(聖刻シリーズ)創造の紡ぎ手と異世界、そして妖精
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序章 願い
創造魔法
強風によって吹き飛ばされたナツたちの前には、驚くルーシィと銀髪の端正な顔立ちの少年が立っていた。
銀髪の少年が恐らく「ストーリィ」で、ナツたちが茂みから吹き飛ばされた謎の魔法もその人物が放ったのだろう。
「・・・君の仲間は、勝手に盗み聞きをするような人物なのか?」
「今回はレアケースなのよ・・・きっと」
呆れたような少年と、困り顔のルーシィ。
「そう言えば、この人達が君の探していた人達ではないのか?」
「うん」
「森で迷ってたら、偶然この人に会って。一緒に戻ってきたの」
ストーリィの言葉に頷き、ナツ達に経過を説明するルーシィと、所在無さげに立つ少年、ストーリィ。
ナツ達の目線に気づいたのか、ルーシィが彼の説明もついでにしてくれた。
「この人はストーリィ。あのバルカンを倒してくれた、あたしの恩人よ」
ストーリィ。
「「物語」?偽名みたいだな」
「・・本名だ。よく言われるけどな」
銀髪の長めの髪に蒼い瞳の端正な顔立ち。
黒いコートのような長く大きなカーディガンに白いシャツ。
それに黒いネクタイをしめた、とてもではないが魔導師らしくない格好の人間だ。
とてもじゃないが、あれ程の魔法を発動できる魔導師だとは思えない。
最強メンバーのうちの一人、エルザが考え込んでいる間にルーシィとストーリィが話の続きを始めた。
「ストーリィの「固有魔法」ってなに?」
「・・・オレの固有魔法?ああ。一般的に言えば「創造魔法」か」
聞いたことが無いらしく、首をかしげるルーシィに苦笑いをして、話を続けた。
「創造魔法、単純に言えば「思ったことが現実になる」魔法だな」
「例えば?」
「オレが今、雨が降って欲しいと思ったら、現実でもそうなるってこと」
こんな風に。
そう言った途端、黄金の魔法陣が光り輝き、ポチャンと水の音が響く。
そしてあっという間に雨が降り始めた。
土砂降りでもない、さっぱりとした小雨。
「・・すごい・・思っていることを現実へ変えるなんて。すごい魔法だね!」
「ありがとな。まあ便利な魔法ではあるな」
ナツ達も雨に濡れながらストーリィを見ていた。
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