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リリカルなのは~優しき狂王~

作者:レスト
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第二十六話~ロストカラーズ・プロローグ~

 
前書き
過去編第一弾です。
サブタイ通り、初めも初めなのでギアスの内容はそこまで進みません。
あと今回、ルルーシュとスザクが多めに出ます。
 

 

 この世界の物語は一体どこから始まったのか。

それは誰も知らない。

ただ一つ言えるのは少なくともある少年の歯車はここから回り始めた。


 機動六課の一同は目の前で流れる光景を見ている。
 そこは豪奢な造りをしている屋敷。そこでこれからパーティーでも始まるのか、そこにいる誰もが笑顔でいた。しかしそれは唐突に破られる。
 銃声、ガラスの割れる音、そして自らの娘を庇いこと切れる女性。そしてその光景を絶望の表情で眺める少年。
それを見ていた六課一同はいきなりのことに呆然としている。しかしそんなことにも関わらず、目の前の光景が変わる。
 先の屋敷と同じく豪奢な作りの大広間。そこには玉座に座る皇帝とその皇帝と謁見しているであろう少年の姿があった。その少年は先ほどの絶望していた少年。
 皇帝である男とその少年の会話。それを聞いていた六課一同は少年の大まかの素性と大体の状況を察する。

『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア』

 今はまだ六課の誰も知らないことであるが、この世界を大きく変える人物である。
 皇帝とルルーシュの会話の結果。それはルルーシュと足を不自由になり光も失った妹、ナナリーの二人が政治の道具として日本に向かうというものであった。
 そして場面は再び変わる。そこから流れ始めたのは日本でのルルーシュの生活であった。疎まれ、蔑まれ、それでも妹を守るため必死に生きようとするルルーシュ。
 その姿を見てはやてやキャロは思う。「自分も疎まれていたが彼ほど強かっただろか?」、「支えてくれる人がいない中、家族を守るために必死に生きることができただろか?」と。
 そんな日々が過ぎていく中でルルーシュはスザクと出会う。始めはいがみ合い分かり合うことのない二人であったが、ナナリーについてのことが切っ掛けで親友となる。そこからルルーシュとナナリーに笑顔が戻り始める。
 なのはとフェイトはそれを見てかつての自分たちを思い出していた。
 しかしその三人の生活は一変する。

『ブリタニアの日本進行』

 その世界の日本はナイトメアフレームという力に耐え切れずに占領される。それを見ていた日本で生活していたなのは達は複雑な表情をしていた。
その戦争に敗北した日本は植民地『エリア11』となった。
 どこかの戦場跡。夕日に染まるその場所でルルーシュはその場にいたスザクに宣言した。

ルルーシュ「スザク……僕は、ブリタニアをぶっ壊す!」

 その目は憎しみに彩られていた。


 そして再び世界が動き出すのは七年後。


 東京疎開。その日、そこは悲劇の舞台であった。ブリタニアのもみ消したい事実のために失われている日本人、『イレブン』の命。ブリタニアに抗うものも無抵抗なものも子供も老人もそんなこと関係なしに殺される。その光景を見て六課一同は絶句する。
そこには救いなどない。あるのは血に濡れた大地と軽んじられる命だけであった。

ヴィータ「なんだよこれ……こんなの戦いですらねえ!」

 本物の戦場を知っているヴォルケンリッターは一方的な虐殺に怒りを覚える。彼らが体験した戦場には少なくとも踏み越えてはならない一線は存在していたのだ。しかしそれがこの場には存在しない。あまつさえ、それを行うブリタニアの兵は自らを騎士と名乗るのだからヴォルケンリッターにとっては屈辱以外の何者でもなかった。
 その戦場に巻き込まれるルルーシュ。そこで彼にも様々な出来事が起こる。
 スザクとの再会、そして目の前で撃たれるスザク。
その場で出会ったどこか不思議な少女C.C.との出会い。
そして追い詰められ、死の淵でC.C.と契約し手に入れた力『ギアス』。

ルルーシュ「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。貴様らは死ね。」

 たった一言。その命令を口にした瞬間。今までルルーシュを殺そうとしていた。ブリタニアの幹部はそれが当然であるように自らに銃を押し付け、引き金を引いた。
 ギアスを知っていたはやて、フェイト、シャマルの三人はその恐ろしさに身震いした。ライから聞いていて、頭では理解していても実際にそれを見ると自分の認識が甘かったことを思い知った。
 場面は変わる。次はギアスの力で奪取したナイトメアと手に入れていた通信機を使い、ルルーシュはレジスタンスに指示を出し始める。
 そこから戦場の攻勢が一気に変わる。的確な指示、効果的な作戦、そして絶対的な自信。それを兼ね備えたルルーシュが敵を侮っているブリタニアに負けることはなかった。
 そのルルーシュを見ていたはやてとティアナは彼に尊敬を通り越し畏怖さえ覚えていた。他人に指示を出したことのある二人だからこそ理解できたのだ。ルルーシュの指揮官としての能力の高さに。そして二人は同時に思う。「今の自分では全く歯が立たない」と。

その頃、なんとか一命を取り留めたスザクは再び戦場に向かおうとしていた。新しい力と共に。

シグナム「あれは……」

フェイト「……ランスロット?」

 スザクが乗り込んだのはホテル・アグスタで確認された新型機、ランスロットであった。

スザク「僕が出て、敵を全て倒せば戦闘は早く終わるんですね?」

セシル「えっ?ああ、さっきの話?確かにありえない話ではないけど可能性はゼロに近いの。」

スザク「でも、ゼロではないんですね。ならそれで十分です。」

セシル「無理はしないでね。」

 それはある意味スザクの覚悟や誓いを意味した言葉であった。

スザク「ランスロット、MEブースト!」

 そして白騎士は戦場を駆ける。それは今まで戦場で力を振るっていたナイトメアの全てを凌駕していた。
 戦略を叩き潰す戦術。今のスザクとランスロットを現す言葉としてはそれも過小評価ではない言葉である。
 その力を目の当たりにした六課メンバーは驚く。ティアナのクロスミラージュに残っていた映像のランスロットも確かに驚異になるほどの性能であった。だが今見ているランスロットはどうだ。驚異のレベルが違う。
 こちらの世界のランスロットにはブレイズルミナスのような盾はない。さらに性能をスペック以上に引き出すスザクのような乗り手もいないのだ。
もしあの時現れた機体がスザクの乗っていたランスロットだったなら自分はあそこで死んでいたとティアナは思った。
 状況は進む。
お互いが親友とも知らずに戦い合うルルーシュとスザク。
 終息する戦闘。
 そしてルルーシュによるブリタニアの第三皇子クロヴィスの暗殺。
 その日は多くのことが起こった。ルルーシュにとっても、スザクにとっても。そして世界にとっても。
 その日から瞬く間に様々なことが起こっていく。
逮捕されるスザク。
スザクを助けるために動き出すルルーシュ。
そして仮面の男『ゼロ』の登場。
 そんな中ルルーシュとスザクはそれぞれ運命の女性と出会う。
 ルルーシュはギアスに関わる魔女C.C.と、そしてスザクはブリタニアの心優しき皇女ユーフェミアと。その出会いは二人のこれからを大きく左右していく。
 四人はそれぞれ違う場所で話し合う。奇しくもそれは同じ日付、同じ時であった。

ルルーシュ「強ければいいのか?」

C.C.にブリタニアの強さを言われルルーシュは問い返す。

スザク「弱いことはいけないことなんだろうか?あの頃、十歳の僕らには世界はとても悲しいものに見えた。」

ルルーシュ「飢餓」

スザク「病気」

ルルーシュ「汚職腐敗」

スザク「差別」

ルルーシュ「戦争とテロリズム」

スザク「繰り返される憎しみの連鎖」

ルルーシュ「愚かなイタチごっこだ。」

 スザクは悲しみをルルーシュは怒りと侮蔑を込めて今の世界のあり方を語る。

スザク「誰かがこの連鎖を断ち切らなければならない。」

C.C.「理想だな。」

スザク「もちろん、そうしたものを全て無くせるとは思わない。」

ルルーシュ「俺はそこまで傲慢じゃない……だから。」

スザク「大切な人を失わなくてすむ、せめて戦争の無い世界に。」

C.C.「そんな都合のいい世界」

ユーフェミア「どうすれば?」

 C.C.はどこか興味本位で、ユーフェミアはどこか縋るように問う。

ルルーシュ「簡単だ、誰かが勝てば戦いを終わる。」

C.C.「誰か?」

スザク「僕にはわからない…でも目指すことを止めたら父さんは無駄死になってしまう。」

 親友の求める世界は同じ平和な世界。しかしその過程や考えは同じにはならない。それは人としては当然のことであるが故にそれを見ていた六課メンバーはやるせない気持ちになる。
 それと同時にわずか十七歳の少年がここまで世界のことについて広い視野や見識を持っていることに驚いていた。

 ユーフェミアとスザク、ルルーシュとC.C.の話し合いから少し経ち、スザクはルルーシュの通うアッシュフォード学園に入学する。最初はやはり差別的な扱いを受けるスザクであったが、ルルーシュやナナリーとの再会や生徒会の偏見をあまり持っていない人々との関係を持ちそれもなくなっていく。
 その光景を見ていた六課の内の何人かは特殊すぎるアッシュフォード学園の突発的なイベントのせいで学校生活を誤解していたがそれは余談である。
 しかし、そんな平和は長く続かない。再び戦いが始まる。
ルルーシュは第二皇女コーネリアに牙をむくがその牙は届くどころか逆に喉元に牙を向けられた。
戦場に絶対がないことを知ったルルーシュは仲間を得始める。そしてとうとうルルーシュ、ゼロは世界に向けて宣言する。

ゼロ「人々よ!我らを恐れ求めるがいい!
我らの名は黒の騎士団!」

 ゼロは反ブリタニア勢力である、日本解放戦線が起こしたテロを利用し黒の騎士団の産声を上げさせる。

ゼロ「私は戦いを否定しない。
しかし強いものが弱いものを一方的に殺すことは断じて許さない!
撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ!
我々は力ある者が力なき者を襲うとき再び現れるだろう。
たとえその敵がどれだけ大きな力を持っていたとしても。
力ある者よ、我を恐れよ。
力なき者よ、我を求めよ。
世界は我々黒の騎士団が裁く!」

 この宣言を聞いた時にティアナはゼロのセリフ一部に関心を寄せた。

『撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ』

 それはライが自分を気絶させた際に使った言葉。あの時自分は撃たれる覚悟を持たずにライに銃口を向けたのかティアナは自問した。
 黒の騎士団の旗揚げから数日後、放課後のアッシュフォード学園で色を無くした少年の物語が始まる。


 
 

 
後書き
というわけでプロローグでした。
まあライが登場してませんけどね。

次回からはライの成分多めです。ちなみに最初の方で言った通り、基本はギアスルートですが誰かのルートというわけではないので混合していくと思います。

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