、幽香。そして先程まで喜びの声で満ちていた会場はシーンとしていた

「ったく・・・まあ闇兄を取り巻く環境らしいっちゃらしいな」

閃輝には見えていた、追い掛けられる闇夜と紫。追いかける魔理沙、幽々子、幽香。その全員が心から嬉しそうな顔していたっと言う事を。そして覇狼と閃輝は口を揃えて

「「新たな道を踏み出す夫婦に神の加護を!そして永遠の幸せを!!」」 
 

 
後書き
ゆ「さあ、ハイパー次回予告タイムだよ!

結婚し、性を八雲にした闇夜。幸せを家庭を築く八雲家。

勿論、3人は諦める気など毛頭なくアタックし続ける

霊夢は覇狼から衝撃を受ける言葉を言われる!!」

雛「次回、IS 〈インフィニット・ストラトス〉 飛び立つ光

霊夢の母親

れ、霊夢の母親って・・・あの巫女だったの!!?」

ゆ「うわぁ・・・血って争えないのね」  
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧