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万華鏡

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第十九話 ビーチその六

「美優ちゃんのスタイルって」
「モデルだったんだな、あたしって」
「そういうスタイルよ。美優ちゃんもお尻奇麗だし」
「自分ではわからないんだよな、どうしても」
「人に見られてわかるものよね」
「ああ、そうだよな」
 美優は琴乃から返されたそのパレオをもう一度着けながら答えた。
「それでだけれどさ」
「それでって?」
「あたしがモデルなら琴乃ちゃんはアイドルでさ」
「それは言い過ぎだと思うけど」
「いや、そうした体型だから」
 琴乃はだというのだ。そして。
 オレンジのビキニの彩夏にこう言ったのだった。
「けれど彩夏ちゃんはな」
「そうよね」
 琴乃も美優のその言葉に頷く。
「グラビアアイドルだよな」
「何か凄い胸だけれど」
「あまり見ないでね」
 彩夏も恥ずかしい顔で返す。
「見られて減るものじゃないけれど」
「大きさどれ位なの?」
「身長は一六〇でね」
 背は琴乃と同じ位だ。
「それで胸は八十八よ」
「八十八って」
「うん、そうだけれど」
「大きくなってない?何か」
 切実な顔で言う琴乃だった。
「それって」
「ちょっとそれは」
「その胸は凶器よ」
「いや、それはないでしょ」
「だってそこまで大きいとね」
「凶器っていうのね」
「そう、凶器よ」
 まさにそれだというのだ。
「彩夏ちゃんの胸はね」
「そうだよな、もう凶器だよな」
「何かさっきと言ってること違うけれど」
 彩夏は美優の言葉に怪訝な顔で返した。
「胸だけじゃないとか言ってなかった?」
「それはそうだけれどな。胸だけじゃなくてもな」 
 それでもだというのだ。
「胸もあるんだよ」
「何か凄い強引な解釈?」
「強引じゃないよ。琴乃ちゃんはお尻でな」 
 そしてだというのだ。
「彩夏ちゃんは胸なんだよ」
「そうなるのね」
「ああ、後な」
「後って?」
「大きい胸もいいよ」
 彩夏の様にだ。
「けれど同時に小さい胸もいいんだよ」
「そうなの?」
 景子が出て来た。赤いワンピースをすらりと着こなしている。
「小さい胸もいいの」
「そうだよ、小さい胸もそれはそれでいいんだよ」
「私かなり気にしてるけれど」
 景子は琴乃よりも少し小さい、琴乃より少しでだった。
「結構ね」
「胸がないのが嫌なんだな」
「そうなの」
「そこまで気にする大きさじゃないと思うけど」
 琴乃は景子のその胸を見て言った。
「小さい?」
「一六〇で七十八よ」
 これが景子の身長と胸のサイズだ。
「小さいでしょ」
「ウエストは?」
「五十五だけれど」
「それじゃあ全然大丈夫だと思うけれど」
 琴乃はウエストまで聞いてから景子に答えた。 
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