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万華鏡

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第十九話 ビーチその十二

「五百をどんどん飲んでさ」
「それでいくのね」
「いつも通りさ。まあ普段はビールよりも焼酎だけれどさ」
 美優は沖縄生まれなのでそちらになる。
「沖縄の地酒とかさ」
「あの強いのね」
「あの強さがいいんだよ」
 まさにそうだというのだ。 
「飲んだらすぐにがつーーーんときてさ」
「がつーーーんとね」
「ああ、あれが止められないんだよ」
 こう笑顔で言うのだった。
「本当にさ」
「それでよく焼酎とか強いお酒飲んでるのね」
「ウイスキーとか洋酒は飲まないけれどな」
 そうした酒は美優の趣味ではなかった。
「洋食の時はワインだよな」
「そっちなのね」
「ウイスキーとかは好きじゃないっていうかさ」
 美優の話は続く。
「洋酒ってさ。気取ってる感じがしてさ」
「嫌いなのね」
「洋酒は」
「嫌いってところまではいかないさ」
 レベル的にはそこまで達していなかった。
「あれば飲むしさ。流石にウォッカは強過ぎて駄目だけれどな」
「ああ、あれば飲むのね」
「そうなのね」
「ビールやワインだって洋酒だろ」
 西洋から来た酒なので広義ではそうなるというのだ。
「だろ?」
「言われてみれば確かに」
「そうよね」
「ビールもワインもね」
「そっちよね」
「だろ?それでなんだよ」
 美優はそのビールを手にしていた。だがまだ開けてはいない、それは焼きぞばと一緒にと決めているからである。
「こだわらないさ。ただウイスキーとか気取ってるイメージがあるんだよ、ブランデーとかな」
「そうした強い洋酒系は」
「そうなのね」
「ああ、本当にあったら飲むけれどさ」
 それでもだというのだ。
「なければ飲まないさ」
「そういうものなのね。美優ちゃんにとって洋酒は」
「そっちの強いのは」
「やっぱり焼酎だよな」
 推すのはこれだった。
「美味しいし身体にいいしさ」
「しかも気取っていない」
「だからいいのね」
「それに安いしさ」
 これも理由としてあった。
「もう最高のお酒の一つだろ」
「ビールって残るからね」
 琴乃もそのビールを持って話す。
「あれはね」
「けれど焼酎はそんなに残らないだろ」
「ええ」
「だからいいんだよ。あとワインも残るわよな」
「あれはきついわね」
 彩夏は遂に焼きそばの袋を破りだしている、里香と景子もそうしている。
「ワインの二日酔いは」
「だろ?その点やっぱり焼酎はいいんだよ」
「あそこまでは残らないから」
「どんな料理にでも合うしな」
 理由としてこれもあった。
「最高の酒の一つだろ。まあ海に焼きそばだとビールだよ」
「今はその組み合わせなのね」
「そう思うよ。じゃあそばも焼いていって」
 美優は笑顔で話をしていく。
「後はな」
「うん、後はね」
「焼きそばに火が通ったらね」
「おソースかけよう」
「胡椒も」
 そうしたものは湯気を立てているそばに早速かけられている、そしてだった。  
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