万華鏡
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第十九話 ビーチその八
「小さい胸もいいんだよ」
「そういうことね」
「そうだよ」
こう言うのだった。
「それでなんだよ」
「そうなのね。胸はなの」
「大きいだけじゃないだろ。形もな」
またこの話になる。
「大事だからさ」
「そもそもアイドルだってね」
アイドルに例えられた琴乃の言葉だ。
「誰もが胸が大きいって訳じゃないじゃない」
「それはそうだけれど」
「やっぱり胸がそんなにないアイドルもいるし」
もっと言えば胸が小さいアイドルもかなり多い。
「声優さんだと特に」
「声優さんはって?」
「そう、大きい人は大きいけれど」
それでもだというのだ。
「小さい人の方が多いのよ。後は背だけれど」
「声優さんの身長?」
「かなり小さい人多いから」
「どんな感じ?小さい人が多いって」
「一五五以下の人も多いのよ」
「一五五以下っていったら」
どういった感じか、景子は五人の中で最も背の高い美優を見てそのうえでこう琴乃に対して言った。
「美優ちゃんより十センチ以上よね」
「そう、小柄なのよ」
「そうした人が多いのね」
「一四〇代前半の人もいるわよ」
「それだともう」
その背丈ならどんな感じか、景子は想像してから答えた。
「小学生みたいな感じ?」
「そう、顔立ちもね」
「童顔なの」
「そうした人も多いのよ」
勿論背の高い女性声優もいるが小柄系の人が多いというのだ。
「声優さんの世界はね」
「私は背は特に」
「興味ないの」
「高くても低くてもね」
実際にそうだというのだ。
「どうでもいいわ」
「そうなのね」
「そう、胸が気になってたのよ」
「成程ね。そういうことなのね」
「まあ美優ちゃんの今の言葉で少し考えが変わったかしら」
そのコンプレックスめいた考えがだというのだ。
「考え方変えていきたいわね」
「そうなのね。あとは」
「あとはって?」
「里香ちゃんは?」
最後は彼女だった。
「あの娘はまだなの?」
「ちょっと水着を探してたから」
持って来たそれをだというのだ。景子が琴乃に話す。
「まだなの」
「水着見付かったの?それで」
「ええ、あったわ」
水着はだというのだ。
「だから今着替えてるわ」
「じゃあもうすぐなのね」
「そう、もうすぐしたら来るから」
そうだというのだ。
「待ってればいいわ」
「じゃあね。もう少しね」
「ええ、待っててね」
こうした話になった。そうして待っていると。
その里香が来た、里香は青い控えめの露出のビキニだった。
スタイルは平均的で胸もウエストも特に言うことはない、脚もまた。
だがその肌を見て琴乃は唸った。
「白いわね」
「お肌が?」
「ええ、白いわね」
里香はその肌の白さだった。
「まるで雪みたいじゃない」
「ちょっとね。お肌はね」
里香は琴乃のその言葉に恥ずかしそうに返す。
「お母さんもお姉ちゃんも」
「あれなの?色白なの」
「そうなの」
こう赤くなった顔で琴乃に答える。
「だからそんなに見られたら」
「御免なさい、けれどね」
「奇麗な肌だよな、里香ちゃんの肌って」
美優もこう言うのだった。
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